千葉の方言(千葉弁)一覧!千葉県の訛り(したっけ)についても紹介
首都圏に属す千葉県にも訛りがあります。千葉独自の方言や語尾など千葉弁にはどういった特徴があるのでしょうか。千葉弁の千葉県内地域による違いや定番のフレーズ、かわいい方言などと合わせてご紹介いたします。千葉へお出かけの際の参考にしてください。
千葉の方言「千葉弁」について紹介!
東関東に属する千葉県にはそもそも方言なんてないと思っていませんか。千葉県民は標準語と思っていても、実はそれが方言だという語はいくつもあります。
千葉の学校ではあたりまえ!身近な千葉弁
千葉県の学校で使われる言葉には、千葉特有の言い方が潜んでいます。たとえば、教室に並んでいる席を教卓から見て廊下側から窓側にかけて順番に縦列を「一の川」「二の川」「三の川」と「川」になぞらえて言います。
これは千葉特有の千葉弁と言っていいでしょう。また、2時間目と3時間目の間の休み時間のことを神奈川や埼玉では「20分休み」などといいますが、千葉県では「業間休み」といいます。これも一種の千葉弁といえるでしょう。
さらに、「定規、ものさし」のことを「線引き」といいます。静岡県でもいう方言なので、これを方言と思っていない千葉県民も多くいるはずです。こうした独自の言い方は、千葉県から他県へ出て初めて気がつくものです。
それでは、こうした千葉弁にはどういった特色や訛りがあるのでしょうか。
千葉弁の特徴や訛り
千葉県にはその昔、四国や紀伊半島など関西方面から海を渡ってきた人たちが住み着いたといわれています。勝浦、白浜といった地名がつけられているのも故郷の景色と通じるところがあったためだそうです。
そのため、千葉県の方言には近畿地方の訛りが混じっているといわれています。また、隣接する埼玉県や茨城県、東京都東部の方言の影響も受けています。さらに、福島県、宮城県といった東北方面の訛りに近いともいわれています。
このように千葉には多様な地域の方言が流れ込んでいるのが特徴です。また、海沿いの地域と山沿いの地域によって話されている方言が異なり、海沿いのほうが漁師町であることから荒っぽく、きつい訛りになっています。
一方、山沿いの方はどこかのんびりとした訛りです。千葉弁はまた、居住地域によって訛りの程度が変わります。千葉県北東部から房総半島南部にかけては訛りがきついとされ、東京都に近い千葉県北西部には訛りがなく、標準語が使われています。
千葉弁全体を通していえるのは、語尾に「~だっぺ」「~ぺ」などが付くことと、イントネーションが標準語と変わるという点でしょう。
千葉弁の種類
千葉県は広いので、地域によって方言が異なります。主な千葉弁は次の3種類です。
野田弁
千葉県野田市を中心にした地方で話される方言を「野田弁」と呼んでいます。東京都、埼玉県、茨城県に近いため、埼玉や茨城の訛りや東京都の葛飾の訛りが混ざっているとされています。
野田弁独自の方言もあります。たとえば「お腹いっぱい」を「はらくち」と言ったり、「かき回す」を「かんまーす」、「~しちゃって」を「~ちって」、「やったでしょ?」を「やったんべ?」などと言ったりします。
東総弁
千葉県北東部、銚子市あたりを中心に話されている方言を「東総弁」と呼びます。地域的に茨城県に近いため、茨城訛りが混ざっているとされ、また、東北訛りにも似ているといわれています。
標準語や標準語に近い野田弁に比べると、ややきつく感じられる千葉弁といえるでしょう。この地方には昔、紀州から漁師や醤油職人が海を渡ってやって来たといいます。そのため、紀州弁や関西方面の方言が混ざっているといわれのです。
東総弁では「学校に行く」の「~に」を「~さ」といい「学校さ行く」と東北訛りのように言います。
他にも「味噌汁」を「おっち」と言ったり「暖かい」を「ぬっけぇ」、「あなた」を「われ」や「おめえ」、「あなたたち」を「わんらーらー」、「柔らかい」を「やあっこい」、「どうですか?」を「あじょーだぁ?」などと言ったりします。
房州弁
千葉弁の中で最もきつく、荒っぽく感じられるのが「房州弁」でしょう。房総半島南部、安房地方で話される方言で、漁師町でもあることから勢いがあって強い語調が多いとされています。
語尾が「~ぺ」「~だっぺ」「せえ」などと変化するのが特徴で、いかにも訛りがある感じがします。ただ、この地域でも若い人は標準語を使うことが多く、純粋な房州弁は今後どんどん減っていくと思われます。
房州弁には独自の方言も多く、「かっくらす」は「殴る」という意味で漁師町全般に見られる方言で、いかにも気性の荒い感じがする方言です。他にも「大きい」は「てっぱつ」、「もっと大きい」を「すてれっぱつ」と言ったりします。
「~しよう」は「~やんべえ」、「押す」は「おっぺす」、「歩いていく」を「やんでく」、「困ったなぁ」を「おいねえぉ」と言ったりします。これらは房総の中でも勝浦で顕著な訛りです。
館山では「長男」を「せな」、「おまえ」を「わんだら」、「行く」を「やあーぶ」、「ひったくる」を「かっちゃくる」と言ったりします。
千葉弁でよく使う方言と例文一覧
千葉弁でよく使うフレーズや定番の方言を集めてみました。例文も併せて載せていますのでご覧ください。
「うっちゃる」
「うっちゃる」とはとてもよく使われる定番の千葉の方言で、「放っておく」「捨てる」という意味です。「うっちゃといて」(=捨てておいて)、「うっちゃっちまおう」(=捨ててしまおう)など、「捨てる」の意味で使われることが多いようです。
「うっちゃらかす」とも言い、この場合は「散らかしておく」「放置しておく」という意味です。千葉の中でも下総方面ではこの「「うっちゃらかす」を「散らかしておく」の意味で用い、房州では「放置しておく」の意味で使っています。
「こんなもんうっちゃっちゃえよお」(=こんなもの捨ててしまえよ)
「したっけ」
「したっけ」を「そうしたら」「そしたら」の意味で接続詞として使います。千葉だけでなく、茨城県や栃木県、埼玉県といった同じ関東圏でも使われており、さらには宮城をはじめ東北や北海道でも使われているメジャーな方言です。
「したっけ」を「そうしたらさー」「そうしたらよー」といった意味で「したっけんよー」ということも多く、「したっけんよー、○○○○○○」または「したっけ、○○○○○○」と話が続いていきます。
「したっけこれもうっちゃっといて」(=そうしたらこれも捨てておいて)
「だかん」
「だかん」は「だから」という意味です。主に千葉県の北西部で使われており、方言と意識していない可能性もあります。「○○だから」を「○○だかん」といったり、「だからさー」を「だかんさー」などと言ったりするので比較的若者も使っています。
「だかんそんなもんうっちゃっとけって言ったっぺー」(=だからそんなもの捨てて置けって言ったじゃないか)
「ちゃける」
「ちゃける」は「壊れる」という意味で、主に千葉県の下総で使われています。南房総ではあまり使われていません。「ちゃける」と似た方言に「ちゃっちゃう」があります。「ちゃっちゃう」は「うっちゃっちゃう」と同じく「捨ててしまう」という意味です。
「ちゃける」「ちゃっちゃう」「うっちゃっちゃう」など、千葉弁には「ちゃっちゃ」という跳ね返るような、明るく勢いのある音が多いようです。千葉が漁師町であることに関係しているのかもしれません。
「スマホがちゃけたー」(=スマホが壊れたー)
「ほねっき」
「ほねっき」とは「本気」とか「おもいっきり」とかいう意味で使われる千葉弁で、主に千葉県南部の高齢者で使われているようです。「本気(ほんき)」の訛りで「ほねっき」となったのかどうかまでは定かではありません。
「ほねっき」とよく似た訛りに「ほんこん」があります。「ほんこん」とは「とても」とか「非常に」「本当に」という意味で「とてもおいしい」を「ほんこん旨い」などといいます。
「相手にほねっきぶつかっていけ」(=相手に思いっきりぶつかっていけ)
千葉弁のかわいい方言と例文一覧
千葉県の訛りは元気で勢いがあるせいか、ややもすると攻撃的に感じますが、音の響きがとてもかわいらしい訛りもあります。ここではそんなかわいい千葉弁の方言を集め、意味と例文を載せてみました。
「ぎゅうと」
「ぎゅうと」は「たくさん」という意味の千葉弁です。「昨日はぎゅうとビール飲んだ」なら「昨日はたくさんビールを飲んだ」」という意味です。
「だっぺ」
方言、訛りというと語尾が特徴的なものが多いですが、千葉弁も例外ではありません。「~だっぺ」をはじめ「~ぺ」「せえ」「しぇえ」「~がや」「~こったよ」などいろいろあります。
「~だっぺ」「~だべ」「~ぺ」は「~だよ」「~だね」「~だって」といった意味で主に千葉県南部、南房総で使われています。語尾が上がるのが特徴で、素朴で親しみやすい訛りらしい訛りです。
福島県や茨城県でも使われている方言なので、純粋に千葉弁とはいえないかもしれませんが、特に「~だっぺ」は内房で使われています。千葉の九十九里当たりでは「~だっぺ」が「だべぁ」になるというように、地域によって語尾が多少変化します。
「これは宿題だっぺ」(=これは宿題だよ)
「~によん」
まるで子猫かかわいいキャラクターが言いそうな言葉ですが、千葉県の方言で語尾に付けて使います。「~によん」で「~だろう」「~じゃないか」という意味です。質問分の語尾に付けて相手にたずねる使い方が多いようです
「したっけ雨に濡れたによん?」(=そうしたら雨に濡れたでしょう?)
「もちゃぽい」
とてもかわいらしい音の響きをする千葉弁が「もちゃぽい」です。「もちもちしてて柔らかい」とか「優しくてかわいらしい」といった意味を連想しがちですが、実は「飽きっぽい」という意味です。
「もちゃぽい」の「もちゃ」は千葉弁で「飽き」「飽きる」という意味なので、「もちゃぽい」は「飽きっぽい」ということになります。千葉県民でないと意味が通じない方言の1つといえるでしょう。
「もううっちゃらがしとくなんて、もちゃぽいねー」(=もう放っておくなんて飽きっぽいねー)
「ねねこ」
「ねねこ」は猫のことではありません。「ねねこ」は「赤ちゃん」のことです。「あなたの赤ちゃんかわいいでしょう?」は「おめえのねねこ、かわいいによん?」になります。
「おちゃくりん」
「おちゃくりん」とは「正座」の意味です。かわいい千葉弁の筆頭といえそうです。「おちゃくりんしてしびれたっぺ?」は「正座してしびれたでしょ?」という意味です。
千葉弁に変換するとかわいい告白のフレーズ2選
千葉弁は漁師町、千葉の方言なので勢いがあって、ややきつく感じられます。しかし、親しみと温かみのこもった訛りでもあるので、愛の告白に使うとツンと取り澄ました感のある標準語よりかわいらしく感じられます。
ここでは、そんな千葉弁のかわいい告白フレーズを2つ紹介いたします。
1.「だから、あなたのことが本当に好きなんです」
「だかん、にすのことふに好きなんだっぺ」
「だから、あなたのことが本当に好きなんです」を千葉弁に変換すると、「だから」は「だかん」、「あなた」は「にす」、「本当に」は「ふに」になります。「本当に」を意味する「ふに」は、とてもかわいい千葉の方言です。
文末の「好きなんです」が「好きなんだっぺ」に変化するとグッと親近感がわいて、いかにも訛りらしい訛りになります。ちなみに「本当に好きなんです」の代わりに「本気で好きなんです」というと「ほねっき好きなんだっぺ」になります。
「あなたのこと丸ごと好きなんです」というと「にすのことまるっぽ好きなんだっぺ」となります。親しみが込められていて、千葉弁で告白されたら心をわしづかみされそうです。
2.「私と付き合って下さい」
「あてと付き合ってくろ」
「私と付き合って下さい」を千葉弁に変換すると、「私と」は「あてと」、「付き合って」はそのまま、「~てください」が「~てくろ」と少々ぶっきらぼうですが、温かい訛りになります。
上述した告白文とつなげて「だから、あなたのことが本当に好きなんです。私と付き合って下さい」を千葉弁にすると「だかん、にすのことふに好きなんだっぺ。あてと付き合ってくろ」となります。
標準語の告白とはだいぶ印象が変わり、ストレートでありながらマイルドで、かつ温かさとかわしらしさがあります。方言を使った告白は効果的と言えるでしょう。
千葉県の方言千葉弁を使ってみて
千葉県にはさまざまな地方の出身者がいるため、多様な方言が混然一体となり、それが独自の千葉弁を生み出しています。関東地方の方言の中ではかわいいことで有名な千葉弁を使ってみませんか。千葉県民との会話で使えば親密感がグッと増すでしょう。