天山山脈はシルクロードの交易路！中国からキルギスへの旅ルートを紹介

天山山脈は文明の発展を担ったシルクロードの一部で、紀元前の昔から重要な交易路でした。中国の洛陽や長安から河西回廊、天山山脈をの南北を通って中央アジアのタラス渓谷に至る、総延長距離約8,700キロメートルにも及ぶ道のりです。

シルクロードの交易路の天山山脈について詳しくみていきましょう。

天山山脈は中央アジアに広がる広大な山脈で、6,000メートルから7,000メートル級の山々を30以上も有しています。最高峰を基準にすると世界で第6番目に高い山脈です。

中央アジアの奥深く、中国のトルファン盆地の北側の山から始まって中国、キルギス、カザフスタン、ウズベキスタンへ東から西へと広がっている山脈です。地球上の最高峰の連邦のひとつとしても知られ、天山山脈で2番目に高いハン・テングリ山の意味は、ウイグル語で「天の王」といいます。

他にも「天」や「神」の意味を持つ名前の山は多くあります。まだ登頂されていない山もありますが、山麓の丘や緩い勾配、たくさんの湖と渓谷が連なり、天山山脈はとても魅力的な山脈です。

天山山脈は中央アジアの東から中国新疆ウイグル自治区中央部までの東西に走る山脈で、全長2,500キロメートルあり中国内は約1,700キロメートルあります。

シルクロードは2014年「シルクロード長安ー天山回廊の交易路網」として世界文化遺産に登録されています。シルクロード沿線上で世界遺産に登録された数は、全部33ヶ所にも及びます。

中国新疆ウイグル自治区6ヵ所（中国が22ヶ所の内）、カザフスタンが8ヶ所、キルギスが3ヶ所です。

シルクロードはタクラマカン砂漠と2つの大山脈を避けるために3つのルートに分かれています。 天山山脈の南側、タクラマカン砂漠の西にあるカシュガルは天山山脈の南ルートからサマルカンド方面、さらに中央アジアに抜ける要衝のオアシスの街で2,000年以上前から栄えてきました。 

中国の西の端にある新疆ウイグル自治区の街で古代より交易の街として栄えてきました。日干し煉瓦の建物に囲まれたイスラムが色濃く漂うエキゾチックなエリアで、現在の新疆ウイグル自治区の中で一番昔ながらのシルクロードの雰囲気を楽しめる街です。

カシュガル市の中心部にあるエイティガール寺院周辺が、旧市街地で、ウィグル族が多く住む地域になります。移民してきた漢民族は新市街地に住んでいて中国の地方都市のようですが、ウィグル地区は大小のモスクがあるイスラムの世界そのものです。

シルクロードに息づくウイグルの文化を感じずにはいられないエリアになります。

中国新疆ウイグル自治区にある、イスラム建築と緑のタイルが美しい、重要文化財に指定されたアパク･ホジャお墓です。17世紀にカシュガルで実権を握っていたイスラム教の指導者アパク･ホジャと5代家系72人にも及ぶ家族が埋葬されています。

実際に埋葬されているのは58人です。清の皇帝乾隆のウイグル族から嫁いだ妃、香妃（本名イパルハン)の墓もここにあります。

香妃を代表した名前で「香妃墓」と呼ばれ親しまれています。高さ29メートル、緑色のタイルを張った円型ドームの屋根が特徴で、四方にはモザイク柄の尖塔があります。

中国新疆ウィグル自治区カシュガル とキルギスの間にある標高3752mにある峠です。キルギス側にはチャティル＝クル湖があり、ナルインからバルイクチへと道幅が狭くなっています。

冬は積雪量が多く豪雪になるので、雪崩が頻繁に発生するので、通行止めになることが多いです。中国側には峠の110キロメートル地点、キルギス側にはウルグチャト県にトルガルト通関が置かれています。

旅行者はこの税関を通過する必要があります。トルガルト峠からウルグチャトまでは110キロメートル、カシュガルまで165キロメートル、アルトゥシュまで170キロメートル、ウルムチまでは1630キロメートルあります。

新疆ウイグル自治区カシュガルを離れるとトルガルト峠へ向かう中国側は、荒涼とした山岳風景が続く山岳地帯に入ります。国境付近は警備も厳しく重い空気を感じますが、イミグレーションの手続きが終了するといよいよキルギスです。

中国側から山岳地帯のトルガルト峠を越えると、いよいよキルギスです。キルギス側は広大な草原が広がります。

広大な草原には遊牧民のユルタが見え、騎馬民族の国なのが伺えます。かの三蔵法師も峠を越えて西突厥（現キルギス）の王に面会したことを大唐西域記に記しています。

トルガルト峠をを越えたキルギス側はとても風光明媚な景色が広がっています。

タシュラバットは標高3,000メートル程の高原地帯にある115世紀頃に建てられたキャラバン隊の宿があります。石を巧みに積み上げて造られた建物の中には、寝室とキッチンなど、多数の部屋があります。

部屋に陽の光を取り入れるために穴が天井に空いています。シルクロードのフェルガナへ向かうルートのキャラバン隊の宿として、とても重要な場所としても有名です。

タシュラバットには面白い言い伝えがあります。1回目に数えた部屋数と2回目に数えた部屋数に違いあります。右回りで数えた部屋数と左回りで数えた部屋数も違います。

その他にもタシュラバットはシリアから来たキリスト教の修道士によって建てられた修道院であった説や実は仏教の僧侶によって建てられたお寺だったという説があります。

三蔵法師が訪れたシルクロードの都も現在は、かろうじて天山山脈を望む大地にブラナの塔がポツンと残されています。2014年に「シルクロード：長安-天山回廊の交易路網」の世界遺産に登録された遺跡です。

塔の高さは25メートル、地震で塔の上部が崩れ落ちていますが、建てられた当時は40メートル以上もあったといわれています。シルクロードの全盛期には、多くのキャラバン隊が往来の多い栄えた都でした。

塔の周りは連なる天山山脈を背に広大な草原は、おすすめの撮影ポイントです。塔の近くには博物館があり、ゾロアスター教の鳥葬後の納骨器などが展示されています。

キルギス南部にある湖で、10万年以上存在するといわれる古代湖です。旧ソ連時代は外国人の立ち入りが制限されていたので、幻の湖といわれてました。

三蔵法師も天竺へ向かう途中で、このイシク・クル湖に立ち寄ったと西遊記に記載があります。三蔵法師も天山山脈を越えてイシク・クル湖を眺めていた、その同じ景色を見ることができます。

イスシク・クル湖は塩湖なので厳しい冬でも凍りません。湖の湖底にはいくつかの遺跡が沈んでいます。

キルギス高原は東洋のスイスと呼ばれる高原で採取された「はちみつ」が有名です。独特な白さがあるフワッとした食感があります。

2013年の養蜂世界大会で最高峰の金賞を受賞しました。パンやチーズと一緒に食べたり、そのままでも食べることが可能です。

玄奘三蔵法師が越えて行った天山山脈は昔も今も人々が往来しています。三蔵法師が見た景色を見ることができると考えただけでもロマンを感じてしまいます。

旧ソ連時代では訪れることができなかった幻の湖、イシク・クル湖などキルギスには魅力的な見どころ満載の観光スポットがあります。三蔵法師が越えた峠や見たであろう広大な風景など手付かずの自然が残るキルギスを訪れてみませんか！