香港の治安は安全？危険？テロの危険性など旅行においての注意点も解説

香港は、中国南部にある特別行政区です。イギリス植民地の過去があるため、街の至るところに今でもイギリス文化の名残が見受けられます。美味しい点心、100万ドルの夜景、女人街や男人街での激安ショッピングなど、魅力溢れるこの国には、毎年多くの観光客が訪れています。

海外旅行へ行く際は、その国の治安やテロの危険性などが気になります。結論から言えば、最近激化しているデモを除けば、香港は比較的治安の良い国と言われています。

基本的には今も昔と変わらず治安がよく安全ですが、万が一抗議活動や衝突の場に遭遇すると非常に危険です。抗議活動の可能性がある場には近づかないようにし、外出中は周囲への警戒を怠らないようにしましょう。報道などでの最新の治安情報の入手に努めてください。 

香港の治安が比較的良いとは言え、日本人の犯罪被害件数はゼロではありません。

代表的なものは、旅行者が財布やパスポートなどの窃盗に遭うケースです。特に、マカオのカジノで盗難被害に巻き込まれるケースが目立ちます。

一方で、殺人事件や強盗事件といった、凶悪犯罪の事例は報告されていません。対日感情は一般的には良好と言われています。 

2019年6月以来、香港では「逃亡犯罪人条例等改正案」を巡る抗議デモが行われています。この抗議デモは、一国二制度の下で保持している自由が失われるのではないかと懸念したデモ隊と、警察や政府との間の衝突です。

反対運動が激化する中で、同年8月、中国は香港でのデモを「テロに近い行為」と批判したとの報道がありました。半年経過した今でも、この抗議活動に収束の目処は立っていません。

デモ発生前までは、各国政府とも香港渡航時の注意喚起は最小限でした。それが、この度の大規模なデモ活動を受け、オーストラリア、アメリカ、そして日本の順にリスクレベルが引き上げられ、危険性を注意喚起しています。

しかし、外務省の発表によれば、テロに発展する可能性はほぼないとのことです。過去にも香港返還記念日や天安門事件の記念日などに、不満を訴える目的で頻繁にデモ行進が行われています。

また、香港では過去にテロが起こったことはありません。今回のデモはたしかに大規模かつ長期化していますが、テロの標的としてあえて香港を狙うような理由は見当たりません。

とは言え、デモ活動に巻き込まれないよう外出先の最新治安状況を確認しつつ、十分注意した上で渡航して下さい。

デモ活動を除けば、香港は日本並みとは言わないまでも、穏やかで安全な国と言えます。事前にデモ活動や治安の状況を調べておくこと、また危険なスポットや注意すべき犯罪の種類を把握しておくことは大切でしょう。

ここからは、香港旅行で注意すべき犯罪の種類や対策、観光スポット別の治安状況を説明していきます。

比較的治安が良く安全と言われる香港ですが、それでもスリや置き引きといった軽犯罪は頻発しており、旅行者が被害に遭う危険性は十分あります。

以下で、スリや置き引き被害に遭わないための注意点を挙げていきます。

香港旅行へ行った際、最も遭遇しやすい犯罪が「スリ」と「置き引き」です。街中のエスカレーターや地下鉄ＭＴＲ車内、屋台など、その犯罪現場は様々です。「治安も悪くなさそうで人目も多いし、ここなら安全だ」と気を抜かないようにしましょう。

貴重品は取り出しやすい衣服のポケットではなく、バッグの内ポケットなど一番奥にしまうことや、たとえ短時間でも手荷物から目を離さないことを徹底しましょう。 

たくさん街歩きをしたり、ショッピングをすれば荷物が増えてしまいます。リュックだと両手が空き、また荷物もたくさん入れられるので旅行には便利です。しかし、リュックで外出する場合は、スリに遭う危険性が高まるので注意が必要です。

人混みが多く混雑している場では、リュックは必ず背中側ではなく前方に抱えるようにして持ちましょう。背後に背負ったままでは、知らない間に中身を開けられて荷物を盗まれかねません。

また、財布などの貴重品はリュックを開けてすぐ目につくような位置ではなく、ファスナーつきの内ポケットにしまっておきましょう。スリは数秒～数十秒という短時間で、ササッと金目のものを盗む必要があります。仮にバッグを開けられても、中が複雑ですぐに抜き取れそうになければ、諦めてもらえる可能性が高まります。 

中身がすぐに抜き出せるような、チャックがついていないバッグは海外旅行向きではありません。人混みの中で、知らない間に財布を抜き取られていたという危険性もあります。

チャックつきであれば大丈夫というわけではありませんが、犯人が少しでもスリをするのに抵抗感が生まれるような工夫はするべきです。

ショッピングモール内やレストラン、ホテルのロビーなど人目にさらされるような場でも安心しきってはいけません。置き引き犯は、ほんのわずかな隙を狙って荷物を奪っていきます。

 たとえ短時間でも、荷物から目を離さなくてはならない状況であれば、同行者に荷物番を頼むなど十分警戒しておきましょう。海外では、常に置き引きの危険性があるのだと気を引き締めておくべきです。これは、治安の良し悪しに限った話ではありません。 

香港旅行で注意すべきは、スリと置き引きだけではありません。旅行者で土地勘がない人だとわかると、遠回りをしたりメーターを改ざんするなどのぼったくりタクシーも存在します。

続いては、タクシーに乗車する際の注意点について説明していきましょう。

親日家が多く、治安が良いとされる香港ですが、残念ながら旅行者を欺く悪質なタクシー運転手もいます。

予防策としては、乗車する際に目的地を伝えた後、料金はいくらくらいになりそうか最初に運転手に質問しておくことです。

 「わからない」などとはぐらかされることもありますが、大体でいいからと何度も念押ししましょう。「この乗客は警戒心が強いから面倒だな。」という印象を抱いてもらえば、ぼったくられるリスクを減らすことはできるでしょう。 

また、香港でのタクシーの相場を知っておくことも大切です。初乗り運賃や、主要ルート（空港から尖沙咀まで、など）の相場は確認しておくようにしましょう。

当然、時間帯や道路の混雑状況によって前後はあるでしょうが、大幅に高い金額を請求された場合に気が付くことができます。

中にはメーターを使わずに走り出す運転手もいます。メーターが正常に動いているのか確認するようにしましょう。

また、運転中もメーターをしっかり見ていれば、運転手もチェックをされていると気づくので、改ざんなどはしにくくなります。

治安が良いとされる香港での被害件数が多い犯罪は、スリ、置き引き、ぼったくりタクシーです。

しかし、その他にも香港旅行ではシーン別の注意点があります。次から順に説明していきます。

冒頭でも触れたように、現在香港では対政府デモが激化しています。デモは今回が初めてではなく、これまでにもたびたび、不満を訴える目的でデモ行進が行われることはありました。 

デモ現場に遭遇し巻き込まれると、非常に危険です。最も確実な対策としては、デモ活動が激しい時期の渡航は控えることです。しかし、すでに旅行時期が確定している場合は、デモ活動に巻き込まれないよう外出先の最新治安状況を確認してから出かけるようにしましょう。

また、念のためにテロ状況についても一緒に確認しておくようにしましょう。

香港のディープな雰囲気を満喫できるスポットとして、尖沙咀にある「重慶大厦（チョンキンマンション）」が有名です。ここには両替所や飲食店、売店などがそろっており、海外からの旅行者も数多く集まる穴場です。

しかし、香港人によれば、建物内では出稼ぎ労働者たちが日々怪しい取引を行っている現場となっており、治安が悪いとの噂もあるようです。人通りの多いメインストリートにたたずむ雑居ビルですが、知らない人に声をかけられたり、怪しい雰囲気の場所には決して近づかないようにしましょう。 

海外へ渡航する際には、感染症対策も欠かせません。

香港では、1997年に初めて鳥インフルエンザの発生が報告されました。2012年以降、野鳥については30件超の鳥インフルエンザの発生が報告されています。件数こそ多くないものの、野生動物には気軽に触れない、生肉は口にせずしっかり火が通った食材以外は食べないようにすることなどを意識しましょう。

また、デング熱感染も香港では確認されています。蚊を媒体とした感染症で、人から人へ直接うつることはありませんが、重症化すると死に至る危険性もあるため注意が必要です。

蚊の集まりやすい場所にはなるべく近づかないことが一番ですが、長そで長ズボンの着用で肌を露出しないようにすることが大切です。さらに、衣類の上からでも虫刺されの可能性はあるため、強力な虫よけ薬を使うようにしましょう。

香港は一年を通じて気温が高く、日本よりも日差しが強いです。基本的に、冬以外は日焼け止めを塗ってから外出するようにしましょう。

特に、夏場の紫外線はとても強烈です。「気づけば日焼けで肌が真っ赤になっていた！」なんてことにならないよう、外出先でも日焼け止めは持ち歩き、こまめに塗り直すようにしましょう。

香港旅行の魅力のひとつに、食べ歩きが挙げられます。しかし、飲食物の衛生面はどうなのでしょうか？

香港では発展途上国の屋台のようにお腹が強い人でなければお腹を下す、というような危険性は少ないです。もちろん、口に合う、合わないはありますが、基本的に香港で提供される飲食物には、そこまで警戒しなくても良さそうです。

香港の治安は、人によっては日本よりも安全という方もいるくらい、基本的には穏やかで安全です。そのため、夜道を歩くにも、複数人であればそこまで怖い思いをすることはなさそうです。

しかし、これは日本でも香港でも同じですが、いつどんなことが起こるかはわかりません。あまり夜遅い時間に一人で長い道のりを歩いたり、人通りの少ない道を歩いたり、女性だけで出歩くことは犯罪を誘発してしまうので避けましょう。

香港旅行で行くべき観光スポットの中でも、注意が必要な場所があります。

それぞれの注意点を以下で紹介していきます。

香港にはナイトスポットが数多くあり、他の国に比べると、普段ナイトスポットに行かないような人でも敷居が低いのではないでしょうか。

場内は人が多く暗いので、スリや置き引きに注意しましょう。身動きも取りやすいよう、荷物は最小限で、多額の現金は持ち歩かないようにしましょう。

香港ディズニーは、世界の中でも待ち時間が非常に少ないディズニーランドとして有名です。気になるクオリティですが、アトラクションやショップは、数も質も十分魅力的です。全くもって、他のディズニーランドと比較して劣っているわけではなく、ディズニーの世界観をゆっくり楽しめる贅沢な空間です。

しかし、唯一気になることで言えば、治安ではなくゲストのマナーです。アトラクションなどの待ち列でゲストが騒いでいたり、周囲の人にぶつかったりと、マナーの悪さは少し気になるかもしれません。 

ネイザンロードは、香港の九龍にある、尖沙咀から旺角まで南北に走る道です。派手で大きな電子看板がぎっしり並んでおり、これぞ香港とも言える景色です。屋台での食べ歩きや、女人街や男人街でのお土産探しなど、魅力に溢れたエリアです。治安が悪いというわけでもありません。

しかし、ここではしつこい客引きに注意が必要です。声をかけられた時は、ハッキリＮＯと断ることが重要です。

また、「呼びかけに答えるということは日本語が通じる＝日本人である」とのことから、狙われてしまうこともあるようです。そのため、客引きが声をかけてきても、一切無視をするのが賢明でしょう。 

以上が、香港の最新の治安状況でした。香港は、普段忙しい人や、長期で休みが取りにくい人にも、「近（近い）・安（安い）・短（短期間で行ける）」として人気な国です。

 警戒させてしまったかもしれませんが、安全に楽しく旅をするには、しっかり現状を把握した上で対策を準備しておくことが大切です。デモやテロなどの治安状況は逐一確認し、安全にはくれぐれも気を付けて、ぜひ香港のディープな魅力を満喫してみてください！