北海道でオーロラは見える?場所や時期オーロラの発生条件を紹介
オーロラと聞くと、フィンランド、カナダ、またアラスカやスウェーデンと言った北極に近い国々で観測されるものと思いがちですが、実は日本の北海道でも観測できます。この記事で北海道でオーロラが観測できる時期や場所について詳しく紹介します。
目次
北海道でオーロラが見える時期や条件について紹介!
グランドキャニオン、グレート・バリア・リーフ、リオデジャネイロの港、エベレスト、パリクティン火山、ヴィクトリアの滝、オーロラは、アメリカンのニュース局であるCNNによって、世界七大自然の驚異に認定されました。オーロラは、天体の極域近辺に見られる発光現象です。
オーロラを見ることのできる範囲は、北半球の60度~70度の範囲と言われています。オーロラが出現する頻度が極めて高い範囲を「オーロラベルト」と呼び、北半球にも南半球にも存在します。しかし、南半球のオーロラベルトは、海の頭上にあるため、観測が難しいと言われています。
オーロラの観測で有名な、カナダのイエローナイフやアラスカは、北半球のオーロラベルトに属します。日本でもオーロラの観測ができる場所があります。それがこの記事で紹介する北海道です。
北海道で見えるオーロラの種類2選
北海道は、日本で唯一オーロラが見られる貴重な場所です。しかし北海道は本来、北極のオーロラベルト上にあるわけではないので、カナダやアラスカのように、頻繁に見られるわけではありません。
ただ、特別な条件がそろうと、北海道でもオーロラを見ることができます。こうした理由のため、北海道で見られるオーロラは、カナダやアラスカなどの北極オーロラベルトで観測されるオーロラとは異なります。
①ピンク系の「低緯度オーロラ」
北極オーロラベルト上にある、カナダやアラスカでは、美しいエメラルドグリーンやブルーのカーテンのようなオーロラの観測が可能ですが、日本の北海道では異なるオーロラの観測しかできません。北海道で観測されるオーロラは「低緯度オーロラ」と呼ばれます。
低緯度オーロラの色は、夜空を明るく照らす赤やピンクのオーロラです。北海道では、低緯度オーロラしか見られないことには理由があります。その理由は、オーロラの仕組みにあります。オーロラは、太陽から飛び出す電子と陽子の発光、また北極や南極の上空にある酸素を刺激することによって発生します。
ですから、北極から離れた低緯度地域では、宇宙からの電子が十分に届かず、そのため異なる色になります。
②稀に発生するのが黄色系のオーロラ
北海道で観測できる「低緯度オーロラ」は、基本的に赤色かピンク色です、しかし、稀に黄色のオーロラが観測されることがあります。黄色のオーロラは、条件が揃わなければ見られません。
北海道でオーロラが見られる条件3選
カナダやアラスカなど、頻繁にオーロラが見える「北極オーロラベルト」とは違い、北海道のオーロラは、常に観測できるわけではありません。オーロラそのものは、1年を通して発生し、夜間だけでなく、昼間でも生じます。ただ、条件が揃わなければ観測することはできません。
またオーロラの発生原理はとても複雑で、未だにその全容は解明されていません。そのため、オーロラ発生の条件を完全に言い当てることは、今のところ誰にもできません。特に北海道のような「低緯度地域」では、そのことが顕著になります。これから、北海道でオーロラを観測するのに肝要と言われている3つの条件を紹介します。
①太陽活動が関係する
北海道でオーロラを観測するのに肝要と言われている最初の条件は、太陽活動です。この記事ですでに紹介しましたが、オーロラの基本的な発生原理は、太陽から飛び出す電子と陽子の発光、また北極や南極の上空にある酸素を刺激することによって発生します。
つまりオーロラは、太陽活動に連動して発生すると言うことです。太陽活動が活発になり、電子と陽子が太陽から飛び出すことを促す、太陽フレアによる太陽風がなければ、オーロラの観測は不可能です。それで、11周期あると言われる太陽活動が最も活発になる時期を割り出し、狙いを定める必要があります。
②晴れた澄んだ空であること
北海道でオーロラを観測するのに肝要と言われている2番目の条件は、晴れた澄んだ空であることです。オーロラは、雲よりも高い位置で発生します。そのため、雲がある日や、空気が澄んでいない日にオーロラを観測することはできません。天気予報を前もって確認する必要があります。
③人工光が少ないこと
北海道でオーロラを観測するのに肝要と言われている3番目の条件は、人口光が少ないことです。天体観測が好きな人であれば、その理由は明快です。照明やイルミネーションなどの人口光は、星空の光をいわばブロックしてしまうので、人気の少ない山などで天体観測をします。オーロラも同様です。
町の人口光は、オーロラの光をかき消してしまうので、北海道の町ではオーロラ観測はできません。人口光が届かない場所を探して観測する必要があります。
北海道でオーロラが見られる時期・時間
オーロラは、1年を通して生じる自然現象で、夜間だけでなく、昼間でも起こることは、この記事ですでに説明しました。ただ、オーロラが生じれば、自動的にオーロラが観測できるというわけではありません。オーロラが発生しても、観測できないことは多々あります。
では北海道でオーロラを観測するのに最適でおすすめな時期と時刻はあるのでしょうか。これからその点について詳しく紹介します。
①一番オーロラが出やすいのが「9月~4月」
この記事ですでに紹介した点ですが、北海道に限らず、オーロラを肉眼で観測するための条件は、人口光がなく漆黒の暗闇であること、また雲一つない快晴であることです。ですから夜が十分に暗くならない白夜の季節、つまり5月~8月は、オーロラ観測には適さないことになります。
ですからそれ以外の時期、つまり9月~4月が、オーロラを観測する最適でおすすめな時期と言うことになります。
②気温は関係ないがより見えるのは「冬」
基本的に、オーロラ観測に気温は関係ないことが分かっています。しかし冬に多くのオーロラが観測されているのは事実です。考えられる要因はいくつかあります。例えば冬になると日没の時間が早くなり、漆黒の暗闇になる時間が長くなります。そのためオーロラを観測するチャンスが大きくなります。
また夏に比べ、冬は快晴の日が多く、そのため、オーロラ観測に必要な条件をより多く満たします。ただ、オーロラ観測に不可欠なのは太陽活動なので、冬でも観測できない可能性は常にあることを覚えておきましょう。
③昼間も出ているが最も見えるのは「夜21時以降」
オーロラは夜でも昼でも生じる自然現象です。しかし、オーロラ観測に必須な条件に、人口光がないことが挙げられているので、オーロラ観測に適した時刻は当然、完全に日が没してからと言うことになります。
また北海道でこれまで観測されたオーロラの時刻などを総合すると、夜21:00以降が、オーロラ観測のチャンスが大きい、おすすめの時刻ということが分かります。
北海道でオーロラが見られるおすすめの場所3選
ここまで、北海道で見られるオーロラの種類、オーロラを観測するための条件、またオーロラを観測するのに最も適した時期や時刻などについて解説してきました。実際に北海道のどこで、オーロラを観測できるのでしょうか。
地形や天候を考慮すると、北海道の中でも、中央部から北東にかけての地域が最有力であると言えます。
ただ、太陽風の程度によっては、これまで観測履歴がない、他の北海道の地域でも観測できる可能性はあります。これから、オーロラを見るのにおすすめの北海道の3つの都市を紹介します。これらの都市に行けば確実にオーロラが観測できる、というわけではありません。
あくまでもこれまで、オーロラが観測されたという実績があるだけです。ただ他の地域や都市と比べれば、オーロラを見られる確率は高くなるのは事実です。ぜひ参考にしてください。
①何度もオーロラ観測があった「陸別町」
最初に紹介する、オーロラが見られる、北海道のおすすめの場所は、「陸別町」です。札幌から高速道路を使い、車で7時間半ほどの距離にあります。日本で最も寒い場所と言われ、最低気温が-38度を記録するほどです。陸別町は、空気がとても澄んでいてきれいなことでも有名です。
1987年に「星空の街」と制定されるほど、星空が綺麗に見られる場所です。陸別町ではこれまで何度もオーロラが観測されています。2015年3月18日、2015年12月21日に、陸別町で低緯度オーロラが観測されました。北海道でもかなり高い確率でオーロラが見られるおすすめの場所であることがよく分かります。
陸別町には、「りくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)」があるので、オーロラについて学ぶこともできます。オーロラ観測におすすめしたい場所です。
②日本最北端に位置する「稚内市」
2番目に紹介する、オーロラが見られる、北海道のおすすめの場所は、「稚内市」です。稚内市は、札幌から高速道路を使い6時間半ほどの距離にあります。稚内市は宗谷岬、また日本最北端の街として有名な場所です。
日本最北端の街であるため、ロシア・サハリン州をはじめとする北方圏への玄関口として、重要な場所でもあります。陸別町と同様、稚内も極寒の街で、冬の平均気温は-4.7度まで下がり、過去には-18.3度まで気温が下がったこともありました。
稚内でオーロラが観測されたのは、2015年6月23日でした。稚内でオーロラが見られるのは、北の空です。
③2015年にオーロラ発生!自然豊かな「名寄市」
3番目に紹介する、オーロラが見られる、北海道のおすすめの場所は、「名寄市」です。名寄市は、高速道路を使い車で3時間ほどの距離にあります。名寄市も、陸別町や稚内と同様極寒の地です。冬の平均気温は-9.4度で、過去には-15.8度を記録したこともあります。
名寄市は自然が豊かで、天塩川と名寄川のおかげで豊かな土壌を持ち、そのため農産物の集散地として発展しました。名寄市には、なよろ市立天文台あり、そこでオーロラ観測ができます。もともとは、私設の天文台でしたが、1992年に名寄市へ寄贈されて今日に至っています。
この天文台では、活動が活発な時期に太陽フレアを見ることもできます。名寄市ではこれまで複数回、オーロラが観測されました。2015年3月18日にオーロラが11年ぶりに見られました。
同じ都市に、先ほど紹介した稚内でもオーロラが観測されたため、1年に2度もオーロラが観測された、極めて珍しい年になりました。オーロラ観測におすすめしたい場所です。
北海道でオーロラを見るならオーロラツアーがおすすめ!
北海道は、日本で唯一、オーロラが見られる場所です。もちろんカナダやアラスカ、また北欧の国に行き、壮大なオーロラを見に行くこともできます。しかし、費用や休暇のことを考えると、決して容易ではないことに気づかされます。
その点、北海道は国内なので、費用や滞在日数などを抑えることができるので、より経済的で実際的な選択と言えます。ただ、自分で旅行の手配をするとなると大変です。北海道までの飛行機の手配、空港からオーロラ観測ができる場所までの移動手段の手配、宿泊先の手配など、行うことは山ほどあります。
そのような場合は、旅行会社が売りに出している、北海道のオーロラツアーの利用をおすすめします。様々な旅行会社が、冬の時期に北海道のオーロラを見に行くことを目的としたツアーを出すことがあります。ツアーが組まれるのは、東京や大阪などの大都市だけではありません。
秋田や福島などの東北地方、愛知県などの中部地方、岡山県などの中国地方、福岡などの九州地方など様々です。ツアーであれば、最低限の準備で北海道のオーロラ旅行を決行できます。ぜひ考えてみてください。
北海道のオーロラを見に行こう!
一生に一度は見学したいものがオーロラだと言われています。自然が作り出す「芸術」を見学するため、毎年大勢の日本人が海外に行きます。しかし日本の北海道でも、規模やスケールは異なるものの、オーロラを見られます。
10年に1度しか見る機会がない、とは言われますが、日本国内でオーロラを見られるのは素晴らしいことです。ぜひ、今年の冬に北海道に赴き、オーロラが顔を出す瞬間を見てみましょう。