クアラルンプールの治安は危険?良いの?マレーシア観光での注意点も解説
日本人に人気な常夏の国マレーシア。マレーシアの首都クアラルンプールは毎日多くの観光客が訪れます。比較的治安が良いクアラルンプールでも、危険な地域や治安の悪い地域、注意しなければならないことがあります。旅行中に注意する点も併せて紹介します。
目次
クアラルンプールへの旅行前に知っておきたい治安状況
マレーシアの首都「クアラルンプール」はめざましい発展を遂げています。「2019年度世界の経済成長都市ランキング」4位にランクインしており、今後の発展も期待される大都市です。
一般的にマレーシアは東南アジアの中でも治安が良いと言われています。
しかし、都市の発展に伴い大都市ならではの治安の悪さが存在するのも確かなのです。
マレーシアのクアラルンプールとはどんなところ?
クアラルンプールは東京から直行便で約7時間30分で到着します。東京以外にも大阪や福岡、札幌への直行便が飛んでいます。
日本の大手航空会社以外にも、AirAsiaXのLCC便もあるので料金的にも手ごろに行けるようになりました。
日本との時差はは1時間で、日本よりも1時間遅れとなります。時差が短いので時差ボケになることもありません。
クアラルンプールの気候
典型的な熱帯雨林気候です。3月~9月の乾季、10月~2月の雨季と2シーズンありますが、気温に大きな差がないのが特徴です。
年間通して最高気温は32度前後、最低気温は22度前後と日本の夏の気候が一年中続くと思ってよいでしょう。
稀に乾季の時は最低気温が20度を下回ることもありますが、日中は30度を超えます。日本の夏の時期と比べると、クアラルンプールの方が涼しいことが多いのです。
その代わり湿度が高いです。乾季は常に80%ほどあり、雨季でも60%程度と一年中ムシムシした感じはあるでしょう。
クアラルンプールの歴史
マレーシアではKuala Lumpureの頭文字をとって「KL」(ケー・エル)という愛称で呼ばれています。
クアラルンプールとは、市内を流れるクラン川とゴンバック川、2つの川が合流することから「泥の合流する場所」という意味を持っています。
海のシルクロードと知られるマレーシアは古くから貿易国として栄えてきました。イギリスに統治されていた歴史を持ち、イギリス統治時代に建てられた美しいムーア洋式の建物が数多く残っています。
イギリス統治が長かったこともあり、英語が幅広く浸透しているのも特徴です。また、スズで栄えた都市には、1900年代にその働き手として多くの中国人やインド人を受け入れました。
そのような経緯から、多民族、多宗教の国なのです。
近代クアラルンプール
ツインタワーを始めとした高層ビル群や高速道路、鉄道、モノレールとインフラの開発が進んでいて、東南アジア第3位の近代都市とも呼ばれています。
清潔で治安が良いのも特徴です。多くの民族が暮らしているのはクアラるプールも例外ではありません。
そして、多民族に伴い、多宗教国家でもあります。約60%を占めると言われているイスラム教が国家宗教ですが、キリスト教、ヒンディ教、仏教と宗教の自由が認められている国なのです。
大都市クアラルンプールであれば、英語だけで十分旅行ができます。親日国で、中には日本語が使える人もいますし、観光地では日本語表記も見かけます。
外務省発表によるクアラルンプールの危険度
2019年現在、クアラルンプールは渡航安全とされています。世界的レベルでみると安全なクアラルンプールですが、 タイ南部フィリピン南部、インドネシアなど治安状況があまり良くないイスラム過激派が活動する地域と隣接しています。
クアラルンプールは中東方面への直行便がたくさんあり、イスラム過激派の参加を促す外国人の中継地点として利用されていたことも分かっています。
また、経済が発展しているクアラルンプールでのマネーロンダリングやリクルートが行われることも考えられています。
現在も交通や観光地など、警察が治安強化をています。治安情報の収集力は高いと言われているマレーシア警察ですが、治安情勢は常に注意しておく必要があります。
一方で、置き引きやスリの事件は多く発生しています。感染症の注意勧告が出ている場合もあるので、渡航前、渡航中は常に治安のチェックが必要です。
クアラルンプールで治安の悪い場所
大都市クアラルンプールにも危険な場所や治安が悪い場所はあります。これらの場所を訪れる場合は十分な注意が必要でしょう。
チョウキット地区
クアラルンプールで一番治安が悪いと言われている地域です。たくさんのマーケットが並ぶチョウキットは、80年代に市場として栄えました。
チョウキット駅周辺は栄えてきましたが、少し前までは麻薬売人や常習者がいる治安の悪い地域で知られていました。
警察の麻薬取締強化により治安は改善されていますが、十分な注意が必要です。しかし、東南アジアならではの市が立ち並ぶ街は魅力的です。もし訪れるとしたら日中が良いでしょう。
極力荷物は減らし、持っていくお金もミニマムにしましょう。露出の高い服装や、長居するのも、トラブルに巻き込まれる原因になり危険です。夜間は男性であっても避けることをおすすめします。
チャイナタウン
クアラルンプールのチャイナタウンはどのガイドブックにも掲載される人気エリアです。セントラルマーケット近辺は治安が良い地域です。
観光客も多いので、比較的安心して買い物や食事ができます。
一方で、同じチャイナタウンでも「ペリタン通り」は麻薬常習者が多く危険な事でも有名です。マレーシアは麻薬に関する刑罰がとても重い国で、所有しているだけで死刑になることもあります。
また、チャイナタウン中心部は、ゲストハウスが隣接していて夜の治安は良いとは言えません。夜間は危険なので極力出歩かない方が良いでしょう。
チャイナタウンには、「マスジット・ジャメ(Masjid Jamek)」モスクや「スリ・マハ・マリアマン寺院(Kuil Sri Maha Mariamman)」、白亜の旧クアラルンプール駅などの見どころがたくさんある地域です。
しかし、観光客がいない通りに迷い込むと危険なので、注意が必要です。
ラジャ・チュラン駅周辺
外国人が多く訪れる大型ショッピングモール「パビリオン」があるのがこの地域です。しかし、駅周辺には路上生活者がいることもあります。
特に夜間は人通りが少なくなる駅なので治安が悪くなる心配があります。
夜間訪れる場合は、電車を使わずタクシーを利用するなどの注意が必要です。
マレーシア国立博物館周辺
国立博物館近く、ダラム・マサラ通りの高架下には路上生活者が多くいます。目まぐるしい経済発展を遂げた影で、貧しい生活を余儀なくされている人たちもいます。
路上生活者がたくさんいる地域の治安は、決して良いとは言えません。博物館周辺はウロウロしない方が良いでしょう。
MTRの駅と直結していて、改札を出て階段を上がると目の前が博物館です。また、タクシーで直接行く方法もおすすめです。
クアラルンプールで治安の良い場所
クアラルンプールでも治安が良いと言われている場所があります。毎日多くの観光客が訪れ、夜遅くまで賑わっている地域です。この辺りは高級ホテルも多いので、女性でも安心して出かけられます。
ただし、全く危険がないわけではありません。持ち物に注意を払うようにして、油断はしないほうが良いでしょう。
ペトロナスツインタワー周辺
クアラルンプールのツインタワーは、ツインタワーとしては現在も高さ世界一を誇るビルです。そして、この真下にあるのがKLCC公園です。このエリアは比較的治安が良い場所で、安心して歩けます。
タワーの足元あるKLCC公園では、夜10時まで噴水ショーが行われており、ショッピングモールも10時まで開いている店が多く賑わっています。
しかし、こちらも全く危険がない訳ではありません。人混みに紛れた置き引きは発生しやすいので注意は必要です。
観光客が多く集まるために治安が悪くなることもあるので、常に周囲には注意しましょう。
ブキビンタンエリア
日本で例えるならば、ブギビンタンはクアラルンプールの銀座と言えるでしょう。多くの高級ホテルや大型ショッピングモールが立ち並び、おしゃれなカフェもあります。
遅くまで開いている店も多いです。治安も良いので夜間でも比較的安心して出歩けます。
少し裏手通りに出ると「アロー・ストリート」など、東南アジアの雰囲気を味わえる屋台通りに出られます。
深夜まで賑わっているこの地域にも危険はあります。予期せぬトラブルに巻き込まれないよう注意しましょう。
クアラルンプールでの観光客をターゲットにした犯罪
日本と変わらなく街歩きができる治安の良いクアラルンプールですが、油断していると危険です。外国人観光客を狙った犯罪は常にあると思っていた方がよいでしょう。
私たちは外国人です。治安の良し悪しに関わらず、外国人だから狙われるケースも少なくありません。「外国」にいることを常に意識する必要があります。
スリ
カバンから何かを抜き取られるスリはクアラルンプールでも多い事件です。ショッピングモールのエスカレーターに乗っている間に、後の人がカバンのチャックを開け財布や携帯、パスポートなどを盗まれるケースが多いようです。
また、人込みに紛れ荷物が体から離れたスキに、同様に荷物を抜き取られるケースがあります。中にはカフェやレストランで隣の席に置いたカバンがいつの間にかなくなっているという事もあります。
では、どのような対策をとれば良いのでしょうか。マレーシア人は常識としてリュックは必ず前に背負います。カバンが前にあれば、目が行き届くので知らない間に抜き取られることもありません。
また、レストランなどの食事の際もカバンは常に膝の上に置くようにしましょう。貴重なものほど体に着けておくのが安心です。
ひったくり
郊外に比べると荒っぽい手口はあまり聞かないクアラルンプールですが、それでもひったくり事件は起きています。
歩いている際にバイクに乗っている人に後ろから 荷物を取られるケースが一番多いようです。肩にかけていると簡単にひったくられてしまいます。
また、たすき掛けにしている場合でもバイクの力で引っ張られたら荷物と一緒に引きずられてしまいます。前方はもとより後方も注意してあるく必要があります。
そして、なるべくバイクなどが走る場所から距離を置いて歩くことを心がけましょう。マレーシア人はたすき掛けにしたバッグは必ず体の前に持ちます。横や後ろだと取られやすいので、バッグの位置にも十分注意してください。
クアラルンプールは公共機関も発展していて、電車で通勤し歩く人も多くいるので、観光客が歩いていてもさほど目立ちません。
しかし、服装や歩き方で犯罪者は旅行者を見分けます。万が一の事を考えて、お金はいくつかに分けるなどの対策も必要です。万が一荷物を取られても、危険なので絶対に追わないようにしましょう。荷物だけでなく、命も取られてしまう危険があります。
ぼったくり
タクシーなどで、高額な金額を提示されたり、値札がないものを買う場合なども多く取られることがあります。
タクシーは必ずタクシー乗り場から乗車するようにしましょう。メーターがあっても動いていない場合があるため、走り出す前にチェックをした方がよいでしょう。
値札がないものを購入する時は、必ず値段交渉が必要です。価値観でもあるので、納得いかない値段なら断るようにしましょう。
賭博詐欺
トランプ詐欺、いかさま詐欺、ブラックジャック詐欺などと呼ばれる賭博詐欺は、マレーシアだけに限らず東南アジア全域で昔からある組織的詐欺です。
「賭博詐欺」の存在を知っていても引っかかってしまうほど、巧みな話術で近寄ってきます。このアプローチにはかなりのバリエーションがあり、うっかり気を許していると嘘を見ぬけないこともあるのです。
いくら良い人に見えても絶対についていかない、曖昧な返答はしないことを心がけましょう。
かけ子
手軽に海外へ電話ができるようになった為、東南アジアを拠点とした特殊詐欺が増えており、日本人が拘留される事件も起きています。
「かけ子」と呼ばれる詐欺は、掲示板やSNSの投稿などで「短期間で高収入が得られる」と言葉巧みな求人を出すこともあります。
軽い気持ちで関わってしまうと、意図せず犯罪者となり、海外で何年も服役する事態にもなりかねません。危険なので、この手の話には絶対に関わらないようにしましょう。
クアラルンプールを旅行する際の注意点
クアラルンプールの治安や犯罪が分かりました。では、具体的にどうしたら良いでしょうか。
流しのタクシーは利用しない
外国人旅行者が料金をぼったくられることが多いのが、流しのタクシーです。料金相場が分からないと、値段交渉ができません。
クアラルンプールにはタクシースタンドがあるので、必ずタクシースタンドを利用した方が良いでしょう。
また、マレーシアのタクシーにはいくつか種類があります。夜間割り増しや高速代金は実費になりますが、目安としてだいたいの料金を知っておきましょう。
タクシーの種類 | 5KM走った時の目安 | 10KM走った時の目安 |
バジェットタクシー (乗用車) | 約MR8.00 | 約MR14.25 |
TEKA1M (中型車) | MR10.00 | MR17.50 |
エグゼクティブタクシー | MR14.00 | MR24.00 |
親切な人に注意する
マレーシア人には親切な人が多いでが、必要以上に親切は人には注意しましょう。例えば、道を尋ねた後に車に乗せてもらうことや家に招待される場合は断りましょう。
あまり人を疑っていては旅行が楽しめませんが、安易に信用するのは危険です。
女性は夜の外出を控える
犯罪者に狙われやすいのは、男性よりも女性です。特に、夜間の一人歩きは絶対に止めた方が良いでしょう。
自分では気が付かなくても、犯罪者は旅行者であることを簡単に見抜ていることもあります。
治安が良いと言われている場所でも危険な場合もあります。
荷物から目を離さない
犯罪者は荷物を取る前から、ずっと狙っていることが多いです。油断したスキを狙って荷物を取られしまうのです。
絶対に荷物から目を離さないように注意しましょう。特に、貴重品が入っているカバンは身に着けておくのが良いでしょう。
安全に旅行するために
マレーシアのクアラルンプールはさまざまな楽しみ方ができる都市です。高層ビルに囲まれた中にある古くからある建物や街並み。洗練された街でのショッピング。
また、世界の五つ星ホテルに安く泊まれるというメリットがあるのもマレーシアならではです。
荷物は体から離さない、見える場所に持つ、また、治安が悪い、危険と言われる地域には立ち入らないなど最低限の注意で旅行することができます。
安全には十分注意して、楽しい旅行にしてください。