伊予弁(愛媛県の方言)はかわいい!四国愛媛のなまりの特徴を紹介
伊予弁や愛媛弁(愛媛県の方言)はかわいいと評判です。四国4県のなまりにはそれぞれに特徴がありますが、愛媛県の方言の伊予弁や愛媛弁は京言葉のなごりが感じられて、ふんわりと優しい響きがあるのです。かわいい伊予弁、愛媛弁についてまとめてみました。
目次
愛媛県の方言「伊予弁」について紹介!
四国の愛媛県の方言(なまり)を「愛媛弁」とか「伊予弁」といいます。愛媛県と言えば、愛媛みかんや道後温泉が有名です。江戸時代には伊予八藩と呼ばれ多くの藩が分立していました。
従って一口に「愛媛弁」や「伊予弁」といっても地域毎に異なる方言(なまり)になります。愛媛県の方言(なまり)の「愛媛弁」、「伊予弁」を詳しく見ていきましょう。
四国方言の特徴や違い
四国には4つの県があります。地図で言うと右上が香川県、そこから時計回りに徳島県、高知県、愛媛県となります。香川県と愛媛県は瀬戸内海に接しており、徳島県は和歌山県と紀伊水道で接しています。
そして高知県は太平洋に向いています。このような立地は言葉、方言(なまり)にも影響しており、南四国はやや荒々しい強い言い回しになり、北四国は優しい言い回しになります。これはちょうど穏やかな瀬戸内海と荒々しい太平洋の関係に似ています。
伊予弁の特徴やなまり
伊予弁には優しいやわらかなところがあります。それは愛媛の「愛媛弁」には京都の言葉、京言葉が多く残っているのが一因といわれています。瀬戸内海を通って海上交通で京都から多くの人が愛媛に渡ってきたり交流したりした名残でしょう。
京言葉が残っているおかげで、伊予弁はふんわりとした穏やかなかわいい表現が多いのでしょう。このために、伊予弁は「方言のかわいさが自慢の都道府県」のアンケートでかわいい方言の全国8位にランクされています。
伊予弁のなまりは関西の影響を受けてイントネーションも関西風に聞こえるでしょう。特に関東などの関西弁に慣れていない人が聞いたら、関西弁のなまりに聞こえてしまうかも知れません。
伊予弁と今治弁の違い
愛媛県の方言(なまり)の愛媛弁を分けると、南予、中予、東予の3ブロックに分けられます。いわゆる伊予弁は松山市のある中予で話されている方言(なまり)です。そして東予の今治市で話されている方言(なまり)は今治弁です。
伊予弁はふんわりとした柔らかな表現が特徴になっています。一方、今治弁は伊予弁に比べると強くて堅い表現が多くなっているのです。伊予弁が女性的なかわいいのに比べると今治弁は男性的と言えます。
なお、南予地域の方言は九州地方の影響を受けているので、愛媛弁でも中予や東予とはまた異なった方言(なまり)になっています。
伊予弁でよく使う定番の方言と例文一覧
それでは、よく使われる伊予弁の定番(なまり)の方言を紹介して、その意味を説明した上で、その伊予弁を使った例文を示しましょう。
「おっとろしい」
伊予弁の「おっとろしい」というのは、語感が似ている「恐ろしい」というのではありません。この意味は「びっくりした」というのです。伊予弁を知らないと間違えやすい方言です。例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「暗いところで急に声をかけられたので、おっとろしかった。」 | 「急に声をかけられてびっくりした」 |
2 | 「おっとろしいことには、兄貴は無事だった」 | 「びっくりしたことには、兄貴は無事だった」 |
「かまん」
伊予弁で「かまん」と言われると、思わず「Come on」と間違えて近づいて行ってしまうかも知れません。しかし「かまん」の意味は「問題ないよ」というのです。耳で聞くと英語のような方言(なまり)です。
「かまん」というのは「かまわんよ」というのが訛ったのでしょう。例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「折り入って相談があるのだけど、今夜行っていいですか」「かまん」 | 「問題ないよ、来て良いよ」 |
2 | 「入り口の扉が壊れているけどいいの」「かまん」 | 「別に問題ないよ」 |
「〜ぞね」
伊予弁の「~ぞね」というのは、「~です」、「~だよ」という意味です。例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「新しく来た英語の先生は独身ぞね」 | 「独身です」 |
2 | 「これは僕の妹ぞね」 | 「妹だよ」 |
「だんだん」
伊予弁の「だんだん」というのは「ありがとう」という意味です。「だんだん」というのは、西日本の各地で「ありがとう」という意味の方言(なまり)として用いられいます。伊予弁でも同じ意味で使われているのです。
にこにこしながら「だんだん」というとかわいい表現になります。例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「あなたが休んでいる時のノートをとっておきました」「だんだん」 | 「ありがとう」 |
2 | 「助けてくれて、だんだん」「いや、こちらこそいつもだんだん」 | 「ありがとう」「こちらこそ、ありがとう」 |
「ひやい」
伊予弁で「ひやい」というのは、「冷たい」という意味です。「冷やい」と書くのだと思えば、理解できるでしょう。手で触って「ひやい」とはしゃぐのもかわいいです。例文は次の通りです。
番号 | 解釈 | 例文 |
1 | 「その氷はひやいから、素手で触らないほうがいいよ」 | 「冷たいから素手で触らなほうがいいよ」 |
2 | 「僕はひやいごはんの方が好きなんです」 | 「冷たいご飯のほうが好きなんです」 |
「ほやけん」
伊予弁の「ほやけん」というのは、「だから◯◯なんです」「それだから◯◯なんだよ」という意味で、接続詞のように使われます。「ほやけん」は後ろに続くのが肯定文になります。
「ほやけんど」になると「◯◯だけれども」「そうは言っても」という反論の意味になります。かわいい響きの「ほやけん」の例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「今日はあまり持ち合わせがない。ほやけん、安い居酒屋にしよ」 | 「お金持ってないから安いところで飲もう」 |
2 | 「僕も一生懸命やった。ほやけん、怒らんといて」 | 「だから怒らないでね」 |
伊予弁のかわいい方言と例文一覧
伊予弁はアンケートで、かわいい方言として全国でも上位にランキングされています。もともと京言葉のなごりがあり、なまりも優しい響きになっていますので、かわいい表現が多いのもうなづけます。
実際にどのようなかわいいものがあるのか見て見ましょう。
「さいさい」
伊予弁で「さいさい」というのは、「度々、何度も」という意味です。「再々」だと思えば納得できるのではないでしょうか。かわいい「さいさい」を使った例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「さいさい言わせるなよ」 | 「何度も言わせないでよ」 |
2 | 「さいさい失敗していますが、次はなんとかします」 | 「度々失敗しています」 |
「みとん」
伊予弁で「みとん」というと、何かを「見ているのですか」ということかと推測しますが、少し違います。「みとん」の意味は「見て」というのです。かわいい「みとん」の例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「早く西の空みとん」 | 「早く西のそら見て」 |
2 | 「ここんところみとん」 | 「ここのところを見て」 |
「もんた」
「もんた」という伊予弁は「帰って来た」という意味です。「戻った」というのが訛って「もんた」となったのでしょうか。この「もんた」というのは徳島弁でも使われているようです。かわいい「もんた」の例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「もんたよ。誰かおるかい」 | 「帰って来たよ。誰かいるかい」 |
2 | 「あの音は、健夫がもんた」 | 「あの音は、健夫が帰って来たんだ」 |
伊予弁の面白い方言と例文一覧
どこの地方にも、ちょっと聞いただけでは理解ができなくて、むしろ誤解しそうなユニークで面白い方言(なまり)があるものです。伊予弁にもそのような面白い方言があります。どんな意味なのか推測してみましょう。
「けつまげる」
これは伊予弁の中でも推測不可能の域にありそうな言葉です。「けつまげる」と聞くとお尻で字を書くのだろうかと思ってしまいますが、事実は違います。伊予弁の「けつまげる」の意味は「転ぶ」というのです。
もともと「つまづく」から次第に変化したように想像できますが、やはり分かずらい言葉なのは確かです。例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「石畳を急いで歩いていたらけつまげた」 | 「石畳を急いで歩いていたら、転んでしまった」 |
2 | 「誰か表でけつまげてるぞ」 | 「誰かが表で転んでいるぞ」 |
「むつごい」
伊予弁の「むつごい」という言葉も何のことかわかりずらいです。「むつごい」の意味は「脂っこい」とか「甘ったるい」ということです。つまり食べると思わず胸やけしそうな、脂っこかったり、甘ったるかったりする食べ物を指して言うのです。
「むつごい」の例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「このバター炒めライスは、美味しいけどちょっとむつごいね」 | 「美味しいけどちょっと脂っこいね」 |
2 | 「年を取ってくると、こういうケーキはむつごいからあまり食べられん」 | 「甘ったるいのであまり食べられないね」 |
伊予弁で誤解しやすい方言と例文一覧
伊予弁で標準語とは異なった意味のもので、同じように発音する言葉は意味を誤解しやすいです。そのような伊予弁の方言(なまり)がいくつかあるので紹介しましょう。
「かく」
「かく」という言葉を聞いたら、標準語では手紙を「書く」とか痒いところを「掻く」というのを連想します。しかしながら、伊予弁の場合はこのような意味ではありません。
伊予弁の「かく」というのは、荷物などを「運ぶ」という意味になるのです。意味がわかればかわいい表現です。「かく」の例文は次の通りになります。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「お客さんのバッグを、今かくから待っていてね」 | 「今運ぶから待っていてね」 |
2 | 「車の荷台にある荷物を家の中にかいといて」 | 「家の中に運んどいて」 |
「さし」
伊予弁のわかりづらい言葉の一つに「さし」があります。「刺し」のことだろうかとも思いますが、違います。この意味は「ものさし」や「定規」という意味になります。
たしかにそう言われれば、「ものさし」の語尾の2文字をとって「さし」と言っているのだろうと想像できますが、いきなり言われたらわからないでしょう。「さし」の例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「ちょっとそこのさし取ってくれ」 | 「ちょっと、そこにあるものさしを取ってくれ」 |
2 | 「手書きじゃあなくて、ちゃんとさしを使って線を引いてね」 | 「きちんとものさしを使って線を引いてね」 |
「まけまけ」
伊予弁で「まけまけ」と言うとどんな意味だと思ってしまうでしょう。これもまた、わかりにくい方言(なまり)です。「まけ」というのは、何かを買うときに「まけてください」と値切るために使う言葉なのでしょうか。
正解は、「こぼれそうなくらい」というのです。よく飲み屋で升の中にコップを入れて、日本酒を入れてくれる時に、「たくさん、こぼれそうなくらいに入れてください」という意味で使われるでしょう。例文は次の通りです。
番号 | 例文 | 解釈 |
1 | 「その日本酒、まけまけに入れてや」 | 「その日本酒をこぼれそうなくらいに入れてね」 |
2 | 「この水筒は重いな。まけまけいっぱい入っているからね」 | 「こぼれそうなくらいいっぱい入っているからね」 |
伊予弁に変換するとキュンとする告白のセリフ3選
標準語ではキザであまり響かないような言葉でも、伊予弁に変換した途端に急に心にぐいぐい響くようになることがあります。やはり伊予弁は京言葉のなごりを残しているなまりなので、愛のささやきには向いているのかも知れません。
具体的な言葉で見て見ましょう。
1.「あなたのことが好きなんだけど付き合ってくれませんか?」
「あなたのことが好きなんだけど付き合ってくれませんか?」というのを伊予弁に変換するためには、このフレーズをまず2つに分けて考えます。「あなたのことが好きなんだけど」の部分は、「あなたのことが好きなんよね」。
あるいは、「あなたのことが好きやけん」、「あなたのことが好きなんじゃけど」と変換できます。また、「付き合ってくれませんか」の部分は、「付き合ってくれん?」となります。
2.「あなたのそういうところが好きなんだよね」
「あなたのそういうところが好きなんだよね」という愛の告白を伊予弁でしようとすると、「あなたのそういうところが」の部分はこのまま使えて、「好きなんだよね」の部分が伊予弁風に変換されます。
すると「好きなんだよね」を表現するために、「好きなんじゃけど」や「好きやけん」や「好きなんよね」を使います。
3.「好きです!付き合ってください!」
「好きです!付き合ってください!」というのは、「好きやけん、つきあってくれん?」「好きなんよね、付き合ってくれん?」や「好きなんじゃけど、付き合ってくれん?」というふうに変換できます。
いずれにしても胸がキュンとする愛の告白です。
ほかにもチェックすべき愛媛県の方言
これまで見てきた以外にも、愛媛県の方言には標準語とは異なる面白いものがたくさんあります。どのようなものがあるのか、いくつかチェックしてみましょう。
とりのこようし
愛媛県の方言の「とりのこようし」というのは、さっぱり検討がつかないと思いますが、答えは「模造紙」のことです。「とりのこ用紙」という具合に考えればよいのでしょうが、それにしても「とりのこ」というのが理解に苦しみます。
これが模造紙とどういう繋がりがあるのでしょう。
ラーフル
愛媛県の方言のクイズのようになってきましたが、「ラーフル」というのは、「黒板消し、黒板拭き」のことです。しかしながら「ラーフル」というのはカタカナでもあるし、日本語らしくないでしょう。
それもそのはずです、語源はオランダ語のようなのです。愛媛県以外でもオランダと関係があった地方では「ラーフル」が使われているようです。
やおい
愛媛県の方言の「やおい」というのもわかりにくです。「八百屋」の「やお」でしょうか。答えは「柔らかい」という意味です。「やわい」が訛って「やおい」になったのでしょう。「このスポンジケーキは、やおいね」というように言うのです。
へっちょ
「へっちょ」という愛媛県の方言は、「見当違いの方向」という意味になります。愛媛弁では他にも「へっち」と言うこともあります。「このまま進んでもへっちょに行くのじゃないか」(見当違いの方向に行くのじゃないか)というように使います。
たごる
「たごる」という愛媛県の方言は、「咳込む」(せきこむ)という意味です。「たごる人はマスクをしてくださいね」(咳込む人はマスクをしてくださいね)というように使います。
「たごっているけど大丈夫なの」(咳込んでいるけれども大丈夫なの)と気遣う時にも「たごる」を用います。
ぬくい
愛媛県の方言で先に「ひやい」というのを見ましたが、「ぬくい」というのはこれの反対語です。つまり「温かい」という意味になります。「この手袋ぬくいよー」(この手袋温かいよー)という風に使います。冬はぬくいところにいたいものです。
ええよ
愛媛県の方言で「ええよ」というのは、「いいよ」と言う意味です。「このはさみ貸してくれる」「ええよ」というふうに使います。
いかん
愛媛県の方言で「いかん」というのは、「だめ」と言う意味です。これは何となく推測できそうですね。なお、「いかん」の反対語は「ええよ」となります。
かやす
愛媛県の方言で「かやす」というのもわかりにくい言葉です。この意味は「こぼす」というのです。「テーブルの上のコーヒーカップをかやしてしまった」(テーブルの上のコーヒーカップをこぼしてしまった)という風に使います。
うさす
愛媛県の方言で「うさす」というのは、どんな意味だと思いますか。これもわかりにくいでしょう。「うさす」の意味は「なくす」ということです。「失さす」という感じが当てはまるでしょう。
「大切な腕時計をうさしてしもた」(大切な腕時計をなくしてしまった)というように使います。
いてこーわい
「いてこーわい」という愛媛県の方言を聞いたら、なんだか痛そうだし、恐そうな感じがするかも知れません。ところがこの意味は、「行ってきます」という穏やかな内容の挨拶になります。恐怖とはまるで関係ありません。
「今日も元気にいてこーわい」(今日も元気に行ってきます)というように使います。
いたむ
愛媛県の方言で「いたむ」というのはどういう意味でしょう。「傷む」から来ていると思われますが、答えは「物が壊れる」という意味になります。「長らく使っていた椅子がいたんでしもた」(長らく使っていた椅子が壊れてしまった)。
というように使います。
ほーよ
愛媛県の方言の「ほーよ」というのは「そうだね」という意味です。一般的に相づちで「ほーよ」と頻繁に使われます。
がい
愛媛県の方言で「がい」というのは、「タフ・ガイ」の「ガイ」に近いイメージで「頑固な、強い」という意味になります。「この子は身体が小さいけど気はがいだね」(この子は身体が小さいけど気は強いね、頑固だね)というふうに使います。
あらやけ
愛媛県の方言で「あらやけ」というのは「食器洗い」を意味します。これも標準語からは想像がつかない方言でしょう。「食事が終わったらあらやけしよわい」(食事が終わったら食器を洗おう)というように使います。
かるう
愛媛県の方言で「かるう」というのは、「背負う」という意味なのです。愛媛県の人たちは小さい頃からランドセルを「かるっていた」(背負っていた)のですが、実は愛媛県の人は「かるう」というのは方言だとは思っていないようなのです。
県外に出て「かるう」が通じなくてびっくりする人もいるようです。
愛媛県の方言はかわいくて面白い
愛媛県の方言は京言葉が残っていることもあり、ふんわりとして優しい響きのものが多いようです。これは関西との関係が強かったことに原因があるのでしょうが、なによりも愛媛県の人たちが優しい気質だったから、自然と愛媛弁ができてきたのでしょう。
標準語では気恥ずかしいような愛の告白も、愛媛弁ならばすんなり言えるでしょうし、何よりもそれを聞いた相手が胸キュンになるでしょう。愛媛弁はなかにはわかりずらいものもあります。
しかし、優しい雰囲気で発する言葉ならば、すんなりと聞き入れられそうです。