グアテマラの治安は悪い?良い?旅行や観光での注意点も紹介
グアテマラはマヤ文明の遺跡と先住民の文化で知られた国です。日本からの観光客も増えているため、今回はグアテマラの治安情報について特に注意すべき治安の悪い場所と、逆に治安の良い場所をお伝えし、併せて旅行する際の防犯対策もお話いたしましょう。
目次
グアテマラは危険?旅行前に知っておきたい治安状況
北米と南米に挟まれた中米に位置するグアテマラを観光するにあたり、気になるのは治安状況が良いかどうかです。グアテマラ旅行の前に、現在のグアテマラの治安について知っておきましょう。
麻薬に絡む殺人や強盗が頻発
グアテマラは麻薬ルートの経由地の1つのため、麻薬組織が絡んだ殺人や強盗が各地で頻発して治安が良い状況とは。特に殺人率の高さは日本の比ではありません。関係のない一般人や外国人旅行者が巻き込まれてしまうケースもあり、十分注意が必要です。
マラスの存在
グアテマラには「マラス」と呼ばれる青少年の犯罪集団があります。青少年と侮れない凶悪なギャングといってよく、麻薬絡みの犯罪や一般人を対象とした強盗事件、組織の抗争等を繰り返しています。
銃器の使用
グアテマラは日本と違い、市民の銃器の保持が許可されている国です。そのため、銃器による犯罪が高い水準で発生しています。
グアテマラとはどんな国?
グアテマラは日本にはあまりなじみのない国ですが、どんな特徴があるのでしょうか。
グアテマラ観光の目玉「マヤ遺跡」
グアテマラは古代マヤ文明が栄えた地であり、今なおマヤ先住民の村々が点在しています。ティカル、コパン、キリグアの3大マヤ遺跡をはじめ、マヤ文化が色濃く残る世界遺産の街アンティグアなど、多くの観光名所があります。
色鮮やかな先住民文化
グアテマラに入ると、先住民たちが身に着けている色鮮やかな衣装や美しい織物、精緻なかごなど見事な工芸品の数々に目を奪われます。独特の文化が豊かに花開いているグアテマラは、世界中から多くの観光客を引き付けてやみません。
公用語はスペイン語の火山国
グアテマラは日本の約1/3の国土を持ち、日本と同じ地震も温泉もある火山国です。公用語はスペイン語。暑くも寒くもない過ごしやすい気候のため「常春の国」といわれています。
高い貧困率
国民の多くが素朴で質素な暮らしを営んでいますが、国内は貧富の差が広がっています。特に先住民は貧困率が高く、政情不安や治安の悪化を招いているといっていいでしょう。
外務省発表によるグアテマラの危険度
外務省によると2019年現在、グアテマラの治安は全土においてレベル1となっています。危険度のレベルは4段階ありレベル1は最も危険が少ないことを表しますが、それでも十分注意しなければいけないレベルです。
グアテマラは治安が悪いと思って旅行を
レベル1とはいえ、全土において十分な注意が必要とされるグアテマラを旅行する際は、日本とは違う治安の悪い国と思って行動するようにしましょう。
不必要に怖がることはありませんが、常に周りへの警戒を怠らず、目立たず、行動を予知されないことが大切です。
命を優先する行動を
グアテマラで万が一犯罪に巻きこまれてしまったら、まず、命を優先する行動をとることを心がけましょう。お金を奪われそうになったら死守せず差し出してください。抵抗すれば銃器を出され、一発でやられてしまうからです。
グアテマラは病院事情も悪い
仮に仮に銃で撃たれたとして病院へ運ばれても、グアテマラの医療水準は押しなべて低く、満足な治療が受けられないことがあります。
かつて日本人がグアテマラの地方で交通事故に遭い、足を骨折したことがありました。地元の病院に運ばれはしたものの、その際の処置が不適切だったため、後に脳に後遺症が残ったそうです。
また、地方の病院で手に負えないことになると、首都グアテマラシティやアメリカ合衆国、日本へ送られることになります。到着まで時間がかかるうえ移送の費用も莫大です。しかも病院での治療費自体、海外では高額になります。
どうあってもあまり良い目には遭わないため、病院に運ばれるような事態になることが予想されることを、できるだけ回避することが大切です。
治安の悪いところへは近づかない
交通事故に遭ったり犯罪の巻き添えになったりすることは、自分の力だけでは回避できないことかもしません。しかし、少なくともそういった事態になりそうな芽を摘み取ってしまうことは可能です。
犯罪や事故の発生は、治安の悪さと無縁ではありません。治安の悪いところへはできるだけ近づかないか、訪れる場合には標的にならないよう目立たないようにすることが大切です。
グアテマラの治安の悪い地域・場所
全土において十分注意が必要なグアテマラですが、中でも特に治安が悪いといわれるところをピックアップしてみました。
グアテマラシティ
グアテマラの首都グアテマラシティは中米でも屈指の都市です。日本人観光客はもちろん、世界中から観光客が集まり、グアテマラ観光の拠点となっています。
一方で、殺人、強盗、窃盗などの犯罪が多発する治安の悪い都市でもあります。昼間は大丈夫でも夜の20時過ぎからは人通りも途絶えるため、夜間の外出は要注意です。
また、グアテマラシティでは車の中に貴重品や高価な品を置いておくと、強盗に遭ったり窓ガラスを割られて盗られる危険があるため、車はみな、中を見られないようスモークガラスにしているそうです。治安の悪さを物語っているといえます。
第10区
グアテマラシティの第10区「ソナ・ビバ」は、ホテルやレストランが多い繁華街ですが、旅行者やビジネスマンの荷物を専門に狙う強盗団が出没しています。昼間も注意が必要です。
第13区
空港がある第13区は、旅行者を専門に狙った犯罪が頻発しています。空港内も安全とは言えないため、ひったくりや置き引きに遭わないためにも荷物の管理には十分注意が必要です。
また、空港からの移動にはタクシーなど車両を利用してください。特に夜間到着便の場合、空港の外を歩くことは大変危険なのでやめましょう。
第1~4区
グアテマラシティの旧市街地であり、公共施設や商業施設、長距離バスターミナルなどがあって人通りの多い場所です。しかし、スリやひったくりはもちろん、強盗や殺人も起こる犯罪頻発地域です。
特に第1、第4区は治安が悪いといわれており、昼間でも注意が必要です。ショッピングモールで買い物の際も、周囲への警戒を怠らないようにしてください。また、こうした地域では、駐車した車を狙った窃盗も他地区より多く発生しています。
マラスの抗争や一般人のケンカも多く、銃器が使われるため巻き込まれないよう気を付けましょう。
不法占拠地帯
開発されていない谷や崖、廃線の鉄道の敷地といったところを低所得者が不法に住み着いているところがあります。こうした一帯では強盗や殺人が頻発しているおり、マラスが多数存在しています。むやみに近づかないようにしましょう。
ペテン県
グアテマラ北部のペテン県にはティカルやフローレスといった観光名所があるため、グアテマラを旅行する際は必ずと言っていいほど訪れるエリアです。
しかし、ペテン県では麻薬の密売が行われているため麻薬組織同士の抗争が頻発し、殺人率が非常に高くなっています。一般人や旅行者が巻き込まれてしまったケースもあるため、有名観光地以外は立ち入らないほうが無難です。
国境周辺
麻薬組織や不法入国者が出入りする国境周辺も治安の悪いエリアで、特に危険といわれているのがホンジュラスとの国境周辺です。しかし、国境を超える場合、通常は観光バスなどを利用するため、徒歩でうろついたりしない限りまず大丈夫でしょう。
グアテマラで治安の良い地域・場所
治安が悪いといわれるグアテマラですが、治安が良い場所もあるのでご紹介します。ただし、こうした場所でも夜間の安全は確保されていないので注意してください。
アンティトラン湖
グアテマラシティから車で約4時間のソロラ県に位置する美しいアンティトラン湖の周辺には、先住民族が暮らしています。自然の景観がウリの観光地でもあるため、治安が良いといわれています。
アンティグア・グアテマラ
グアテマラ観光に外せない古都アンティグアは、グアテマラシティから車で約1時間とアクセスも良いため、世界中から観光客が訪れています。世界遺産でもあり、日本人観光客にも人気のエリアです。
警察官も多く配備されているせいか治安は良く、治安の悪いグアテマラシティに泊まるよりは、少し足を延ばしてアンティグアに宿泊するほうをおすすめします。
パナハチェル
アンティトラン湖周辺の村の1つで、非常に景観が良く、外国人観光客が多く訪れる人気の観光地です。治安も良く、グアテマラらしい鮮やかな色彩のマヤ文化の工芸品が多数売られています。
グアテマラでの日本人の犯罪被害
グアテマラでは日本人観光客が被害に遭ってしまったことがあります。
殺人
2018年11月に起きた日本人女性殺害事件は、まだ記憶に新しいといっていいでしょう。殺害された2人の日本人女性は、治安が悪いとされるペテン県のサンタアナ市に住んでいました。サンタアナ市は観光地フローレスからわずか30kmしか離れていません。
観光地から一歩離れれば、治安の悪いペテン県が牙をむいているので、この地に観光で訪れる旅行者は十分注意しないといけません。
他にも、1999年には日本人旅行者が群衆による暴行を受け死亡する事件が起きました。また、2012年には、ATMでお金を引き出した旅行者が後をつけられ殺害されるという事件が発生しています。
治安の悪いグアテマラでは、ATMは要注意ポイントの1つです。できるだけ利用しないか、やむを得ず利用する際は多額のお金を引き出さない、治安の良い場所のATMを利用する、周りに注意する、の3つを怠らないようにしましょう。
強盗・窃盗
車やバスに乗っている時に強盗に襲われ金品を盗られる事件や、安宿で貴重品を盗まれる、路上駐車中の車からカーステレオ等が盗まれるなどの事件が発生しています。
スリ・置き引き
路線バスに乗車中にスリに遭ったり、バスターミナルでの置き引き被害に遭ったりしています。
グアテマラを旅行する際の注意点
治安の悪いグアテマラを旅行するときの注意すべき点をまとめてみました。
夜間の外出は避ける
グアテマラを旅行し「グアテマラの治安は悪いとは感じなかった」と語る人でも、夜間は別と言っています。昼間は穏やかな表情を見せている町であっても、夜になると見るからに怪しい人が集まって来たり、路上で麻薬を吸っている人などが現れます。
巻き込まれないよう夜間はできるだけ外出しないか、やむを得ない場合は複数で行動するようにしましょう。
貴重品は必ず分散して持つ
外出の際、貴重品類はまとめて1カ所に持つのではなく、襲われたときのリスクを選らすために分けて持つようにしてください。また、現金など薄くて軽いものは体から離して持つのではなく、ポケットなどに分散させ身に着けておきましょう。
リュックなど後ろに持つカバンに貴重品は絶対入れないでください。体の前で抱えるように持つと良いという意見もありますが、貴重品が入っていることをわざわざ知らせるようなものです。
ウエストポーチ同様、いかにも貴重品が入っていると思われるようなバッグには、お金を入れたとしても盗られても良いくらいの額しか入れないようにしましょう。
万が一用のすぐに渡せるお金を用意しておく
万が一強盗に襲われた時、お金を全く持っていないと、腹いせに銃で撃たれる危険性があります。そのため、2,000ケツァル(日本円で3,000円)ほどの現金を入れた財布を常に用意しておき、襲われたらそっくり財布ごと差し出します。
ポケットやカバンから取り出そうとすると、そのしぐさが銃やナイフを取り出す動きと誤解されてしまうため自分では取り出さず「○○にお金が入っている」と口頭で伝え、相手に取ってもらうのがいいでしょう。
パソコンやスマホ等の扱いにも要注意
街中や観光地、レストランでは、デジカメやスマホを狙った窃盗が頻発しています。写真を撮るためスマホやデジカメを取り出す際は、十分注意が必要です。特に、周りが誰もスマホやデジカメを取り出していない場所では、不用意に出さないほうがいいでしょう。
レストランではテーブルの上にスマホやデジカメを置きっぱなしにしないようにしましょう。ノートパソコンなどを取り出すのも危険です。できるだけ人に見られないようにしてください。
人からもらった食べ物をむやみに口にしない
旅行者だとわかると観光地やバスなどでは、親切心で飲食物をもらったりすることがあります。しかし、そうしたものには睡眠薬が含まれており、旅行者が眠った隙に金品を奪い取られてしまう可能性があります。
疑うのは嫌ですが、自分の身を守るためにもむやみに口にしないようにしましょう。
単独で行動しない
登山、水泳、ウィンドウショッピングなどは一人ではなく、必ず複数で行うようにしてください。特に夜間や早朝は危険なので控えましょう。
徒歩で移動しない
日本人を含むアジア人が歩いていると、それだけで目立ちます。目立つことは治安の悪いグアテマラではターゲットにされる危険に満ちています。できるだけ徒歩での移動は避けてください。
流しのタクシーや二等バスは利用しない
「コリエンテ」と呼ばれる流しのタクシーは利用せず、グアテマラシティでは大きなホテルに所属するタクシーか、料金メーターの付いている無線タクシー、または知り合いの車を利用するようにしてください。
バスは、「カミオネタ」と呼ばれる二等バス車内でスリや強盗など犯罪が頻発しています。利用せず、「プルマン」と呼ばれる一等バスを利用するにしましょう。
高価な物は身に着けない
時計、バッグ、アクセサリーなど高価な品は身につけず、現地の人とできるだけ同じような格好をして、目立たないようにしましょう。
安い宿は利用しない
安宿は安全管理が不十分なところが多く、扉の施錠は南京錠だけというのも珍しくありません。また、セーフティボックスが置かれてないケースも多く、盗難が頻発しています。こうした安宿にはできるだけ泊まらないようにしましょう。
利用せざるを得ない場合、貴重品は宿に置きっぱなしにせず、すべて持って外出するようにしてください。
とにかく目立たないことが大事
レベル1のグアテマラを旅行する際は、とにかく目立たず、現地の人と同じような格好で周囲への警戒を怠らず、行動を読み取らせないことが大事です。無防備であればターゲットにされやすいため十分注意し、グアテマラ観光を楽しみましょう。