アブシンベル神殿はエジプトの世界遺産!大神殿内部など見どころを紹介
「世界遺産」誕生のきっかけとなったアブシンベル神殿は、ピラミッドと並ぶエジプト観光の人気スポット。大小二つの神殿からなるアブシンベル神殿は、見どころ満載です。古代エジプトでもっとも有名な王の一人、ラムセス2世が建てた、アブシンベル神殿の見どころをご紹介します。
目次
アブシンベル神殿はエジプトにある世界遺産!
アブシンベル神殿は、カイロから南へ1180Km、アスワンからさらに南へ280Km、スーダンとの国境近くにある岩窟神殿で、アブシンベル神殿を含むヌビア遺跡は、エジプトにある7つの世界遺産のうちの1つです。
エジプト人が愛してやまない、古代エジプトの英雄にして偉大な王ラムセス2世が、太陽神ラーと、愛と美と豊穣の女神ハトホル、そして15歳のときに娶った最初の王妃ネフェルタリのために、紀元前1250年ごろに建てた美しい神殿です。
1979年に世界文化遺産に登録され、毎年数多くの観光客が訪れるエジプト観光の目玉です。
アブシンベル神殿の歴史について
古代エジプト史において、もっとも有名な王の一人、ラムセス2世。その治世は67年(諸説あり)にも及び、領土を広げエジプトに繁栄をもたらした偉大なる王として、今も多くのエジプト人の尊敬を集めています。
戦上手だったラムセス2世は、権力の証として、数多くの建造物、記念碑を残し、建築王の異名も持ちます。アブシンベル神殿は、そんなラムセス2世が紀元前1250年ごろ建てたといわれている神殿で、大神殿は太陽神ラーに、小神殿は女神ハトフルと正妃ネフェルタリに捧げられています。
1813年、スイス人の東洋学者ヨハン・ルートヴィヒ・ブルクハルトが、砂に埋もれていたアブシンベル神殿の小壁の一部を発見。1817年、ブルクハルトの有人であったイタリア人の探検家ジョヴァンニ・バッティスタ・ベルツォーニ が、アブシンベル神殿の入口を発見し、内部に入れるようになりました。
1960年代には、ナイル川におけるアスワン・ハイ・ダムの建設計画により、アブシンベル神殿は水没の危機にありましたが、ユネスコによるヌビア遺跡保護キャンペーンが功を奏し、1964年から4年の歳月をかけて、約60m離れた丘の上に移設されました。
このユネスコの活動がきっかけとなり、1972年世界遺産条例が発足。1978年に世界遺産第一号が登録され、翌1979年、アブシンベル神殿を含むヌビア遺跡も、世界文化遺産に登録されました。
アブシンベル神殿の見どころ4選!
約3500年前に建てられたアブシンベル神殿。砂岩を掘って造った神殿や像の迫力と造形美が、見る者の心をとらえて離しません。芸術的な美しさはもちろんですが、気が遠くなるほど長い時間を超えてきた、歴史の重みにも圧倒されます。
そんなアブシンベル神殿には見どころがいっぱい。何時間でも何日でも見続けていたいほどですが、なかでもとくにおすすめの、見どころを厳選してご紹介します。
①アブシンベル大神殿
まずは何といってもアブシンベル大神殿。アブシンベル神殿は、大きい方がアブシンベル大神殿と呼ばれ、入り口には4体のラムセス2世像が鎮座し、中央に太陽神ラーの像があります。
神殿の内部には、オシリス神のポーズをとる左右4対のラムセス2世像、数々の戦の様子を描いたレリーフや神聖な儀式の様子を描いた壁画、4体の神を祀った「至聖所」などがあります。
②アブシンベル小神殿
アブシンベル大神殿から北に100mほど離れたところにあるアブシンベル小神殿は、愛と美と豊穣の女神ハトホルと、ラムセス2世の正妃ネフェルタリのために建てられた神殿です。
正面には、2体のラムセス2世像に挟まれたネフェルタリ像が左右対称に配され、奉納碑文には、「この岩窟神殿は、偉大なるラムセス2世が、正妃ネフェルタリのために造ったものである。永遠に、彼女のために朝日が昇る」と刻まれています。
内部には、女神ハトホルの柱や、正妃ネフェルタリを称える言葉が刻まれたレリーフなどがあり、壁画のラムセス2世とネフェルタリが、対等のサイズに描かれているのも興味深いです。
③ラムセス2世像
高さ約22m、そびえたつような4体のラムセス2世像は、アブシンベル神殿のシンボル的な存在です。左から右へ、ラムセス2世の若いころから順に4体の像が並んでいますが、左から2番目の像は、アブシンベル神殿完成の数年後に起こった巨大地震で崩れ、頭部が左端の像の足元に転がっています。
④音と光のショー
夜になると、アブシンベル神殿は、また違った姿で見るものを魅了します。19:00頃から、プロジェクションマッピングでアブシンベル神殿に関わる歴史を映し出す演出はドラマティックでロマンティック。満天の星のもと、音と光に彩られたアブシンベル神殿の幻想的な美しさは必見です。
アブシンベル神殿では年2回「ラムセスデイ」がすごい!
アブシンベル神殿の大神殿の最奥には、4体の神の像が安置されていますが、年に2回、昇ったばかりの朝日が真っ直ぐに左から2番目のラムセス2世の像を照らすように設計されています。
この日は、「ラムセスディ」と呼ばれ、ラムセス2世を称える祭りが執り行われます。かつては4月22日と10月22日に決まっていましたが、最近ではずれる年もあるようです。
アブシンベル神殿観光のベストシーズン・入場料は?
水没の危機にさらされたアブシンベル神殿は、移築され現在は、アスワン・ハイ・ダム計画によって造られた人造湖のナセル湖のほとりに佇んでいます。首都カイロから遠く離れ、辺境ともいえる地にあるアブシンベル神殿。遺跡なので快適な空調設備など望むべくもありません。
そんなわけで、アブシンベル神殿観光は、訪れる時期によっては苦行にもなりかねません。せっかく素晴らしい世界遺産を観光するなら、快適な時期を選びたいもの。アブシンベル神殿を観光するのに適したシーズンはいつなのでしょうか。併せてアブシンベル神殿の入場料など基本情報をご紹介します。
ベストシーズンは冬
国土のほとんどが砂漠のエジプトは、一年を通して気温が高く、乾燥しています。アブシンベル神殿があるエジプト南部も例外ではなく、夏の日中は気温は40℃を超え、50℃になることもあります。
なので、観光に最も適したシーズンは、10月から4月にかけて、エジプトの冬です。日中の気温は13℃~15℃と過ごしやすく、雨もほとんど降りません。
ただし、12月から2月の真冬は朝晩の寒暖差が激しく、夜はかなり冷え込みます。また、3月から5月は、砂嵐が起きることがあるので注意が必要です。
入場料について
アブシンベル神殿の入場料は、値上がり傾向にあり、行くたびに高くなっているという人もいるほど。2019年11月の時点では、入場料は240エジプトポンド(EGP)で、ラムセスディは500(EGP)です。1エジプトポンドは2020年3月現在でおよそ7円です。
アブシンベル神殿への行き方は?
エジプトが世界に誇る世界遺産アブシンベル神殿は、首都カイロから南へ1180Km離れたアスワンからさらに南へ280Km行った先の、スーダンとの国境近くにあります。カイロからアブシンベル神殿までは、日本の本州を縦断するほどの距離があります。
カイロからは、航空便が便利。アブシンベル空港からアブシンベル神殿までは、無料のシャトルバスが運行されており、所要時間は10分ほどです。日本からの直行便は出ていないので、カイロからの乗り継ぎになります。
アブシンベル神殿に行くならツアーがおすすめ!
カイロからは空路でアブシンベル空港に入り、無料シャトルバスが便利ですが、それ以外だとアスワンからのアクセスになります。アスワンからは車で3時間程度。長距離バスを使う方法もありますが、バスの故障も多く、砂漠の真っただ中で立ち往生ということも珍しくありません。
安全に、確実にアブシンベル神殿まで辿り着きたいなら、信頼のおける旅行会社が主催するツアーがおすすめです。
アブシンベル神殿の内部は写真撮影できる?
世界に冠たるエジプトの遺跡。できれば記念に写真に収めたいと思う人は多いでしょう。アブシンベル神殿は、以前は写真の撮影は禁止されていましたが、2018年2月から、入場料とは別に料金がかかりますが、写真撮影ができるようになりました。
2018年の解禁当時で撮影料は300EGP。頻繁に料金の見直し(値上がり)があるので、お出かけの際には、ご確認ください。
エジプト旅行ではアブシンベル神殿に行ってみよう!
エジプト観光といえばピラミッドが真っ先に頭に浮かびますが、古代エジプトの英雄ラムセス2世が建てたアブシンベル神殿も、忘れてはならない、エジプト観光の目玉です。
アブシンベル神殿は、日本からのアクセスは良くありませんが、訪れただけの価値はある、素晴らしい世界文化遺産です。エジプト観光の際には、アブシンベル神殿観光をぜひお忘れなく。
住所 | Aswan Governorate, Abu Simbel |
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電話番号 | +20 2 22617304 |
入場料 | 250EGP~ |
アクセス | アブシンベル空港から車で10分 |