大阪西成区の治安は危険?やばいと噂のあいりん地区とはどんなところ?
日本三大ドヤ街の一つ、大阪府大阪市西成区にあるあいりん地区。西成区の中でもとくに治安が悪い危険地帯として有名ですが、あいりん地区のやばい噂の真実とは?西成区やあいりん地区の治安や危険度、危険だという噂の元凶や過去のやばい事件もご紹介します?
目次
大阪西成区は本当に治安がやばい危険地区なの?
大阪府大阪市西成区は、大阪市にある24区のうちの一つで、日本一の高層ビル「あべのハルカス」や大阪のシンボル「通天閣」にも近く、区内には工場と住宅が混在する地域や、レトロな情緒漂う下町があり、西成区の南東寄り、天神の森界隈は、高級住宅地として知られています。
しかし、「西成」と聞いて、多くの人が最初に頭に思い描くのは、過去のやばい事件や危険人物の潜伏など、治安の悪さを象徴する事案でしょう。
確かに過去には何度も新聞沙汰になった西成区ですが、今も大阪市西成区は、本当にそんなに治安が悪く、危険な地区なのでしょうか。事件や騒動だけでなく、社会問題でもでたびたび取り上げられる西成区とは、どのような場所なのでしょうか。
そしてまた、かなりの広さがある西成区全体が危険な場所なのか、西成区の治安の悪さや危険度、現在の状況など西成区について気になることを調べてみました。
大阪西成区(あいりん地区)とは?
誤解している人もいるようですが、西成区=あいりん地区ではありません。全国的にも治安の悪い危険地帯として知られる「あいりん地区」とは、大阪市西成区の北側に位置する一部地域のことです。
JR「新今宮」駅の南側、西は南海高野線、東は阪堺電軌阪堺線で囲まれた、萩ノ茶屋界隈、旧「釜ヶ崎」地区が、やばい、治安が悪いと噂の「あいりん地区」です。西成区全域が治安が悪いというわけでは決していありません。
旧「釜ヶ崎」は、かつて日本一のスラム街と呼ばれ、治安も最悪だった名護町(現大阪市浪速区日本橋界隈)の再開発に伴い、強制移住させられた低所得者の受け入れ先として、安く泊まれる木賃宿が建てられ、発展しました。
戦後は下宿旅館が数多く建ち並び、その立地の良さから近隣の同じような街を吸収する形で急速に巨大化し、日本有数の「ドヤ街」にまで成長を遂げました。
ちなみに、「ドヤ街」の「ドヤ」とは、「宿(やど)」という意味で、安く泊まれる木賃宿(簡易宿泊所)は、日雇い労働者や低所得者の受け皿になっており、治安悪化の原因の一つになっています。
大阪西成区(あいりん地区)のやばい特徴
大阪市西成区の一部地域が「あいりん地区」とわかったところで、あいりん地区がやばい、治安が悪いと言われる理由を考えてみましょう。治安が最悪といわれるあいりん地区にはどのような特徴があるのでしょうか。
路上で寝ている人が多い
あいりん地区を歩いていると、真っ先に気づく特徴が、路上で寝ている人が多いということです。風景の一部とでも言いましょうか、実に潔く、何の躊躇いもなく、まるで我が家にでもいるように自然に道路で寝ている人をよく見かけます。治安の面からは、はなはだ心配です。
歓楽街やハロウィン後の渋谷などでも、羽目を外し過ぎて泥酔している若者を見かけることもありますが、あいりん地区で路上で寝ている人は、酔っ払ってうっかり眠り込んでしまったわけではありません。
最初からそこで眠るつもりで、準備万端。当たり前のように布団をかぶったりしています。路上生活者というほど根を下ろした感じはしませんが、さも当然のようにゴロンと屋外で横になっている人が、気になるほど多いというのは、やばい特徴といえるでしょう。
公衆トイレのような臭い
あいりん地区には、「立ち小便禁止」の張り紙があちらこちらに見られます。これは、全国の「ドヤ街」共通の特徴のようです。つまりは、それほど立ち小便が当たり前ということなのでしょう。公衆衛生の悪さと治安の悪さは比例するので、ゆゆしき状況です。
そのせいか、あいりん地区に足を踏み入れると、どこからともなくアンモニア臭が漂ってきます。冬場はまだましですが、梅雨の晴れ間や真夏は、ちょっと鼻をつまみたくなるほど強烈です。
とはいえ、しばらくあいりん地区をうろついていると、嗅覚が麻痺してだんだん気にならなくなってきます。おそらく、あいりん地区で暮らしている人は、それほど気にしていないのでしょう。治安というより、衛生面から不安になるあいりん地区の特徴です。
要塞化された西成警察署
西成区、あいりん地区の真ん中のちょっと西寄りに、あいりん地区の治安を守る大阪府警西成警察署があります。治安が悪いことでは知らない人はいないあいりん地区にある警察署だけあって、一般的に考えられるフレンドリーな警察のイメージは皆無。
来るものを拒む強固な鉄柵がぐるりと敷地を取り囲み、威圧的な雰囲気を醸し出しています。過去に何度も暴動が起き、酔っ払いによる喧嘩や窃盗などの軽犯罪が日常茶飯事ともいわれる、治安が悪いあいりん地区の警察署ならではといえるでしょう。
あいりん地区の住民に言わせると、夜間の西成警察署周辺が最も治安が悪く、危険な地域だというのですから、やばいにもほどがあります。
闇市がある
「闇市」とは、読んで字のごとく闇の市。まっとうな流通システム、市場価格を無視した商売です。あいりん地区は、生活費を切り詰めたい人が多く暮らしているので、フリーマーケットが頻繁に開かれています。
フリーマーケットというほど大げさなものではなく、欠けたお皿や古い週刊誌、いつの物かわからない乾電池など、道になんだかよくわからないものを並べただけの、子供の買い物ごっこのような店もあります。
しかし、店先に並んでいるガラクタ同然の商品はいわば見せかけ。売っても問題のない品物だけで、本当に売りたいものは隠してあるのだとか。交渉次第でそれらのやばい物が取引される闇市の存在が、本当か嘘か、治安が悪いあいりん地区では昔も今も囁かれています。
あちこちで薬の取引がされている?
これも噂の粋を出ませんが、あいりん地区ではあちこちで「バイアグラ」や違法ドラッグ、覚せい剤などやばい薬が売買されているようです。大規模な麻薬取引なら警察も黙っていないでしょうが、危険地帯のあいりん地区なら多少のやばい取引は、放っておかれるのでしょうか。
あいりん地区に数回通えば、やばい薬を手に入れるのは難しくないとか、道を歩いていると普通に「これいる?」と声をかけられるとか、実しやかに囁かれていますが実態は闇の中です。
治安が悪い云々以前に、やばい薬が頻繁にやり取りされていてもおかしくないと思わせてしまう、そのイメージこそが、あいりん地区のもっともやばい特徴なのでしょう。
大阪西成区(あいりん地区)で起きた事件
治安が悪いことでは日本では指折りのあいりん地区。過去から現在まで、あいりん地区や西成区ではいくつもの事件が発生しています。同一の地域でこれほどたくさんの犯罪が起きるというのは、やはり一種異様といわざるを得ません。
治安が悪いと有名なあいりん地区や西成区で起きた事件の数々を振り帰ってみましょう。
西成暴動
「西成」の名が、恐怖を伴って全国に知れ渡ったのは、この「西成暴動」が元凶です。「西成暴動」は、大阪市西成区のあいりん地区で、1960年代から2008年までに、24回に渡って繰り返された日雇い労働者たちによる暴動事件です。別名「釜ヶ崎暴動」とも呼びます。
低賃金のうえ、仲介業者による搾取が激しい日雇い労働者たちは、日頃から社会や世間に対する不満が鬱積しており、何かのきっかけで爆発すると、暴徒化してしまいがちです。
西成暴動も、初めのころは、些細な事故や事件をきっかけにした自然発生的なものでしたが、1970年代に入ると、政治的な作為によって先導され、ますます激化していきました。それとともに、西成地区は、治安が悪く、やばい危険な場所として認識を深めていきました。
暴徒と化した日雇い労働者たちの矛先の多くは警察に向かい、西成署は何度も襲撃を受けていますから、現在の西成警察署が要塞のようなのも、納得できます。1973年、16日間にも渡って続いた第21次西成暴動を最後に、西成暴動は鳴りを潜めますが、1990年に第22次西成暴動が勃発。
きっかけは、あいりん地区の治安維持に努めるはずの大阪府西成警察署の職員が、不祥事を起こした起こしたことでした。翌々年に第23次西成暴動が起こり、16年のときを経て2008年、第4次西成暴動が勃発。
後年、この暴動にデビュー当時巻き込まれたお笑い芸人が、その時の恐怖をテレビで赤裸々に語り話題となりました。そして現在。第24次西成暴動を最後に、日雇い労働者によるあいりん地区での暴動は記録されていません。
逃亡中の市橋達也が潜伏
2007年に、英会話学校講師のイギリス人女性、リンゼイ・アン・ホーカーさんが殺害され、死体遺棄された事件、通称「リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件」、正式事件名称「市川市福栄における英国人女性殺人・死体遺棄事件」は、逮捕目前の犯人の逃亡劇が話題となりました。
すんでのところで警察の追及をかわし、まんまと逃げおおせた犯人の市橋達也が、逃亡中に潜伏していた場所の一つが、西成区のあいりん地区です。治安が悪い場所だけに、他人に興味がない人が多く、逃亡犯だとは気づかれなかったようです。
市橋達也は、沖縄の離島に潜伏するための資金をあいりん地区に潜んで調達するとう方法で、捜査の目を誤魔化していましたが、日雇い労働で貯めた資金で整形手術を受けるなど、かなり狡猾でした。
しかし、こうした画策もむなしく2009年、市橋達也は逮捕され、逃亡生活の全貌が明らかになると、身元の怪しい危険人物が、素知らぬ顔で暮らせるやばい場所として、あいりん地区は注目を浴びることになりました。
大阪西成女医不審死事件
いまだ多くの謎を残す「大阪西成女医不審死事件」。当初は自殺として処理されましたが、自宅の鍵が開いていたこと、郵便ポストが壊されていたこと、洗濯機の中に選択済みの衣類が残されていたこと、指紋がほとんど検出されていないことなどから遺族が事件性を訴え、再調査が進んでいる未解決事件です。
事件発生は2009年。2007年から、西成区鶴見橋の診療所で内科医として勤務し、地域活動やボランティアにも熱心で、「西成のマザーテレサ」と呼ばれていた女医が、深夜の木津川で不審な死を遂げました。その後、左翼の関与も取りざたされ未だ解決のめどは立っていません。
地域の人に慕われた女性医師の不審な死は、西成区の治安の悪さを浮き彫りにしました。
その他いろいろ
偶発的な事件から、親子間の確執、金銭トラブルなど、西成区で起きる事件も、全国的なレベルで考えて、それほど猟奇的で得意なわけではありません。世間を震撼させるような恐ろしい事件は、むしろ西成区以外のところで起きています。
西成区でとりわけ凶悪な危険犯罪が多発しているというわけではありません。西成区は、治安の良し悪しにかかわらず、日本中どこででも起きる、当たり前といってしまえば当たり前の事件の、その発生頻度が高いだけです。
とはいえ、無職の男性が同居人を殴って死に至らしめた、エレベーターの中で男性が殴られて死んでいたといったニュースが日常茶飯事というのはやはり異常でしょう。そうとう治安が悪いといわざるを得ません。事件に含まれない自死や、孤独死、些細な事件の数を考えるとぞっとします。
大阪西成区(あいりん地区)は女性が一人歩きしても大丈夫?
大阪市西成区は、ひとくくりに「治安が悪く、やばくて危険な街」と言い切れてしまうほどやばい地域ではありません。人も羨む高級住宅地だって西成区にはあります。ただ、やはりあいりん地区は、定住者が少ないという点で少し特殊です。
あいりん地区が、無法地帯のように危険で治安が悪いかというとそうではありません。住民構成が多少偏ったところはありますが、普通に、ごく一般的な家庭を築いている人もいます。
現在、あいりん地区もめざましい変化を遂げようとしています。治安も飛躍的に良くなり、日中なら、女性の一人歩きでもそれほど危険を感じることはないでしょう。現在再開発が進む、のあいりん地区についてご紹介します。
一つ忠告ですが、よく安全性のバロメーターとして、女性が一人歩きできるかが取り上げられますが、あいりん地区に限らず。世界中、深夜に女性が一人歩きして安全な場所はありません。それだけはきちんと覚えておきましょう。
日本は治安が良いと言われますが、何の警戒心もなく、無防備に街をうろついてもいいほど、治安が良い場所は地球上にどこにもありません。
大阪西成区(あいりん地区)に変化が出ている?
現在のあいりん地区は、日雇い労働者がカツカツの暮らしを強いられていたかつてのあいりん地区とは一味違います。少なくとも昭和の時代には、たとえ昼日中であっても、あいりん地区を女性が一人歩きしようなんて、考えもしませんでした。
そんなあいりん地区ですが、SNSの影響もあって、わざわざ足を運ぶ観光客、旅行者もいるくらい、様変わりしてきています。
その筆頭として、長年あいりん地区の居住者の生活と健康をサポートしてきた「あいりん福祉サポートセンター」の、老朽化による建て替えがあげられます。閉鎖に際しては反対派による講義もありましたが、あいりん地区の再生に際して、大きな役割を果たすことは間違いありません。
安宿が外国人旅行客に人気
日本は今や世界有数の観光国家になりつつあります。中には、できるだけ安く旅行を楽しみたい観光客もいます。そんな観光客にとっては、あいりん地区の簡易宿泊所は、安価で、しかも立地も良くとても魅力的です。
ホテルなら1泊10000万円は下らないところ、食事なし、トイレ共同とはいえ、1泊1000円から、安いところでは500円~800円というあいりん地区の簡易宿泊所は見過ごすことはできません。現在あいりん地区の簡易宿泊所は、外国人パックパッカーに大人気です。
日雇い労働者の高齢化が進み元気がない
かつては元気いっぱいで、治安を乱し、喧嘩っ早く暴動も辞さなかった日雇い労働者たちですが、高齢化が進み、以前のような荒々しさは息をひそめました。治安は良くなり、暴力沙汰や暴動事件は減ったものの、自死や孤独死といったまた別の問題が浮上しているのも事実です。
星野リゾートによる再開発
もともと立地が良く、平坦で住みやすいあいりん地区。バブルの時代にも置き去りにされ、治安は悪化の一途を辿ったあいりん地区ですが、現在は再開発の波が押し寄せています。あいりん地区の最寄り駅、JR「今新宮」駅の駅前開発に名乗りを上げたのが、高級リゾート開発で有名な星野リゾートです。
星野リゾートは、あいりん地区とは反対側の、駅北側に14階建てのホテルを建設する構想を発表しており、これによりあいりん地区の治安が悪いイメージが一新されるのではないかと期待されています。
あいりん地区はやばいけれど危険でも治安が悪いわけでもない
あいりん地区は確かに、住所が定まらない日雇い労働者が多く暮らす街ではあります。身元が怪しかったり、脛に傷を持つ人が隠れ住む街と言えないわけでもありません。間違っても治安が良いとは言えないでしょう。
しかし、後ろ暗いところがある人はひっそりと暮らしているもの。やたらめったらに他人に絡んでくることはありません。腕っぷしの強い酔っ払いが闊歩していた昔の活気は、あいりん地区には今は見られません。
日雇い労働者たちの高齢化に伴い、あいりん地区の治安は格段に良くなています。むしろ今のあいりん地区は、日本の社会問題を内包した未来絵図。あいりん地区の危険度は、治安以前に、そのまま日本社会の危険度と言えなくもないのです。