ナトロン湖(タンザニア)は炎の湖?魚やフラミンゴなど動物が石化する?
ケニアとならんで野生動物を見るサファリで有名な国タンザニアですが、動物が石化するとして有名な炎の湖「ナトロン湖」というのが存在しているのはご存じでしょうか。タンザニアでちょっと変わった場所を訪れてみたい方にはおすすめのナトロン湖をご紹介します。
目次
動物を石化させる?炎の湖「ナトロン湖」について紹介!
アフリカのタンザニアと言えば野生動物達を間近で見ることが出来るサファリが観光の目玉です。タンザニアでサファリをするのならば、多くの人が選ぶのがンゴロンゴロ自然保護区とセレンゲティ国立公園です。タンザニアの玄関口、ダルエスサラームからこれらの国立公園へ向かう場合、観光の起点となるのがアルーシャという町です。
このアルーシャは、タンザニアのアルーシャ州の州都です。サファリの合間、ちょっと変わった観光地を訪れたいのであれば、アルーシャで足をのばして行ってみたいのが炎の湖と言われる「ナトロン湖」です。ここは動物を石化してしまう湖として一躍有名になりました。
タンザニアの「ナトロン湖」が炎の湖と言われる理由
ナトロン湖はタンザニアの北東、人類発祥の地とされる大地溝帯に位置し、ケニアとの国境沿いにある湖です。乾季と雨季で湖の大きさが変わりますが、最大で全長50km、幅20kmにもなる巨大な湖です。
この湖が炎の湖と言われる理由の1つは、なんといってもその湖の色です。乾季の9月~10月は湖面が真っ赤に色づくため、このような呼び名がついています。
微生物が大量繁殖している
なぜこのように真っ赤な色になっているかというと、微生物が大量繁殖しているためです。タンザニアの北東部のナトロン湖があるエリアは半乾燥地帯であり、雨季の12月から5月の間に雨が降りますが、それでも年間800ミリ(日本全国の平均降雨量は約1700ミリ)という少なさです。
一応この湖に流れ込む川の水源はありますが、日中は40度を超える暑さのため、湖の蒸発率が高く、湖にも関わらずこの湖には水の出口がありません。
さらに塩度の高い土地であるため、海水の3%をゆうに超える8%の塩化ナトリウムを含みます。そんな海水以上に塩分濃度が高い湖ですが、これを好んで繁殖する微生物が藍藻類のスピルリナです。この微生物が大量に繁殖するため、微生物の赤い色素によって湖が赤く染まります。
強烈なアルカリ性
また、この湖には炭酸ナトリウムを含んだソーダ水が湧き水として出ているため、自然に出来た湖にも関わらず石鹸のような強烈なアルカリ性です。強すぎるアルカリ性はたんぱく質を変性させてしまうため、基本的には動物を死に至らしめます。
この炭酸ナトリウムによって、白い斑点のようなものが湖に表れ、不思議な光景を作り出します。更に気温が高いのも相まって、湖の水温が60度に至る場所もあるため、別名「死の湖」とも呼ばれます。
タンザニアの「ナトロン湖」は動物を石化させる?
高い塩分濃度と強アルカリ性の湖であるナトロン湖は、何よりも動物を石化させるとして有名になりました。ファンタジーのような現実味のない話ですが、上の写真をご覧いただければ空想の話ではないとお分かりいただけるでしょう。これはナトロン湖に落ちてしまい、「石化」した動物の実際の写真です。
動物たちが石灰化する原因
「石化」と言いましたが、正確には「石灰化」です。なんらかの理由で湖に落ちて死んでしまい、打ち上げられた動物達は湖の水分に含まれていた塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムによって、乾燥され、石灰化します。
この石灰化させる成分は干上がった塩湖で自然に採掘できるため、古代エジプトではこの塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムを利用して、ミイラが作られていました。このミイラをつくる時につかった塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムの乾燥剤を「ナトロン」と呼ぶため、ナトロン湖の名前の由来にもなっています。
石灰化した動物
石灰化した動物達の写真で一躍ナトロン湖を有名にしたのが、イギリス人写真家のニック・ブラントです。彼は、湖畔に打ち上げられ石炭化した動物を、生きていた時と同じようなポーズにして写真を撮りました。
死の湖ではないナトロン湖のもう1つの顔
ここまでナトロン湖は塩分濃度が高く、強アルカリ性で動物を寄せ付けない湖として紹介しましたが、実はある動物には楽園となっています。それはフラミンゴです。
実は、ナトロン湖はフラミンゴの一大繁殖地として有名です。ナトロン湖を赤く染める藍藻類は、フラミンゴの餌となります。大地溝帯エリアに生息し、絶滅が危惧されているコフラミンゴの世界総個体数の75%を占める250万羽はこのナトロン湖で繁殖を行っています。
フラミンゴがピンク色なのは、この藍藻類を餌としているため、赤い色素が体に表れていると言われています。また、フラミンゴはこの塩分濃度が高いところで繁殖する微生物を食すために、自身に害が及ばないよう進化した動物でもあります。
死の湖と呼ばれるナトロン湖は、フラミンゴにとって天敵を寄せ付けない楽園でもあるのです。特に雨季の季節は大群を見ることが出来るので、フラミンゴの大群の壮観さを見るには絶好の場所です。
ナトロン湖への行き方と周辺のおすすめ観光スポット
ナトロン湖へは、タンザニアの玄関口ダルエスサラームから飛行機でケニアとの国境近く、キリマンジャロ国際空港に国内線で移動します。そこから車で30分ほどにあるアルーシャ州の州都であるアルーシャを起点にするとナトロン湖観光とともに、タンザニアを代表する国立公園巡りを行うことができます。
ナトロン湖はアルーシャから車で3時間ほどの場所です。四駆の自動車で向かう形となりますが、タンザニアではその他の観光地、国立公園などでも移動手段の基本は四駆自動車となります。
ナトロン湖へはツアーがおすすめ!
アルーシャ周辺はもちろん舗装された道路ですが、一度都市を離れると舗装されていない、四駆で走ることが前提となった土むき出しの道路しかありません。さらに、日本や他の都市のように道路標識も一切ありません。
そしてそこはアフリカ、いつどこで獰猛な野生動物に出くわすかわかりませんので、観光客が個人で車を借りて単独行動は絶対にしてはいけません。必ず現地に精通しているガイド・ドライバーが同行するツアーに参加しましょう。
バックパッカーで現地ツアーに何度も参加したことがあるような方であれば、アルーシャ現地にてツアーを探すことも可能かと思いますが、ぼったくりなどの被害にあわないためにも、日本で事前に、信頼できる会社にてツアー予約をすることをお勧めします。
ナトロン湖周辺も見どころがたくさん!
ナトロン湖周辺には、タンザニアを代表する観光地がたくさんあります。タンザニアの観光の代名詞であるサファリを楽しめる国立公園が2つあります。
1つ目が巨大なクレーターで覆われたンゴロンゴロ自然保護区。ここでは絶滅危惧種であるクロサイを見るチャンスが高いことで有名です。2つ目はセレンゲティ国立公園です。キリンやライオン、チーターはもちろん、有名なヌーの群れも季節によっては出会えます。
動物を観察するサファリでは、動物達の活動時間に合わせる必要があり、日中の暑い時間帯は活動してくれないため、基本的に朝と夕方に出かけることになります。そのため、サファリをする場合は国立公園内にあるロッジに宿泊をする必要があります。
数日かけてサファリを楽しんだら、今度はアフリカ大陸最高峰キリマンジャロを堪能することも出来ます。キリマンジャロは富士山と同じく独立峰なので、乾燥したどこまでも続くサバンナの中に聳え立つ雄大な景色を楽しむことができます。
また、もし3日ほど自由に出来る時間があり、きちんと登山に適した装備があれば、キリマンジャロはなだらかな山ですのでガイドと共に一般人でも登頂が可能です。
その他、マサイ族との交流や、アルーシャ周辺ではキリマンジャロのコーヒー農園を訪れることも出来ます。ナトロン湖と合わせてこれらの観光はアルーシャを起点すると便利です。
タンザニアの大自然を満喫しに行こう
今回はナトロン湖を主にご紹介しましたが、タンザニアにはサファリが堪能できる国立公園や人類発祥の大地溝帯、アフリカ大陸最高峰キリマンジャロと、大自然を堪能できる観光スポットがたくさんあります。それぞれ距離があるので日数は必要になりますが、大自然を堪能したい方はぜひタンザニアを訪れてみてください。