旭岳登山のルート!初心者向けコースや山頂までの時間も紹介
美しいたたずまいで日本中に人気のある、北海道の旭岳登山はいかがでしょうか。体力や経験に応じておすすめのルートを、初心者コースから上級コースまで案内します。登山は苦手と言う人も、ロープウェイを使えば安心して旭岳登山が体験できるのです。
目次
旭岳は登山に人気のスポット!
北海道の旭岳は穏やかでなだらかな山容を持っており、また山の形と周囲の自然が四季を通して美しいことから広く登山客や観光客に人気があります。しかも山腹までロープウェイで行けることで比較的容易に上れるようになっています。
旭岳は名実ともに北海道を代表する秀峰として、広く全国から登山客を集める人気スポットとなっているのです。
大山雪の主峰
旭岳は有名な深田久弥の日本100名山のうちの一つとして、大雪山として取り上げられています。そしてこの大雪山連峰の主峰となるのが旭岳なのです。標高は2291mで、北海道で一番高い山です。
北海道という寒冷な地方にそびえている山なので、植生は本州の北アルプスなどの3000m級の山々と同じになっています。また、この山は気象庁によって活火山に指定されているのです。
旭岳のおすすめ登山ルート①【初心者向けコース】
それではまず、比較的手軽に旭岳の魅力を味わうことができる、初心者向けのおすすめルートから紹介してみましょう。登山は苦手だという人も、それほどハードではなくて歩きやすいルートならば、登れます。
まずは、北海道の名峰旭岳に登ってみることが先決ですので、これから紹介するルートを試してみてください。
距離と時間・服装について
初心者向けおすすめルートの場合は、特に険しい山道を歩くわけではありません。一周約1.7kmのルートをゆっくり歩いて回るので、ほぼ1時間程度です。服装は特段登山の恰好をしなくても大丈夫です。
ただ、その日の天候によっては寒くなることもありそうでしたら、防寒具は必要となります。なお、いくら簡単なルートだといっても足元がキチンとしていないと歩きずらいので、スニーカーなど歩きやすい靴がおすすめです。
①ロープウェイに乗って姿見駅へ
ロープウェイに乗って麓の山麓駅から姿見駅まで標高差500mを一気に登ります。山麓駅の標高は1100mですから、姿見駅は1600mにもなるのです。姿見駅で降りるといよいよ登山道ですが、初心者ルートは平穏なルートです。
姿見駅を降りると、もう目の前には旭岳の勇姿が拝めます。初心者ルートの場合はこの近辺の展望台を巡ってくることになりますので、姿見駅の前の道を左のほうへ行きましょう。
②展望台のある道から姿見の池まで
姿見駅から歩き始めると、すぐに第一展望台に到着します。ここからの展望は上の写真のようになります。旭岳は活火山なので、水蒸気が地表から出ているのが見えるでしょう。次に第二展望台第三展望台と巡って行きます。
姿見駅から第三展望台までは約15分くらいで到着できます。第三展望台からは擂鉢(すりばち)池と鏡池が並んで見えます。この2つの池は夫婦池とも呼ばれています。続いてそこから第四展望台を経由して姿見展望台へ出るのです。
第三展望台から姿見展望台までは約25分ほどかかります。姿見の池が近づいてくるので楽しみながら見ていきましょう。
③もう1つの道で姿見駅へ
姿見展望台で美しい景色を十分に満喫したら、いよいよ帰路につきます。姿見の池の端の方にある第五展望台で旭岳を目に焼き付けるのがおすすめです。そこからは展望台もなく、1本道で姿見駅まで戻れます。
途中、右に行く道がありますがそちらへ行くと第一展望台の方へ行ってしまいますので、真っ直ぐ進みましょう。また、姿見駅の手前には左に行く道がありますが、これは天女ケ原の方へ行く道です。
このようにして一周回って来られるので、初心者としてはお手軽に旭岳を楽しめるルートです。
旭岳のおすすめ登山ルート②【初・中級者向けコース】
初心者コースでは飽き足らない人は、せっかくですから旭岳の山頂を目指してみましょう。北海道で一番高い所へ登ってみましょう。初心者ルートでは姿見の池のところで引き返してしまいましたが、中級ではそのまま頂上へ行きます。
もちろん、初心者ルートのようなお手軽ではなく、登山道を歩くことになりますのである程度山歩きに慣れた人向けのおすすめルートになります。
距離と時間・服装について
このコースは姿見の池からそのまま登山道を上って旭岳山頂に行ってしまうため、初心者ルートのようにお手軽にはいきません。姿見の池から山頂までの約2kmを往復しますので、約4kmがプラスされます。
従って姿見駅から山頂を往復するので、全行程は5.1kmほどになります。時間としては往路が2時間50分、復路が2時間5分ほどです。服装については、本格的な登山の服装が必要となります。
特に靴は最低トレッキングシューズが必要です。また頂上は姿見の池からでも標高差が600m以上ありますので、気温が4度くらいは下がるので防寒具が必要になります。北海道はもともと気温が低いので注意しましょう。
①ロープウェイに乗って姿見駅へ
標高1600mの姿見駅までは、初心者ルートと同様にロープウェイを使用します。姿見駅から頂上を往復するだけでも約5時間のルートなので、ロープウェイを利用するのがおすすめなのです。
姿見駅に着いたら、旭岳の頂上をよく見ておきましょう。これからその頂上へ行くのだという目標をしっかり認識しておくのです。
②頂上を目指そう
姿見駅から姿見の池まで約20分で行ったら、そこから旭岳登山道を登っていくことになります。ここは本格的な登山ルートとなり、足元には石や岩がゴロゴロしており、場所によっては歩きにくい所もあります。
また、頂上までは標高差600m以上あり、かつかなりの急勾配を登っていくのです。ただ、草木はほとんど生えておらず、視界を遮る物はありませんので、四方の眺望は素晴らしく、北海道らしい雄大な景色を楽しみながら登れます。
途中何度か休憩を入れて、3時間弱のかなりハードな登りをこなしたら、いよいよ頂上です。頂上からは大雪山連峰が一望できますので、疲れも癒されるでしょう。
③安全に気を付けながら姿見駅へ
旭岳山頂で四方の眺望を満喫したら、あまり遅くならないうちに下山に取りかかりましょう。下りの場合は登りの約3分の2の時間で下山することができます。頂上を離れるとしばらくはなだらかに下って行きます。
ここから四角い形の金庫岩を見ながら、地獄谷を右手にして下って行きます。登りのときは急登であまり余裕がなくて周囲の景色も気にしていなかったでしょうから、下りは足元に気をつけながら景色を楽しみましょう。
しばらく下って行くと、姿見の池が見えてきます。もうすぐ下山終了ですので、足を滑らせないように気をつけながら歩いて行きましょう。姿見の池へ着いたら、姿見駅はもうすぐ目の前です。
旭岳のおすすめ登山ルート③【上級者向けコース】
旭岳登山の醍醐味を味わい尽くそうとしたら、ロープウェイを使わないで登る上級者ルートに挑戦するのがおすすめです。自分の足で一歩一歩踏みしめて苦労して登ってこそ、頂上に着いたときの感激はひとしおなのです。
上級者ルートはかなり時間と体力を必要としますので、誰にでもおすすめできる訳ではありませんが、もし登山経験がある程度あって、チャレンジしてみたいと思うのでしたら、是非やってみる価値があるでしょう。
距離と時間・服装について
中級者ルートまでは、山麓駅でロープウェイに乗車してしまいましたが、上級者ルートになると山麓駅近くの旭岳登山口から登山道に入って行きます。従って服装は完全に登山のための装備をして、それに相応しい服装を整えましょう。
また時間と距離については、登りと下りは同じ距離でそれぞれ5.9kmで、往復11.7kmになります。登りの時間は5時間20分で、下りの時間は3時間45分程度を見込んでおくべきです。
往復で、休憩時間は含まずに9時間5分の計算ですから、かなりハードな行程なことは確かでしょう。なお、ルートの途中には宿泊できるところがありませんので、日帰りでピストン(往復)する覚悟が必要です。
コースの途中に旭岳石室避難小屋はありますが、ここは本当の緊急時にしか使用できませんので、ここに宿泊することを当てにしてはいけません。まずは朝早く山麓駅を出て昼くらいには旭岳頂上に着く予定にすべきでしょう。
①登山口から天女ヶ原へ向かう
ロープウェイの山麓駅の近くに旭岳登山口がありますので、そこから天女ヶ原湿原の方へ入るルートになります。湿原には木道が設置してあり、その上を歩いて行くのですが、木道はかなり古くなっているので足元に注意しましょう。
木道の雰囲気はあたかも北海道にも尾瀬ケ原があるような漢字です。ルートはロープウェイの下の近くを辿って行くのですが、途中から登りがキツくなってきます。
②天女ヶ原から旭岳石室へ
天女ヶ原湿原の木道は水びだしになっているところもありますので、注意して歩いていきます。さらに勾配がキツくなってくると、沢登りのような場所もありますので、足を滑らせないように注意が必要です。
また残雪の状況によっては夏でも北海道らしく雪渓が残っており、アイゼンまでは必要ないまでも、緊張する場面があるかも知れません。麓の登山口を出発して約3時間30分くらいで、初心者コースで利用した姿見の池へ至る道に出ます。
ロープウェイだったらあっという間ですが、ロープウェイの終点近くまで歩いて登れば達成感はひとしおです。眼下を見下ろせば充実感を味わえるでしょう。少し休んだら、いよいよ頂上アタックの開始です。
③山頂を目指そう
天女ヶ原湿原から沢登りや雪渓体験などをして急勾配を登ってくると、ロープウェイで登って来た人たちと比べてすでに体力を消耗していますが、ここで気持ちを切り替えて最後のアタックをするのです。
ロープウェイで登ってきて一緒に歩き始める人たちと共に、旭岳頂上をめざします。途中旭岳石室の小屋を通りますが、ここは緊急避難用ですのでいちおう場所だけ確認しておきます。
一路登山道を登って行くのですが、途中までは姿見の池が美しく見えます。左手に地獄谷を見ながら岩だらけの道を注意して上っていくと、やがて金庫岩が見えてきて、そこからは勾配も楽になり、頂上へ至ります。
④安全に気を付けながら登山口へ
頂上にお昼までに到着できれば、眺望も開けているでしょうから、少し落ち着いて昼食を取って身体を休めましょう。山の天気はお昼を境に下り坂になる場合が多いので、もしも昼過ぎの到着ならば、できるだけ早い下山をおすすめします。
何はともあれ頂上に達することができたら、パーティーの面々と健闘をたたえ合います。そして今度は落ち着いて下山に移ります。忘れ物に気をつけて撤収しましょう。下りは岩石が滑りやすいので注意です。
もしも体力の限界を感じたら、遠慮無く帰路はロープウェイを使用しましょう。それでも十分ハードな山行だったはずです。安全第一で下山してこそ楽しい山行なのです。
旭岳登山での準備・注意点
旭岳は四季を通じて美しい姿を見せてくれます。実際に旭岳の近くまで行けば、やはり頂上まで行ってみたいと望む人は多いでしょう。それはすなわち、初心者コースを離れて中級以上に挑戦すると言うことです。
姿見の池からの標高差600m以上を登って行くためには、本格的な登山の装備をして行くのを強くおすすめします。具体的にどのような用意をすれば良いのでしょうか。
【準備】装備を揃える
初心者コースで訪れる姿見の池から先に行こうとしたら、登山の装備を一式調えていないといけません。具体的に説明すれば、まずは靴は登山用のものにしましょう。本格的な登山靴とは言わないまでも、トレッキングシューズは必要です。
さらに靴下は厚手のものを履きましょう。そしてリュックサックはいわゆるデイパックのようなものではなく、登山用のザックを用意します。中には雨具や防寒具を必ず入れます。また、必要十分な量の飲み水も必要です。
また、疲れた時に口にできるチョコレート等の甘いもの、さらに頂上で昼食を予定しているのでしたら、重くなりすぎないようにして弁当も持参しましょう。なお、日差しがキツい季節ならばサングラスもおすすめです。
それから地図とコンパス(方位磁石)も念のために持って行くと、道に迷わないです。また、できるだけ日が高いうちに頂上へ行き下山するのが理想ですが、万一遅くなってしまった時のためには懐中電灯もあると助かります。
あと季節にもよりますが、もしも雪が残っているのでしたらアイゼンやピッケルも必要ですが、冬山は上級者以外はおすすめできません。なお、雪がなくてもウォーキングポール(ストック)を持参すればバランスが取れ歩きやすいです。
その他には、寒い時には手袋もあったほうが良いでしょう。さらに、頂上で食事をする時やその他緊急の時に役に立つのはトイレットペーパーです。山では水は貴重品なので汚れた食器はトイレットペーパーで拭きましょう。
【注意①】寒さに気を付ける
北海道大雪山系で最も高い山である旭岳は、本州で言えば北アルプスや南アルプスのような3000m級の山の気候に匹敵します。従って、よほど夏の暑い日以外は寒さの対策を十分にしておかなければなりません。
姿見の池から頂上までの標高差は600m以上となりますので、100m毎に0.6度ずつ気温が下がりますから山頂では6度も下がるのです。もしも姿見の池で寒いと感じたら、頂上は大変寒いということになります。
また、標高差以外にも日が差さなくなった場合や、悪天候で風も強くなってきたら体感温度はさらに下がります。そのような気象の場合は登山を断念することも考えておかなければなりません。
【注意②】ヒグマが出る恐れも
旭岳周辺では、今までにもヒグマが目撃されています。もとよりヒグマは猛獣ですので、十分注意が必要です。具体的には、「ヒグマに近づかない」ようにすることです。クマ除けのベルを鳴らして歩くのも一方です。
ヒグマはできれば人間と出会いたくないので、人間を察知したらヒグマは隠れているのですが、もしも偶然ばったりと出会ってしまったら、その時には命の危険があります。しかし慌てて騒ぐのは逆効果です。
もしもヒグマに出会ったら冷静沈着にしかもパーティ全員が一致協力した行動が求められます。ヒグマに対しての対応方法を心得ておけば、決して諦めることはないのです。詳しくは下記対応を参考にしてください。
ヒグマについての知識とヒグマ対策 |
大雪山国立公園連絡協議会 |
旭岳ロープウェイへのアクセス方法!
旭岳登山の強い味方になる「大雪山旭岳ロープウェイ」の乗り場へは、どのように行けばよいのでしょうか。行き方を説明します。
【公共交通機関の場合】
北海道以外から訪問する人は飛行機をリようして新千歳空港へ行き、そこから札幌を目指します。次に札幌駅から電車・バスを利用して行く場合の行き方は次のようになります。まず札幌駅からJR特急ライラック号に乗って旭川駅まで行きます。
そして旭川電気軌道バスいで湯号に乗ったら約90分で旭岳ロープウェイ山麓駅に到着です。ちなみに、札幌駅から旭川駅までは特急ライラック号に乗れば85分で到着できます(距離136.8km)。
従って札幌駅からロープウェイ山麓駅までは約3時間程度を見ておけばいいでしょう。
【車の場合】
北海道の中で車で旭岳ロープウェイ山麓駅まで行く場合は、まず道央自動車道の旭川インターチェンジまで行きます。そこから道道37号線を走り、途中から道道1160号線へ入り進むとロープウェイ山麓駅へ着きます。
札幌から車でロープウェイ山麓駅まで行くのに要する時間は、約3時間となります。安全運転で行きましょう。なお、旭岳ロープウェイの詳細については、次の表にまとめておきました。
住所 | 北海道上川郡東川町旭岳温泉 |
電話番号 | 0166-68-9111 |
営業時間・定休日 | 営業時間:9:00~16:00 季節によって時間が変更になります ロープウェイ営業は通年 |
運賃 | トップシーズン(6/1~10/20) 大人(中学生以上)往復:3200円 片道:2000円 小人 往復:1600円 片道:1000円 シーズン(10/21~5/31) 大人(中学生以上)往復:2200円 片道:1300円 小人 往復:1500円 片道:900円 |
駐車場の有無 | 有 普通自動車・バイク:150台 バス等:10台 駐車料金は普通自動車・バイク 500円 バス等 1500円 いずれも1日1回徴収 |
公式URL | 大雪山旭岳ロープウェイ |
登山帰りに旭岳温泉に行くのもおすすめ!
旭岳を下山したら、麓の温泉街に立ち寄って汗を流すのもよいでしょう。旭岳温泉と賞するのは静かでゆったりとした温泉街で、ホテルや民宿、ユースホステルなどが10軒ほどあります。
温泉街といっても歓楽の雰囲気はなく、落ち着いて純粋に温泉を楽しめる環境です。泉質はカルシウム・マグネシウム・ナトリウム・硫酸塩泉などで、無色透明であり、傷に効くと言われています。
この温泉の歴史は古く、大正3年(1914年)に旭川在住の阿久津啓吉が発見したことに始まっています。なお、1982年までは勇駒別温泉という名前でした。
上の画像の温泉には勇駒という名が使われています。古くからの落ち着いた湯につかることができます。なお、旭岳温泉は日帰りで入ることができますので、汗を流してさっぱりしてから帰途につけます。
準備をしっかりとして旭岳で登山を楽しもう!
日本100名山に選ばれている、北海道のみならず全国的に有名な大雪山の主峰、旭岳の勇姿を写真やビデオで見る機会は多いでしょう。そして、是非とも行ってみたいと思ったはずです。
この絶景の旭岳には初心者から上級者まで楽しめる、各種ルートが用意されています。初心者でもロープウェイを利用すれば旭岳を近くで見ることができ、その迫力を楽しめます。さらに実際に頂上へ行こうとしたら、中上級コースです。
こちらはキチンと登山の装備を調えて登りましょう。また健脚家は麓駅から天女ヶ原湿原を歩いて登って見ましょう。見事頂上へ着いたら、息をのむ素晴らしいパノラマに出会えます。旭岳登山を心ゆくまで楽しみましょう。