アミアン大聖堂はフランスの世界遺産!魅力やアクセス方法を紹介
ゴシック最盛期最高峰の建築アミアン大聖堂は、フランスで高い人気を誇る世界遺産です。フランス最大の規模をもつだけでなく、大聖堂の内外を飾るおびただしい彫刻と繊細なステンドグラスは圧巻で、見ごたえたっぷりです。キリスト教美術の集大成、アミアン大聖堂をご紹介します。
目次
フランスの世界遺産「アミアン大聖堂」について紹介!
アミアン大聖堂は、フランス北部ピカール地方にあるソンム県の県都アミアンにあります。ソンム川が流れる地アミアンは、フランスとベネルクス地方(ベルギー、ルクセンブルク、オランダ)、そしてイギリスを繋ぐ重要な位置にあり、古くから主要拠点として繁栄してきました。
アミアン大聖堂ははるか昔から人々が集う重要な地域アミアンは、カトリック教会にとっても主要な位置を占めてきました。紀元前2世紀にはすでにローマ帝国軍の要塞兼居住地があり、3世紀末~4世紀初頭にはアミアン最初のカトリック司教フィルマンが殉教しています。
その後12世紀にはアミアンの人口は1万人を数え、その人々がすべて入れるように1288年に創建されたのがこの大聖堂です。フランス有数の大聖堂として繁栄し、1981年には世界遺産として登録されました。
ゴシック建築の傑作!
ゴシック様式の教会建築は12世紀初めにフランスで始まりました。以前のロマネスク様式にはなかった跳梁を駆使して聖堂の重量をうまく調整し、これにより高い天井や大きな窓が可能になったのです。
この技術を用いていくつもの教会が北フランスを中心に建設されていきます。13世紀前半はゴシック建築の最盛期にあたり、大規模で装飾が最大限に施された建築物となりました。アミアンの大聖堂はそんな最盛期のゴシック建築において、もっとも完成された大聖堂といわれています。
ノートルダム大聖堂との違いは?
ゴシック建築の代表作として大変有名なものにパリのノートルダム寺院があります。アミアン大聖堂との違いは、ひとくちにいえば建設された時代が異なることです。
パリのノートルダム寺院は、アミアン大聖堂より1世紀ほど早い12世紀後半、ゴシック様式の初期に着工されました。ゴシック様式以前のロマネスク様式を一部に残した、初期ゴシック建築の傑作といわれています。アミアン大聖堂にはもはやロマネスク様式の面影はなく、ゴシック完成期のクラシックなゴシック建築です。
アミアン大聖堂の魅力
フランス最大の大聖堂であるアミアン大聖堂は、目を見張るほどの圧倒的存在感があります。遠くからみてすぐに目に留まるのは当然のこと、近くで見てみれば、その壁面を飾るひとつひとつの装飾が巨大で圧倒的なのです。ゴシック建築が可能にした大規模な大聖堂では、装飾さえもが巨大なのです。
正面ファサード上部の王のギャラリーといわれる彫刻群は、フランス国王の22体の彫刻で飾られています。それぞれの高さが3.75メートルもあり、下から眺めれば、手を仰ぐほど高い位置にある彫刻がすぐそこにいるかのようによく見えるのです。
フランス最大の大聖堂
アミアン大聖堂より1世紀ほど前に創建されたパリのノートルダム寺院も、当時の工法を最大限利用した当時最大規模の教会でしたが、アミアン大聖堂建築のころにはゴシック技術がより卓越し、天に向かってより高く、より大きく建設できるようになりました。
アミアン大聖堂は身廊の高さが42.3メートル(ノートルダムは32.5メートル)と、フランスで最も高い大聖堂です。会堂の全長が145メートルというのも最大規模であり、ゴシック建築最盛期の完成形といわれるゆえんです。
大聖堂内外の彫刻
アミアン大聖堂は「石の百科全書」と呼ばれています。それは、大聖堂の内外におびただしい数の彫刻が施されており、その一つ一つにまつわる物語や理由があるためです。建設された13世紀は、文字の読める人が少なかったため、彫刻がカトリックの物語を目で訴えかけるようにつくる必要があったといわれています。
大聖堂の外壁は数々の彫刻で飾られていますが、そのなかでもっとも重要なのが、正面入り口上部の彫刻です。最後の審判を下すキリストと、天国か地獄か、行く先が別れた人々が、あるものは洋々と歩き、あるものは泣き叫び打ちひしがれる様子で示されています。
また、さらに上部の王のギャラリーのフランス歴代の22人の国王の彫刻は、大聖堂に立ち入る者を睨みつけるかのように見下ろしています。
大聖堂内部の装飾や彫像
大聖堂内部の彫刻で代表的なものが「嘆きの天使」です。この彫刻は、ここアミアン大聖堂の内陣奥にあるギラン・ルカ司祭の墓の上に1628年に設置されました。天使は普通は無垢な魂の象徴として愛らしく表現されますが、この天使は悲しみを露わにした表情が心に迫ってくる珍しい彫刻です。
同じく内陣にある「聖フィルマンの生涯」も精緻な描写が肉迫する素晴らしい彫刻です。アミアン大聖堂の初代司教聖フィルマンがアミアンに入ってから殉教するまでに至る生涯が8つの場面に別れて表現されています。
そのほかにも数多くの彫刻がリアルな表情を持って表現されており、アミアン大聖堂の魅力の一つとなっています。
窓のステンドグラス
正面ファサードの巨大なバラ窓には、その大きさに対して気の遠くなるほど細かいステンドグラスが施されています。その色彩の美しさは圧倒的で、壁に続くステンドグラスとともに心を打つ作品となっています。描かれているのはキリストや聖人の生涯の物語で、極彩色が目に飛び込んでくるようです。
文字の読めなかった信者たちに向かって、ステンドグラスで分かりやすく啓蒙することが必要だった時代の説得力のある表現は、何時間見ていても飽きないほどの素晴らしい芸術作品です。
床に描かれたラビリンス
そして大聖堂で見逃せないのが、床の大理石で描かれた巨大な迷宮の模様です。13世紀ごろに建築された教会にはこうした迷宮が施されていました。現在はここアミアンとランス、シャルトルの3か所のみに残っています。迷宮の中心部には建築に携わった建築家や聖人の名前が刻まれています。
この迷路は、当時は大変重要な役割を持っていました。聖地エルサレム奪回を唱えて十字軍が始まったのが11世紀。以降13世紀までフランスやヨーロッパ全土から多くの騎士がエルサレムに向かいました。エルサレム回復熱が高まるなか、聖地エルサレムに巡礼に行きたくともいけないカトリック信者たちが疑似体験できるようにつくられたのが迷宮です。
入り口からたどっていけば、必ず中心部エルサレムに辿り着けるようになっています。かつての人々が口々に祈りを唱えつつ、迷宮をしずしずとたどった姿が目に浮かぶようです。
アミアン大聖堂の工建築期間は?
アミアン大聖堂は司教エブラール・ド・フイイ(Evrard de Fouilly)により1220年ごろから建築が始まり、完成は1266年とされています。当時の大聖堂の建築期間としては大変短期間にあたります。その後建築に携わった建築家たちの名前などが床に刻まれ、最終的な完成は1288年でした。19世紀には新たに聖堂正面の彫刻などが進められました。
アミアン大聖堂で行われるイベント
アミアン大聖堂では、夏(6月中旬から9月中旬)と冬(11月下旬から12月31日)の日没後に50分間ほどのショーが行われます。正面ファサードに800年前の創建当時と同じような色彩が光で再現され、かつてのきらびやかな姿を見ることができます。少し違った魅力を発見できるおすすめのショーです。
アミアン大聖堂へのアクセス方法
パリ北駅(Gard du Nord)からアミアン駅(Amiens)までフランス国鉄SNCFで1時間。アミアン駅から徒歩で10分。
住所 | Tours de la cathédrale Notre-Dame d'Amiens | テキスト |
電話番号 | 33 (0)3 22 80 03 41 & 33(0)3 22 92 03 32 | テキスト |
営業時間・定休日 | 4月、5月、6月、9月は、 見学ツアーが平日の毎日15時、16時30分 自由見学は土曜日と日曜日の14時30分から17時15分 休館日は火曜日、9月最終日曜日、1/1、5/1、12/25 | テキスト |
料金 | 大人8ユーロ。18歳以下は無料。 宝物殿は4ユーロ。 | テキスト |
アクセス | テキスト車の場合は、パリからは高速道路A16またはA1を利用、出口はRoye。 鉄道の場合は、フランス国鉄SNCFのIntercité急行を利用、Amiens下車。 | テキスト |
公式URL | http://www.cathedrale-amiens.fr/en/Prepare-for-your-visit/PRACTICAL-INFORMATION | テキスト |
アミアン大聖堂でカトリックの栄華をしのんでみよう
かつてはフランスの国教として栄華を極めたカトリック教は、アミアン大聖堂やパリのノートルダム寺院をはじめとする素晴らしい大聖堂や寺院などをいまに残しています。その建築や装飾の数々は、カトリックの教えを万人に伝えようと心血をつぎ込んで作りあげられた傑作ばかりです。
こうした作品を毎日間近に見て感じていたかつてのフランスの人々の心に思いを馳せてみませんか。