ギリシャの治安は危険?アテネなど旅行や観光での注意点も紹介
ギリシャ観光時の注意点をまとめました。ギリシャ旅行する際、気をつける点は多々ありますが、まずココを抑えておけば旅行の際も大丈夫!アテネ・テッサロニキ・サントリーニ島などの観光地での治安状況や治安情報について詳しく解説しています。
目次
ギリシャ旅行の前に知っておきたい治安状況
古代オリンピックやさまざまな世界遺産で有名なギリシャ共和国(以下「ギリシャ」)。もともと欧州の中でも温和な国で、比較的治安の良好な国と言われています。
しかし、2009年の政権交代により深刻な財政状況が表面化したことに伴い、国内経済は極端に悪化してしまいました。このことから失業率も上がり、一方で緊縮財政も進められているので自由に使えるお金が増えず、労働組合等によるデモやストライキが多発しています。この過程で治安も若干悪化しました。
また、近年急増している不法移民等による犯罪にも旅行者は注意を向ける必要があります。現在では、国内治安情勢は厳しい状況にあると言わざるを得ません。旅行する際は充分に気をつけるべきでしょう。
日本からギリシャまでの直行便は現在ありません。乗り継ぎの都合で、首都アテネの空港に到着するのが暗くなってから、ということもよくあります。到着してからギリシャのホテルにつくまでは、気を引き締めてかかりましょう。
ギリシャとはどんな国?
ギリシャはヨーロッパの南東端にあり、地中海に面していて、その南方にはアフリカ北部のリビアがあります。ヨーロッパとアフリカの交差点という立地ですね。トルコとも接しているのでアジアとの接点でもあります。主な国境は北西ではアルバニア、北では北マケドニア共和国とブルガリアと接しています。
ギリシャは9つの地理的地域からなり、マケドニア、中央ギリシャ、ペロポネソス半島、テッサリア、イピロス、エーゲ海諸島、西トラキア、クレタ島、イオニア諸島に分けることが出来ます。国境のある北部を除き、東にはエーゲ海、西にはイオニア海、南には地中海とそれぞれ海に囲まれている国です。
ギリシャの最高峰はオリンポス山で2,917メートル。サントリーニ島を始めとして、小さい島々が多いことも魅力の一つです。地中海性気候に属していて、年間を通して温和で過ごしやすいと言えます。ギリシャの年間の平均気温は、アテネが18.4℃、テッサロニキが15.6℃。夏季(6~9月)は晴天が続き、日中の気温が30℃を超えることもよくあり、日差しもきついことが多いです。
ただしギリシャの湿度は低いので、日本のような蒸し暑さはありません。冬季(12~3月)は、1年の間で一番雨の多い季節となります。最も気温が下がるのは1月で、アテネの月間平均気温は10.3℃、北部のテッサロニキでは5.2℃と冷え込みます。山間部では降雪もあります。
現在のギリシャは、1890年のオスマン帝国からの独立が起源となる共和国です。しかし、古代ギリシャ文明が欧州、ひいては現在の哲学や民主主義に与えた影響は大きく、今なお全世界から注目を集めている国です。
外務省発表によるギリシャの危険度
現在、外務省から治安に関し、ギリシャの危険情報や感染症危険情報は出ていません。しかし2018年12月17日、「人民戦士団」と称する反体制武装組織が、アテネにおいて爆破事件を起こしました。これ以降、国内の反体制武装組織による政府関連施設や治安機関等に対する爆破事件の恐れは消えていません。
現在までにギリシャで発覚している爆破事件等の計画の大半は、夜間、ギリシャ国内の人のいない所が爆破対象になるなど、人の殺傷を目的としていないものです。しかし、犯行声明の中では政治家や治安機関を厳しく非難しているものもあり、今後大きなテロが勃発する可能性も排除できないことから、治安にも注意が必要です。
また、ギリシャの都市部の地下鉄、観光スポットや繁華街では、スリ、置引き、ひったくりや強盗の被害が多発しています。外務省によれば、犯罪者にとって日本人旅行者は、ギリシャにおいては多額の現金等を所持している上に警戒心が薄い「狙いやすいターゲット」のようです。残念ながら標的になりやすいことは、頭の中にとどめておきましょう。
ギリシャの治安が悪い場所
アテネのシンタグマ広場
シンタグマとはギリシャ語で「憲法」の意味。国会議事堂に面した広場です。アテネ市内でも中心部に位置するので様々な人が集まります。そして集会やデモもよく開かれています。
常に治安が危険な場所というわけではありませんが、デモや集会が開かれる時は近寄らないのが無難でしょう。デモや集会が開催される時は、駅が一時的に封鎖されたり公共交通機関が運休になることが多いです。駅における広報や公式ホームページなどでの事前の情報収集をおすすめします。治安情報も緊急のものはギリシャ語のみでしょうが、英語のものも発表されます。
また、シンタグマ広場周辺にはぼったくりバーがあり、騙されて連れて行かれるなど危険なケースもあります。馴れ馴れしく話しかけてくる人に注意して下さい。手段としては、男性旅行者をターゲットに「今何時?」とか「タバコの火を貸してくれない?」などと声をかけてくるようです。
下手に応対してしまうと、「ちょっと行ったところにいい店があるんだ。一緒に行かないか?」といった風に誘ってきます。行き先は、ギリシャの暴力団が経営するぼったくりバー。陽気な雰囲気につられて、ホイホイとついて行かないようにしましょう。
この他に路上で声をかけてくるのは物乞いなどにも注意が必要です。1度応対してしまうとカモとみなされ次から次にやってきます。話しかけられても相手にせず、やり過ごして観光を続けましょう。
アテネのオモニア広場
オモニア広場、そして地下のオモニア駅ともに、市内交通の要所です。やはりいろいろな人が集まってくる場所です。不法滞在の移民や麻薬中毒者が多く徘徊していて、アテネの地元民にとっても「治安を考えるとちょっと危険なエリア」という認識のようです。もちろん、昼間歩いていてすぐに危険が迫ってくるということはありません。それでも注意は必要です。
しかし夜間は治安に関し気を配りましょう。あわせて周辺の裏通りに足を向けることはおすすめしません。廃ビルに不法移民やホームレスの人達が住み着き、様々な危険なトラブルも起きています。
広場の西側のアギウ・コンスタンティヌ通りなどは現地の人でも近づかないエリアです。
広場の北東に位置するエクサルヒアは、若者に人気のバーや飲食店の多い活気のあるエリアですが、犯罪が起こることもしばしば。ギリシャ考古学博物館周辺も治安はあまりよくないので、歩く際は危険に注意して大通りをメインに利用しましょう。
アクロポリス
アテネで最も有名な観光地で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。ギリシャの中でもやはり観光客が多い分、治安に問題点も。スリや置き引きも多いです。丘の上にあるので、軽装で行くことをおすすめします。また、野良犬がたくさんいるので噛みつかれないように気をつけて!犬が苦手な方でなくとも、狂犬病など警戒するべき点はたくさんあります。
アテネのメトロ
利用者が多いので、スリの多発地帯です。長引く不況や中東・アフリカからの移民の流入で、物乞いや物売りが激増しています。こういったエリアで治安が悪いというわけではりませんが、乗車する際は注意が必要です。
リュックサックは前に構えるなど、少しの対策で周囲に「こちらはスリに気をつけている」というアピールができます。また南京錠をつけておくのも効果的です。スキを見せないことが最大の防御の手段となります。
自販機の前で戸惑っていると、「切符を買ってあげる」と言って強引に切符を購入し、手間賃を要求されるケースもありました。切符購入の際に割り込んでくる人、話しかけてくる人には「No」と言って相手にしないことが大事です。
サントリーニ島のイアの古城
近年、日本の観光客に大人気のギリシャ・サントリーニ島。なかでもイアの古城は特別人気のあるスポット。観光客はもちろんのこと、窃盗団も同時に集まるようです。治安の面でもスリやひったくりの被害が、かなりの数で報告されています。気をつけて観光しましょう。
テッサロニキ
ギリシャ北部の人気都市です。こちらにも古代遺跡がたくさんあります。アテネとはまた雰囲気の違う町並みを楽しむことが出来ます。ただし、市の中心部や駅の周りなどでスリや置き引きの被害が報告されています。アテネほどの大都市ではありませんが、治安に気をつけることは必要です。
ギリシャでの観光客をターゲットにした犯罪
スリ
ギリシャで観光客が被害に合う代表的な犯罪の1つです。ズボンのポケットに財布やスマホを入れていたら、確実に標的になります。基本的に金銭や電子機器は、口の閉まるかばんの中に入れておきましょう。
都市部のアテネだけでなく、サントリーニ島などの島々でも注意が必要です。
置き引き
空港や街なかで、スーツケースを置いたまま地図を見てキョロキョロしていませんか?そんなあなたも格好の標的です。ギリシャでは、荷物は必ず目の前に置くこと。歩いている途中の地図の確認は最小限にして、あまり長時間手元に意識を置かないようにしましょう。サントリーニ島など、島しょ部に行く際は荷物も多くなっていることでしょう。その際も気をつけて。
中には観光客の衣服に液体をかけ、拭き取っている隙に置いたバッグ等を盗み取ることもあるようです。さらには、記念写真を撮ってあげるふりをして、観光客が足下に置いたバッグ等を盗み取ることもあるなど、ギリシャでも置き引きの手段は巧妙化しています。
「荷物から目と手を離さない」意識が大事です。
ひったくり
手提げバッグや肩掛けバッグなど、するりと取られてしまうバッグは格好の標的。肩掛けバッグであればなるべくたすき掛けにしたい所です。ひったくり犯も、狙うのは取りやすく、金目のものが入ってそうなかばん。危険を犯してまで無理やり取ることはしてきません。
ギリシャ旅行を安全にするための注意点
目立つ服装はしない
「わたし観光客です!」とひと目で分かるような派手な格好はおすすめしません。スリ犯やひったくり犯の格好の標的になってしまいます。なるべく目立たない格好を心がけましょう。
最近では、シンプルでラフなファッションが好まれている南欧。現地のトレンドを取り入れていくのも悪くないでしょう。 特に白と青のコントラストがくっきりしているサントリーニ島では、服装も白ベースのものを選びたいですね。
たくさん現金を持ち歩かない
とはいっても、外見はアジア人ですし、現地に溶け込むのはやはり難しいもの。であれば持参する現金は必要最小限にして、何かあった際の被害額を抑えることもテクニックのうちの1つです。
財布をすられた際にすぐに対応できるよう、クレジットカードなども最小限にし、支払いを止めるコールセンターの連絡先をスマホに保存しておきましょう。アテネ市内やサントリーニ島など、現地で使うことのないポイントカードなどは持って行かないことです。日本の自宅に置いておきましょう。
深夜や早朝の外出を避ける
治安が悪くなってしまうタイミングはやはり暗くなる時間帯。慣れない土地で、夜むやみに出歩くことは危険です。知らず知らずのうちに犯罪に巻き込まれてしまうかも知れません。繁華街などもなるべく治安の良い明るいうちに観光するようにして、夜は出歩かないことをおすすめします。
危険な地域には行かない
興味本位でも、治安の悪い地域に行ってしまうのはNGです。この記事にも書いてある治安に不安のある場所に夕暮れ時以降に訪問することはおすすめしません。
外務省の「たびレジ」をご存知ですか?このサイトは有能です。ぜひ登録して、現地の治安情報や危ない地域の情報収集も事前に行っておきましょう。
都市部だけでなく、まれにサントリーニ島など島しょ部の情報も発信されます。
その他実際に起こった事件
地下鉄やバスに乗車する際に複数人で取り囲み、持っているバッグや背負ったリュックから財布等を抜き取るなどの事件もありました。偽装警官によるクレジットカードの盗難も、意外とよく起こる事案です。外国人ですし、パスポートのチェックをされることはありえます。
しかし、警察官にクレジットカードを見せなければならないケースはありません。警察官にも関わらず、財布の中身のチェックなどを言い出したら、「Who are you?」などと問いかけて、その場を去りましょう。道を聞くふりをしてホテルまでついてくるなど、つきまとい事例も報告されています。
夕方以降はお気をつけください。しつこい相手には、ホテルのスタッフに助けを求めても構いません。いずれのケースにしてもまわりの人間に助けを求めることが大事です。周りに人がいなくなるようなシチュエーションを避けるため、人通りの少ない治安に不安のある道は歩かない、夕方以降薄暗い道は歩かない、などの対策が必要です。
ギリシャ観光の際は楽しむと同時に身の回りにも注意を向けて
他のヨーロッパの都市とは違い、素朴な雰囲気がウケているギリシャ。そして、古代に思いを馳せるにもぴったりな町並みや遺跡が数多くあり、自分探しの旅行者が数多く訪れるところでもあります。治安への不安もそこまで大きくありません。
サントリーニ島など地中海ど真ん中の観光地では、自然の空の青さと海の青さが私達を包み込んでくれます。
ただし、せっかくの旅行中に犯罪に出くわしてしまっては、楽しみも半減ですよね。ぜひ身の回りはしっかり防備して、治安に関し注意を怠ること無くいろいろな街を旅してみてください。