河内弁は汚い?方言の特徴や一覧・使われている地域などを紹介
河内弁は汚いと言われてしまうことが多い大阪の方言です。この記事では、大阪の方言・河内弁の特徴や一覧・使われている地域などを詳しく紹介しました。河内弁と泉州弁・播州弁の違いについても詳しく説明したので、ぜひチェックしてください。
目次
大阪の河内弁について知ろう!
大阪の河内弁は汚いと言われることも多い方言です。この記事では、大阪の大阪の河内弁について詳しく説明していきます。
そもそも河内弁とは?
ここからは、そもそも河内弁とはどのような方言なのかについて、詳しく説明していきます。
大阪府東部の河内地方の方言
河内弁は、大阪府東部の河内地方の方言です。河内地方の方言・河内弁が使われている地域は、大阪府の「河内」と呼ばれている場所です。河内は日本の地方行政区分(令制国)の一つであり、かつては河内国とも呼ばれていました。
現在はありませんが、以前は大阪に河内市という市もありました。三野郷村・中河内郡若江村・玉川町・盾津町・英田村が合併して、大阪府下で20番目に市制を施行し、河内市が誕生しました。
河内市は、1967年に布施市・枚岡市と合併して、現在の東大阪市になりました。河内という地域は、大阪府の東部に位置していて、南北に広がるような形をしています。
河内地方は藤井寺市・松原市・大阪狭山市・柏原市・河内長野市・富田林市・羽曳野市・交野市・守口市・大東市・東大阪市・八尾市・枚方市・寝屋川市によって構成されています。
河内地方に括られるこれらの地域で話されている方言を、河内弁と呼んでいます。ただ、河内弁が話されている地域は、かなりあって広いので河内の中の地域でも微妙に河内弁が違っていることもあります。
河内は3つの地域に分けることができ、北から南にかけて北河内・中河内・南河内と分けられています。
北河内は、枚方市・交野市の2つの市が含まれています。北河内の地域で使われている方言は河内弁なのですが、中河内や南河内で使われている河内弁とは違っているところもあり、独特なものになっています。
中河内は、大東市・東大阪市・八尾市・寝屋川市・守口市の5つが含まれています。中河内の地域で使われている方言は、大阪市の東部で使われている方言に影響しています。
南河内地域は、大阪狭山市・河内長野市・柏原市・富田林市・羽曳野市・藤井寺市・松原市の7つが含まれています。南河内の方言は、河南町・太子町・千早赤阪村・美原町などでも使用されています。
汚い方言ランキングでワースト入り
河内弁はキツい方言・汚い方言ランキングでワースト入りしています。
河内弁の代表的な言葉として、「何さらしとん?」という方言があります。これは、標準語で「何してるの?」という意味なのですが、かなりキツい印象・イメージを与えてしまう言葉です。
河内弁の中には、他にもキツい印象や汚いイメージを相手に与えてしまうような響きの方言が多数あります。これらの河内弁は、ヤンキー漫画やヤクザの漫画に使われることが多いです。
そのため、河内弁を話されている地域に行ったことがない方でも河内弁を聞いたことがあるという人は多いです。
そのような人が河内弁を話している人を見たときに、「この人はヤクザやヤンキー漫画で使われている言葉を話している」というように思ってしまうこともあります。
そのため、河内弁はヤンキー漫画やヤクザの漫画で頻繁に使用されることで、キツい・汚いと行ったマイナスのイメージを持たれていると指摘する方もいます。
河内弁の特徴を紹介!
ここからは河内弁の特徴について詳しく紹介していきます。
語尾は「け」がつくことが多い
河内弁の特徴として、語尾は「け」がつくことが多いです。河内弁では語尾に「〜やんけ」とつくことが多いです。
「〜ではないか」という言葉は、関西弁で「〜やんか」という形・方言になりますが、河内弁だと「〜やんけ」となります。
そのため、「嘘ではないか」という言葉も、河内弁では「嘘やんけ」という方言になり、相手にキツい印象・イメージを与えてしまうようです。
二人称は「われ」
河内弁の特徴としてあげられるのが、二人称です。河内弁の二人称は「われ」になります。「あなたは」という言葉を河内弁では、「われは」と言います。「われは」が派生した形として、「わら」「わりゃ」というのも使います。
河内弁が汚いように思われる方言一覧!
ここからは、汚いように思われがちな河内弁の方言を紹介していきます。河内弁の方言は、ヤンキー漫画やヤクザ漫画で使用されているため、聞いたことがある方言が多いと思うのでぜひチェックしてみてください。
「ぬかす」
河内弁では、「ぬかす」という方言がよく使われます。河内弁で「ぬかす」とは標準語で「言う」という意味になります。ヤンキ漫画や映画などで、「誰に抜かしとんど、われ?」という言葉を聞いたことがある方は多いはずです。
これは、「誰に言っているんだ、お前は!」という意味になります。かなり強い・キツい印象を与える響きの言葉です。
日常的に使われているイメージもある「ぬかす」という方言ですが、相手の言葉に疑問を持ったり、相手の発言に反発するときに使用される傾向があります。
例:「えげつないことぬかしよる(ひどいことを言う)」「われ、なにぬかしとんねん(お前、何を言っているんだ)」
「さらす」
河内弁では、「さらす」という方言もよく使われます。河内弁の「さらす」は標準語で「する」という意味です。
例えば、「われ、何さらしてけつかるんじゃ!」というのは、「お前、何をしているのか!」「お前、何をしていやがるんだ!」という意味になります。
これを言われるときには、かなりヤバい喧嘩の状況というイメージがある方は多いようです。
例:「何してるの?(何さらしとん?)」「われ、何さらしてけつかんねん!(お前、何してんだよ!)」「えげつないことさらしよる(酷いことをする)」
「しばく」
河内弁の「しばく」という方言は、標準語で「殴る」「蹴る」「暴力を振るう」という意味になります。相手の行動に対して、怒りを感じた時や反発したいときに「しばく」という河内弁は使われます。
ただ、相手がふざけて言った言葉に、笑いながら冗談で「しばくぞ」ということもあります。こういう場合は、話の流れなどでも分かりますが、本当に相手が怒って言っているのかをしっかり見極める必要があります。
また、どこかのお店に「食べに行く」「遊びに行く」「飲みに行く」という意味でも河内弁の「しばく」という方言が使われています。
例:「ええかげん、しばくぞ!(いい加減にしないと、怒るよ!)」「茶しばきにいこか!(お茶を飲みにいきましょうか!)」
「おのれ・おんどれ」
先ほど、河内弁では「われ」「わら」「わりゃ」という二人称が使われていると説明しましたが、実はこれ以外の二人称も使われています。それが「おのれ」「おんどれ」です。
「おのれ」「おんどれ」も相手を示す河内弁の方言です。この「おのれ」がさらに訛って、「おどれ」「おんどれ」「おのりゃ」「おんどりゃ」という方言もあります。
「われ」「おのれ」という言葉であったり、それらが派生して訛った言葉「おのれ」「おんどれ」は、乱暴そうな印象を与えてしまうことが多いです。そのため、河内弁はキツい・汚いというイメージを持たれてしまうようです。
例:「やれ言うたんはおんどれやないかい!(やれって言ったのはお前じゃないか!)」
河内弁が使われる地域は?
ここからは、河内弁が使われる地域について説明していきます。
この記事の最初の方で、河内弁が話されている地域の河内地方は3つの地域に分けることができて、北から南にかけて北河内・中河内・南河内と分けられていることを説明しました。
実は方言も、北河内方言・中河内方言・南河内方言というものがあり、それぞれ特徴が異なります。ここからは、それぞれの方言の特徴を詳しく説明していきます。
北河内方言
河内地方の中でも北の方にある北河内(枚方市・交野市)では、位置的に京都が近いので、京都の方言・京言葉の影響を受けています。
そのため、ヤクザやヤンキー漫画の影響を受けている河内弁の中でも、北河内方言は柔らかい方言が多くなっています。
中河内方言
河内地方の中で中河内は、大東市・東大阪市・八尾市・寝屋川市・守口市の5つが含まれている地域です。
中河内方言は、北河内方言ととても似ています。そのため、中・北河内弁という感じでまとめられることも多いです。中河内方言は、河内弁らしい河内弁ということが特徴で、大阪市東部で使われている方言にも影響しています。
南河内方言
河内地方の中でも南の方にある南河内地域は、大阪狭山市・河内長野市・柏原市・富田林市・羽曳野市・藤井寺市・松原市の7つが含まれています。
南河内方言は、南河内地域に含まれていない河南町・太子町・千早赤阪村・美原町などでも使用されています。
また、南河内弁は、大阪弁の一つである泉州弁とよく似ていると言われています。
河内弁と泉州弁・播州弁の違いは?
河内の地域で話されている河内弁は、大阪府南西部の泉州地域で話されている泉州弁や、兵庫県南西部の播磨地方で話されている播州弁と似ていると言われることも多いです。
ここからは、河内弁と泉州弁・播州弁の違いについて詳しく紹介していきます。
泉州弁との違い
河内弁と大阪府南西部の泉州地域で話されている泉州弁との違いについて説明していきます。泉州弁が使われているのは、堺市・岸和田市を中心とした泉州(和泉国)という地域になります。
河内弁と泉州弁は、語尾に「け」がつくことが共通している特徴です。ただ、河内弁よりも泉州弁は怖い方言と言われています。
その理由は、泉州弁には敬語らしい敬語がほとんどないためです。敬語らしい敬語がないことから、他の関西エリアに住んでいる人や関西弁を話している方からも、「泉州弁は荒っぽくて怖い」という声があがっています。
つまり、河内弁よりも泉州弁は荒っぽくて怖いというイメージを持たれることが多いです。
実際に、泉州弁が話されている地域で、泉州弁でごく普通の日常の会話をしているだけで、他の地域に住んでいる方からすると「けんかをしている」ように見えてしまって誤解してしまうことも多いようです。
自販機の前や道端で大人たちが泉州弁を話している様子は、他の地域に住んでいる人から見ると「大人同士が大声でひたすら怒鳴り合っている」というふうに見えてしまいがちのようです。
泉州弁は敬語らしい敬語がないので、相手に敬意を表す時には「口答えをしない」という態度を見せることで敬意を表します。河内弁の中では、南河内の方言が、一番泉州弁とのつながりが強いと言われています。
播州弁との違い
河内弁と兵庫県南西部の播磨地方で話されている播州弁との違いについて説明していきます。播州弁が使われているのは、堺市・岸和田市を中心とした泉州(和泉国)という地域です。
実は、播州弁は日本で一番キツイ・汚いというイメージを持たれている方言です。播州弁は関西一汚いと言われてしまっている方言で、河内弁よりもかなり濁音が多くなっています。
また、河内弁よりも播州弁は語尾のイントネーションが強くなっているので、より強い・怖いイメージを持たれる原因になっていると指摘されています。
播州弁では河内弁では使用されない方言も多く、例えば「ダボ」などは河内弁にはなく播州弁で使われる方言となっています。「ダボ」の意味は、標準語で「アホ」という意味になります。
また、播州弁には「ぽいんた」という方言もあります。播州弁で「ポインタ」は標準語で「ミニバイク」という意味になります。これは、兵庫県で昔に生産されていた「ポインター」というバイクが語源になっているようです。
河内弁を正しく理解しよう!
河内弁が汚いと言われる理由や、方言の特徴・一覧・河内弁が使われている地域などを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
河内弁が汚いように思われる方言一覧などを説明しましたが、河内弁はヤンキーやヤクザの漫画などで使われることが多いので、河内弁を話している地域に行かなくても元々知っているということも多いです。
実際に、「しばく」「ぬかす」「さらす」「われ」「おのれ・おんどれ」などの河内弁はなんとなく意味が分かるという日本人は多いです。汚い・怖いと言われがちな河内弁ですが、ぜひ河内弁を正しく理解してみてください。