かんずりとは唐辛子を使った新潟の伝統調味料!名前の由来や使い方を紹介
かんずりとは、唐辛子を使った新潟の伝統調味料のこと。グルメ通の人たちの間でも話題の美味しさで、和食から洋食まであらゆる料理にアレンジして楽しむことができます。ここでは、かんずりとは具体的にどのようなものかに加え、アレンジ料理や作り方などをご紹介します。
目次
新潟の伝統調味料「かんずり」について紹介!
「かんずり」とは、どのようなものか知っていますか。かんずりとは、新潟県妙高市に昔から伝わる、唐辛子を使った伝統的な調味料のこと。あらゆる料理にマッチし、どんなメニューもおいしくすると人気です。
この記事では、新潟の唐辛子調味料のかんずりとはどのようなものかについて、詳しくご紹介していきます。
かんずりとは?唐辛子の発酵食品?
かんずりとは、いったいどのようなものなのでしょうか。まずは、かんずりとは何なのかについて、基礎知識から詳しくご紹介していきます。
かんずりとはいったい何?
かんずりとは、唐辛子を発酵させた調味料のこと。漢字では「寒造里」と書きます。
唐辛子に麹や柚子、塩を混ぜて約3年間長期発酵させたもので、出来上がりはペースト状です。
製造は、新潟県妙高市本社を構える「有限会社かんずり」が行っており、新潟のかんずりといえば、かんずり社のかんずりを指すことが一般的です。
有限会社かんずり 公式HP |
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かんずりとはどんな味?
かんずりとは、柚子の香りとさっぱりとした味、唐辛子のまろやかな辛さが特徴の調味料。料理につけて食べると爽やかな風味になります。
冷や奴や焼き鳥などの和食からフレンチやイタリアンまで、幅広いジャンルの料理と合わせることができる、万能調味料です。
新潟県妙高市が発祥の調味料
かんずりの発祥は、新潟県妙高市。妙高市は、新潟県の上越地方に位置し、長野県に隣接します。冬になると積雪が4m近くにもなる日本屈指の豪雪地帯で、たくさんの雪と厳しい寒さがこの地方の冬の風物詩です。
かんずりは、寒さ厳しい新潟の冬、冷え切った体を温めるための調味料として食べられていたそうです。
戦国武将にも愛された味
かんずりの歴史は古く、上杉謙信や直江兼続などの戦国武将にも愛されていた味だとか。このことからわかるように、かんずりとは、この地に長く根付く万能調味料なのです。
はじめは、唐辛子をすりつぶしたものにみそを混ぜて簡単に作られていたようですが、現在では、麹や柚子を加えて風味豊かに仕上げられたものが一般的です。
かんずりの名前の由来とは?
「かんずり」とは、ほとんどの人にとって聞き慣れないワードでしょう。なぜ新潟の人たちは、唐辛子の調味料のことをかんずりと呼ぶようになったのでしょうか。
かんずりは、冬に原料の唐辛子を雪の上にさらして作ることから「寒づくり」といわれ、そこから転じて「かんずり」という名前になったとされています。
漢字で「寒造里」と書くことからも、なんとなく想像がつくかもしれません。
東日本を代表する名物調味料
新潟の伝統的な調味料であるかんずりは、地元の人たちに愛され続けている定番。グルメ好きの間にもファンが多く、その美味しさは食通をもうならせるほど。
「東のかんずり、西の柚子胡椒」と、東日本を代表する味のいい調味料としても名が挙がります。
かんずりの作り方
新潟の伝統調味料のかんずりとは、どのように作られるのでしょうか。かんずりの製造工程についてご紹介します。
かんずりの材料
かんずりの材料とは、かんずり用唐辛子、柚子、麹、塩です。シンプルな材料を混ぜ合わせ、長期間発酵させることで独特の味わいをつくり出していきます。
1.唐辛子を塩漬けにする
新潟では、かんずり用唐辛子として、専用のものが作られています。かんずり用唐辛子は自然交配されたもので、辛すぎず、甘みがあることが特徴。一般的な唐辛子よりも少し大きいことも挙げられます。
夏から秋にかけて収穫された唐辛子は塩漬けにされ、冬に本格的に付け込まれるまでの期間を待ちます。
2.雪の上で「寒ざらし」をする
冬の寒い日、ちょうど大寒(1月20日前後)になると、塩漬けにした唐辛子を一度雪の上にさらして天日干しにする「寒ざらし」という作業が行われます。
「寒さらし」は、別名で「雪さらし」とも言われ、真っ白な雪の上に鮮やかな赤色の唐辛子がきれいに並べられます。
塩漬けにした唐辛子を寒ざらしにする理由は、甘みを引き出すため。雪が唐辛子のアクや塩分を吸って、程よい塩気を残したまま甘みとうまみのある美味しい唐辛子になるのです。
寒ざらしは、天気のいい日に3~4日ほど行われます。
3.麹、柚子、食塩を加えて漬け込む
寒ざらしされた唐辛子は、麹や柚子、食塩を加えて樽の中に漬け込まれます。漬けられる期間はおよそ3年。
出来上がる直前にもう一度雪の上で寒ざらしをしていよいよ完成間近です。
4.完成
かんずりの完成までには、収穫や熟成期間を合わせて約4年かかります。手間暇かけてじっくり仕込まれたかんずりは、辛みの奥に甘みや旨味を感じられる、味わい深い仕上がりになります。
かんずりは家でも作ることができる?
かんずりはかつては家庭で作られていたものです。しかし、手間がかかることや発酵させるのが難しいことなど、本格的なかんずりをつくるには、知識や経験がないとなかなかうまくいかないのだそうです。
ただし、寒ざらしを省いた簡易的な方法なら、家庭でもかんずりの手作りが可能。保存は一年中冷蔵庫保存が基本です。
手作りかんずりのレシピ
- 唐辛子をフードプロセッサーにかける
- 水を加え、耳たぶくらいの硬さのペースト状にする
- 米麹を混ぜる(唐辛子の量に対して30%~40%量)
- 柚子果汁や刻んだ柚子を加える(お好み量でOK)
- 塩を混ぜる(唐辛子の量に対して20%量くらい)
- 冷蔵庫で保管
- 数か月後、いい香りがしてきたら食べごろ
家庭でかんずりを作る時は、かんずり用の唐辛子ではなく、一般的なもので大丈夫です。作り方はとても簡単で、すべての材料を混ぜ合わせて、ガラス瓶などの密閉容器に入れて寝かせるだけ。
数日に1度など、適度に瓶の中をかき混ぜ、香りがまろやかに感じられるようになったら一度味見してみましょう。
発酵期間は、最低数か月は必要です。ただし、食べてみて浸かりが浅い味の方が好みであれば、そのまま食べて問題ありません。発酵期間は、お好みで調整してください。
かんずりの使い方とおすすめレシピ
かんずりは、いろいろな料理にアレンジされて使われています。おすすめのレシピをご紹介します。
相性抜群!薬味として使える「焼き鳥」
かんずりは、新潟では焼き鳥用の調味料として定番です。鶏肉の旨味たっぷりの脂と合わさって、なんとも美味しいお酒のお供になります。
食べ応え抜群!「鶏肉と蓮根ともやしとニラのかんずり塩焼きそば」
鶏肉とかんずりは相性抜群。塩焼きそばにかんずりを混ぜると、旨味と辛みのある絶妙なアクセントになります。蓮根ともやしのシャキシャキとした食感が食欲をそそります。
お酒のおつまみにも!「胡瓜のかんずり塩麹あえ」
新鮮なきゅうりにかんずりと塩麹をあえたものを加えれば、即席漬物の出来上がり。食べ始めるとやみつきになる味わいで、なかなか箸が止まりません。
短時間で簡単に作ることができるので、お酒のおつまみにもピッタリ。ヘルシーでおいしい一品に仕上がります。
サラダや鍋のつけだれとしても使える「かんずりドレッシング」
かんずりは、ドレッシングにも使われます。サラダをさっぱりと美味しく食べられる人気のアレンジで、ピリ辛風味美味しいと人気です。
お好みのドレッシングにかんずりを混ぜて風味をプラスすれば、絶品ドレッシングの完成です。
新潟の人たちの定番「かんマヨ」
かんずりは、マヨネーズとの相性が抜群。ピリ辛のかんずりをマヨネーズと混ぜることで辛みがまろやかになり、独特の旨味のある美味しい調味料にチェンジします。
地元の人たちの間では、かんずりとマヨネーズを混ぜ合わせたものを「かんマヨ」と呼び、食卓の常連として愛されています。
朝食にもおすすめ「かんずりサンド」
かんずりをパンにはさんだかんずりサンドは、地元ならではの食べ方。マーガリンやバターと合わさったかんずりは、独特のまろやかさとうまみがたまらなくおいしい味わいになります。
かんずりの保存方法
ここでは、新潟のかんずりを長くおいしく味わうための保存方法や保存期間についてご紹介します。
かんずりの保存方法とは?
かんずりは発酵食品なので、あたたかなところに置くと発酵が進み、酸味が増したり風味が変わったりしてしまう可能性があります。また、直射日光の当たる場所もNG。
未開封なら常温で、開封後は冷蔵庫に保管することがおすすめです。
かんずりの保存期間は?
かんずりの保存期間は、賞味期限は常温で約1年。開封後は、できるだけ早く食べ切りましょう。
かんずりは通販でも購入できる?
かんずりは、通販でも購入することができます。かんずり社の公式ホームページからお取り寄せが可能です。
有限会社かんずり 公式HP |
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かんずりを料理に取り入れておいしく味わおう
かんずりとはどのようなものか、おわかりいただけましたか。かんずりは、さまざまな料理のアクセントとして万能の調味料。戦国時代から新潟で愛され続けてきた、地元の人にとってなくてはならないものです。
ぜひ、新潟に古くから伝わるかんずりを料理に取り入れて、毎日の「食」を楽しんでください。