ギリシャの世界遺産「メテオラ修道院群」の見所！行き方やツアーも紹介

絶景が眺められるとして有名なギリシャのメテオラ修道院。その地上から高さ600mの高さの断崖絶壁にギリギリに建てられた修道院群です。世界遺産にも指定されていて、例年多くの観光客が訪れます。今回はそんな神秘の修道院、メテオラ修道院をご紹介しましょう。

メテオラ修道院はギリシャ正教の聖地です。その昔、北方での戦争を避け、また俗世からの交わりを絶ち厳しい修行を望んだ修行僧たちが絶壁を擁する岩の上に聖堂を建て始めたことが、建立の由来と言われています。

今では観光名所として世界的に有名ですが、当時は奇岩の上に修道院に登る事自体がすでにとても困難で修行でした。

メテオラ修道院の特徴はその立地にあります。計6つの修道院がそれぞれ巨大な奇岩の上に建てられているのです。この他の観光地では類を見ないそのスタイルに、多くの観光客が魅了されています。ぜひ写真を取るだけではなく、その雄大さを五感全てで感じたいところです。

メテオラ修道院は修行の場ですが、一般の観光客も訪問することができます。首都アテネやテッサロニキからは距離があるので、まる1日かかると考えておいていいでしょう。例えば首都アテネからは、電車でも最短5時間かかります。

また、修道院によって開館している曜日が異なるので、一度に複数の修道院訪問を考えている場合には、それぞれの開館日に注意が必要です。

奇岩の上に立つメテオラ修道院。外から眺めるだけでも雄大ですが、ぜひ中にも入ってみましょう。岩に直接掘られたもの、木材彫刻、そして奇岩の上に工夫をこらして建てられた建物自体の構造は必見です。ゆっくり見学することをおすすめします。

以下、それぞれの修道院を紹介していきましょう。 

 大メテオロン修道院は、メテオラ奇岩群に建てられた修道院の中にあって西部に位置し、一番規模の大きな修道院です。もともとは吊はしごで出入りをしていましたが、1922年に岩に直接階段が彫り込まれ、今では徒歩で中央まで行くことができます。

創建者は聖アサナシオス。14世紀に建設が始まり完成は彼の次の代でした。

ここに存在するメタモルフォセオス聖堂はギリシャの最高傑作とされています。見どころは聖堂の内陣の殆どを埋めている、フレスコ画製法の宗教画。他にも金塗りの木製彫刻が施されている個所もあり、ここも必見。

修道院には、実際に使われていた昔の台所、窯や様々な用具の展示もあり、改修された独居室や昔の木工工場などの見学もできます。

 聖堂の北東部には、食堂があります。ここはおすすめのスポット。ヴラシオス・チョチョニスによる絵画「栄光の王キリスト」があります。

『ヴィザンティン宝物聖遺品博物館』には14世〜16世紀の聖画イコン、金糸刺繍墓碑銘、典礼祭服、金糸刺繍製品等の素晴らしい作品が展示されています。二階の東側にはヴラシオス・チョチョニスによって描かれた近代致命者達の宗教画や、16世紀に作製された木製彫刻の十字架、貴重な古書の数々も並べられています。当時の羊皮紙の書籍なども保存されていて、資料価値は随一。累計の書籍数は668冊に及びます。

他にも「ギリシャ史の軌跡博物館」があり、ギリシャ全体の歴史を俯瞰することができます。近現代史まで対応しており、バルカン戦争（1912年－1913年）とギリシャ・イタリア戦争（1940年－1941年）時の資料も。

 ヴァルラアム修道院は、メテオラ修道院の中でも、ひときわ険しい岩山の上に建立されている修道院です。修道院の命名は、大メテオロン修道院のを建てた聖アサナシオスの若き日の名前ヴァルラアムにちなんでいます。修道院事態は16世紀に修行僧達によって建立されました。

おすすめのスポットは木製彫刻の内陣障壁で、繊細な金箔細工が施された美しい絵画で飾られています。集合建築の北側にはヴァゲナリオと呼ばれる樽置場があり、13,000リットルの許容量を持つ巨大なオーク材の樽が置かれています。

「スケヴォフラキオ」と呼ばれる修道院聖物納室には前後期ヴィザンティン時代の様々な貴重な聖遺物が保管されていて、歴代の修行僧が記してきた写本も保管されています。ヴァルラアーム修道院は古来、金刺繍技術工場としても知られていました。こうした資料も残されています。

中でも、1609年にヴァルアラームの初代刺繍指導者ロマヌゥによって作られた金刺繍の「エピタフィオ」と呼ばれる墓碑銘は必見。

 聖ステファノスの修道院は、メテオラの奇岩群の南東部の建立された女子修道院です。聖ステファノス修道院は14世紀に一度建設され、16世紀に再建されました。ヴァシリカ型の協会建築です。聖人ハラランボスの遺体が安置されています。

おすすめスポットは、内部の木造彫刻とイコン設置台です。食堂の中にはスケヴォフィラキオンと呼ばれる場所があり、芸術的な手書きの写本、希少な古書、金銀製の十字架、様々な神聖具、金糸刺繍の墓碑銘(1857年)やイコンなど価値ある資料が展示されています。こちらの蔵書量も他の修道院に引けを取りません。

聖トリアダ(三位一体)修道院は聖ステファノス修道院の西北に位置する、とりわけ風光明媚な修道院として有名です。15世紀に修道士ドメティオスによって創建されました。修道院の入り口の左側には、岩に直接彫られたロトンダと呼ばれる円形教会があります。

この修道院内の教会のおすすめスポットは内陣のフレスコ画と半球のドーム。20世紀に入るまで階段は設置されておらず、はしごや巻上げ装置で入場していました。

ぽつんとたった奇岩の上に建立された修道院の風景は印象的で、メテオラ修道院についての冊子や絵葉書にもよく登場します。ジェームズ・ボンドの映画「007　ユア・アイズ・オンリー」の撮影でも使われました。

カランバカよりも少し北部のカストラキの町から、山を登っていくと、左側にそびえ立つ岩の上に聖ニコラオス・アナパフサスの修道院が見えてきます。接地面積の少なさから岩の周囲を巡るようにして建造された修道院は他に類を見ない造形です。

歴史をたどると14世紀から少しずつ建物が作られてきました。他の修道院が、機能別に建物を分けているのに対し、聖ニコラオス・アナパフサス修道院は1つの建物の中にいくつもの機能を内包しています。主教会は2階部分に、食堂は3階にあります。

各階にフレスコ壁画が残されていますが、主教会(聖ニコラオス教会)に残っているものは、クレタ島出身の宗教画家セオファニスが手掛けました。かれは「クレタ派」と呼ばれる流派を確立したことでも有名です。

彼の作品の中でもおすすめは聖ニコラス昇天図、シロスの克肖者エフレム昇天図、動物たちに命名する楽園のアダム図等いくつもこの修道院で観覧することができます。見逃せませんね。

ルサヌ修道院は他の修道院と比べると比較的カストラキの町の近くに位置している女子修道院です。こちらもそそり立つ壁を、そのまま縦に伸ばしたように建設されています。

16世紀に建立されたこの修道院は、小さな建設面積を有効に活用すべく1つの建物の中に複数の機能を有しています。下部に礼拝堂、上部に聖堂が設けられています。この聖堂はメタモルフォシ・ソティロスに捧げられたもの。

教会は、1560年に「アギオオリティコ」と呼ばれる建築法で建てられていて、素晴らしい壁画の数々は、著名な宗教画家ジョルジによって施されました。「クレタ派」の傑作とされています。

メテオラ修道院は宗教施設です。そのため、観覧の際にはいくつかの制限や注意事項があります。以下の事項に気をつけて訪問しましょう。

ノースリーブなど露出の多い服装や、ズボンを履いている女性は入場を断られてしまいます。訪問する際の服装には気をつけましょう。 

とはいえ忘れた場合でも大丈夫、大きめのスカーフを貸してもらうことができます。ただ、ある程度山の上にある施設ですので、麓の町よりも寒いことは確か。上着を1枚余分に持参することをおすすめします。防寒はしっかりしてから向かいましょう。

メテオラ修道院の中でも、場所によっては内部は撮影禁止です。入場する際にはピクトグラムや掲示、案内表示に気をつけましょう。

1人で気ままに回るのもいいですが、短い時間で効率よく巡るにはツアーがおすすめ。多くの旅行代理店がオプショナルツアーとしてメテオラ修道院観光プランを提供しています。そのほとんどは、カランバカ駅からタクシーを利用して現地に向かう方法。

もちろんガイドが付きます。日本語に対応しているところはごくごくわずかで、ほとんどが英語での応対になります。アテネ発のツアーもありますが、カランバカまでは各自電車での移動となります。

カランバカ駅まで行ってしまえば、後は連れて行ってもらえるので、自分であれこれと登山プランを練る必要はありません。 また絶景スポットや見るべき修道院などを効率よく周ることができます。

メテオラ修道院へのオプショナルツアーにはWebで予約しましょう。滞在先によってアテネ発かカランバカ発かを選ぶことができます。 

日本からメテオラ修道院に向かうには、まずギリシャの首都アテネに向かう必要があります。現在、日本の国際空港からアテネに直行している路線はありません。以下、どのように行けるかご紹介しましょう。 

メテオラ修道院のあるギリシャには、日本からは飛行機を乗り継いで行くことになります。フライトによって、利用する乗換空港が異なります。まずは首都アテネを目指しましょう。

メテオラ修道院に向かうには、アテネからまずカランバカの町まで行きます。鉄道とバスがありますが、事前にWeb予約ができる電車が利用しやすいです。所要時間は片道5時間ほど。

バスを利用したら、片道6時間です。チケットはWebではなくバスステーションで直接購入します。

アテネからの往復ですでに10時間を消費してしまうので、6つの修道院をじっくり見たいのであれば、カランバカに宿を取ることをおすすめします。時間を有効に使えるでしょう。

カランバカの駅からメテオラ修道院に向かうにはバスかタクシーとなります。バスであれば、まず終点の大メテオロン修道院を目指し、そこを観光したのち徒歩にて他の修道院を巡ることをおすすめします。 

大メテオロン修道院行きのバスは午前9時・午前11時・午後1時・午後3時の4本出発しています。(2020年1月現在)

歯間の節約を目指すのであれば、半日タクシーを借り切って案内してもらうことも選択肢にいれてみましょう。ドライバーは各修道院がよく見える絶景スポットを把握しています。写真撮影がメインであれば、ドライバーにおすすめポイントを教えてもらいましょう。

いかがでしたか？ギリシャのメテオラ修道院は絶景もさることながら、行くとパワーが貰えるパワースポットとしても人気です。エステやスパなどで体を癒やすのとはまた違う、精神を癒やすのであれば、こういった宗教の聖地はまさにぴったり。先人たちの修行の跡をたどることで、自分の精神性も癒やし、高めてみませんか。