アゼルバイジャンの治安は危険で悪い?良い?観光などでの注意点も紹介
日本人には馴染みの薄いアゼルバイジャンを観光する際、治安が良いか悪いかとても気になりますよね。そこで、今回はアゼルバイジャンの治安について、危険なところや注意点などを詳しくお話しし、併せてアゼルバイジャンの魅力ある治安の良い観光スポットをご紹介します。
目次
アゼルバイジャンは治安が悪い?観光はできるの?
南コーカサスに位置する旧ソビエト連邦の国、アゼルバイジャン共和国。観光で訪れる場合、危険はないか治安が気になります。
危険なナゴルノ・カラバフ地方は治安も悪い
アゼルバイジャン西部、アルメニアとの国境に近いナゴルノ・カラバフ地方は、アルメニアとの紛争地域です。かつて軍事衝突が起き、現在もなお緊張状態にあるため治安が悪く、非常に危険です。
ナゴルノ・カラバフ以外の治安は良い
アゼルバイジャンは、ナゴルノ・カラバフ以外の治安は良いとされています。しかし、経済が活気づくにつれ貧富の差が拡大。外国資本が流れ込むことで欧米の文化も流入し保守的なイスラム文化との対立も見られ、テロ発生の温床ともなっています。
後に述べるような、身を守るための最低限の対策はとる必要があるでしょう。
アゼルバイジャンとはどんな国?
アゼルバイジャンは日本人にはあまり馴染みがありませんが、どういった国なのでしょうか。
アゼルバイジャンは南コーカサスにある旧ソ連の国
アゼルバイジャン共和国は南コーカサスに位置し、北はロシア、北西にジョージア、西にアルメニア、南はイランに囲まれ、東はカスピ海に接した旧ソビエト連邦の国です。
ソ連崩壊後、独立国家となり、首都バクーを中心に、北海道よりやや大きい国土に人口1,000万人が暮らしています。
第2のドバイ
首都バクーのバクー油田、カスピ海のカスピ油田にガス田と、天然資源豊富なアゼルバイジャンは「第2のドバイ」といわれ、特に首都バクーはバブルに沸いています。
シルクロードの面影
かつてはシルクロードの要所として栄え、ゾロアスター教とイスラム教、キリスト教が出会った地でもあります。そのため当時の面影が残る旅情あるれる土地があちこちにあり、観光名所となっています。
食事もワインも楽しめる
土地柄、羊肉と香草、ヨーグルトを多用した郷土料理の数々は、アゼルバイジャンを訪れたら1度は食べてみたいもの。クセが強いので日本人には苦手な方も多いのですが、そのおいしさに目覚めればハマると評判です。
また、現在はイスラム教徒が多いアゼルバイジャンですが、アルコールに関してはおおらかです。特にアゼルバイジャンワインは有名で、周辺国やヨーロッパに輸出されています。
おすすめ観光スポット
アゼルバイジャンへ行ったらぜひ訪ねてみたい観光スポットを紹介しましょう。
シルヴァンシャー宮殿
首都バクーにあるアゼルバイジャンの世界遺産です。15~16世紀にこの地を支配したシルヴァンシャー王朝の宮殿が残されています。
乙女の塔
バクーのシンボルともいえる塔で世界遺産です。かつて望まない結婚を強いられた乙女がこの塔から身を投げたという伝説が残っています。
旧市街
首都バクーのイチェリ・シェヘルと呼ばれる旧市街には、シルヴァンシャー宮殿や乙女の塔などがあり、街全体が世界遺産となっています。入り組んだ路地やレンガ造りの建物から成る城壁都市です。
フレームタワーズ
首都バクーの今を象徴するユニークなデザインの高層ビルです。第2のドバイにふさわしい新観光名所です。
ゴブスタンのロックアート
バクーから車で1時間。ゴブスタン国立保護区(Gobustan Rock Art Cultural Landscape)の岩壁に描かれた人や動物などの絵は、考古学的な価値の非常に高い世界遺産となっています。
外務省発表によるアゼルバイジャンの危険度
外務省の発表によると、アゼルバイジャンの治安を示す危険度は場所によりレベル1とレベル3に分かれています。危険度レベル1とは、十分注意が必要とされるレベル。レベル3とは渡航中止勧告レベルです。
レベル3:ナゴルノ・カラバフ地域への渡航は禁止
アゼルバイジャン共和国の西部、アルメニアと国境を接したナゴルノ・カラバフ地方はアルメニア人が多く居住し、アルメニアとの紛争を抱えています。アゼルバイジャンの支配が及ばず、実質的にはアルメニアに支配された地域のため、治安が悪いといえます。
アゼルバイジャン、アルメニア両国にヨーロッパ安全保障協力機構も加わり、解決への糸口を見出す努力が続けられていますが、2019年末現在、解決の兆しはありません。
2016年にはアゼルバイジャンとアルメニアの武力衝突が起き、数十名の死者が出ています。停戦合意が成立したものの、その後も小競り合いが続いているため治安の良さを確保できません。
また、アルメニアとの国境を接した地域と、アルメニアを挟んだ飛び地のアゼルバイジャン領ナヒチェバン自治共和国の東部、アルメニアと国境を接した地域では、現在もなおアゼルバイジャン軍とアルメニア軍との対立が続いています。
こうした地域ではいつまた軍事衝突が起きるかわからず、緊張状態が続いているため発砲事件も頻発、治安の悪い状況です。
そのため外務省はこれら地域への渡航中止勧告(レベル3)を出しています。興味半分で決して近づかないでください。治安が悪いため渡航して被害に遭っても、アゼルバイジャン政府は有効な措置がとれなことを承知してください。
レベル1:ナゴルノ・カラバフ以外の地域は十分注意
首都バクーを含め、ナゴルノ・カラバフ以外の地域において渡航禁止は出ていません。比較的治安は良いとされていますが、外務省はレベル1を出しています。観光で訪れる際は十分注意してください。
アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフを除き全土的に治安が良いとされていますが、複数のテロが未然に摘発されており、油断はできません。国内に紛争を抱え、地理的にもテロが起きやすい地域ですから注意が必要です。
また、アルメニアを挟んだ飛び地であるアゼルバイジャン領ナヒチェバン自治共和国は、アルメニアと国境を接した東部はレベル3の渡航禁止ですが、その他の地域はレベル1となっています。
治安は良いとされていますが渡航手段が限られるうえ、アルメニア、トルコ、イランに接しているため情勢に関する情報を入手し、安全対策を講じましょう。
日本からアゼルバイジャンへ行くには?
日本からアゼルバイジャンへの行き方を紹介します。
日本からの直行便はない
日本からアゼルバイジャンへの直行便はありません。カタール航空、トルコ航空、アエロフロート(ロシア航空)で行くのが一般的で、いずれも最低1回は乗り継ぎます。
最もポピュラーなのはカタール航空を利用し、ドーハでトランジットする行き方で、計20時間ほどかかります。最も安いのはアエロフロート利用でロシア経由の行き方。6万円くらいからあります。
しかし、ロシアで何回も乗り継いでいくため時間がかかり、片道だけで丸1日以上かかります。時間と体力に余裕がある方向きでしょう。
アゼルバイジャンの首都バクーの治安は良い?
アゼルバイジャンの首都バクーの治安は良いといえます。天然資源で潤った街には現代的な建物が林立し、街並みもおしゃれなヨーロッパのようです。イスラム教の国ですが、街を行く女性はほとんどヘジャブ(イスラム女性が被る体を覆う布)をかぶっていません。
そんな現代的な街なみの中に歴史ある建物が点在し、新旧の文化がうまく調和しています。通りを昼間観光するには治安が良く、危険はないといえるでしょう。首都とはいえ特に治安が悪いとされる地区もないようです。女性だけでの観光も問題ありません。
アゼルバイジャンを旅行する際の注意点
アゼルバイジャンは比較的治安が良いとはいえ異国です。観光の際の注意点をまとめてみました。
パスポートや身分証明書を常時携行
外国人旅行者であることを示すために外出時も携行します。治安が良いとはいえ万が一を考え、財布とは別に持ちましょう。
国境付近・軍関連施設の写真撮影は禁止
アゼルバイジャンはアルメニアと紛争を抱えた国です。治安が悪いため国境に近づかないのが原則ですが、治安に関係なく軍関連の施設はむやみと撮影しないよう注意してください。
料金メーターのないタクシーに注意
治安の良いアゼルバイジャンの観光にはタクシーが便利ですが、メーターのないタクシーだと料金をぼったくられる可能性があります。メーター付きのタクシーに乗りましょう。
女性は夜間に一人歩きをしない
昼間は治安が良くても夜間となると別です。特に女性は夜間の一人歩きを避けましょう。
肌の露出のない服装をする
アゼルバイジャンの女性がヘジャブをかぶってなくても肌が露出する服は控えるべきです。治安が良いとはいえイスラムの国ですから、タンクトップにミニスカートなどで歩いたりしないよう注意してください。
アゼルバイジャンの紛争地域には近づかず治安の良いところを観光しよう
アゼルバイジャンは隣国アルメニアとの火種を抱えているだけに、紛争地帯は治安が悪く危険です。興味半分で近づかず、見どころの多い首都バクーを中心に治安の良いところを観光しましょう。