イタリアの治安は悪い?安全?南イタリアなどの観光や旅行での注意点も解説
イタリアは日本人の間でも高い人気を誇る観光旅行先です。しかし、日本に比べると軽犯罪の発生件数が多く、治安の悪い地域では特に注意が必要です。外務省が発表しているイタリアの現在の治安状況や、観光旅行時の注意点などをまとめてみました。
目次
イタリアへの旅行前に知っておきたい治安状況
イタリアは世界屈指の観光旅行大国であり、年間に5,000万人以上もの人々が観光に訪れています。
日本人にとっても、イタリアはスマートでカッコいい国の代表的存在。バチカン美術館やトレビの泉、セリエAのサッカーの試合などを見るために、例年多くの日本人がイタリアを旅行しています。
しかし、イタリアは治安のイメージが悪い国でもあり、観光旅行の安全性を懸念する方が少なくありません。
特に、移民の多い南イタリア方面は、マフィア映画の舞台になるほど昔から治安のイメージが悪いです。観光旅行先として意図的に避けている方もいることでしょう。
そこで今回は、現在のイタリアの治安状況や特に治安の悪い地域、観光旅行時の注意点などをまとめてみました。安全にイタリアを旅行したい方は、ぜひ参考にしてください。
イタリアとはどんな国?
イタリア共和国(Repubblica Italiana)は、ヨーロッパの南部に位置している国です。国土がブーツのような形状をしており、国旗は緑・白・赤の3色で構成されています。
芸術文化が非常に栄えており、ダンテやレオナルドダヴィンチなど数々の歴史的な芸術家を輩出してきました。GUCCI(グッチ)やVALENTINO(ヴァレンティノ)といったブランドは世界的人気を誇っており、こんにちのファッション業界を牽引し続けています。
第二次世界大戦時には日独伊三国同盟を築いていたため、日本とイタリアの関係は現在でも非常に良好です。
ドラゴンボールやキャプテン翼などの日本のアニメは、イタリアの若者の間でも大人気。イタリアのギャングのバトルを描いた「ジョジョの奇妙な冒険第5部・黄金の風」が2018年にアニメ化された際には、YouTube上に多くのレビュー動画がアップロードされて盛り上がりました。
イタリアはドイツ・フランスに次ぐユーロ圏第3位の経済力を誇っていますが、同時に対GDP比130%を超えるほどの債務国でもあります。デフォルト(債務不履行)への懸念が欧州相場の懸念材料になっている他、アフリカ大陸から押し寄せる年間10万人近い移民も社会問題になっています。
外務省発表によるイタリアの危険度
外務省は日本人観光旅行者向けに、世界各国の安全度や注意情報などを公式ホームページ上で公表しています。
外務省の発表によれば、現在のイタリアの危険度レベルは0。大規模なテロは発生しておらず、殺人などの凶悪犯罪発生率も欧州圏では低い方です。全体的な犯罪率も、年々減少傾向にあります。
ただし、日本と比べるとイタリアの治安は良いとは言えません。
世界各国の治安を相対化した「世界平和度指数」では、日本が10位であるのに対してイタリアは38位。スリやひったくりなどの軽犯罪が年間で20万件近く発生しており、日本と同じ感覚でイタリアを観光しているとトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
2020年になってからイタリアでCOVID-19(新型コロナウイルス)の感染者数が急増していて、北部エリアで感染症危険情報(レベル3・渡航中止勧告)が出ています。また、保菌者と疑われた日本人がサッカースタジアムから追い出される事件も発生しており、世界中で高まっているアジア人差別の機運にも注意が必要です。
イタリアで治安の悪い地域
イタリアの街並みや治安は、地域によって大きく異なります。
マフィアが幅を利かせている南イタリアでは都市開発の遅れが顕著であり、職に就けない貧困層が溢れ返っています。南北格差はイタリアの治安悪化に直結しているため、十分に社会保障が行き届いていない地域を観光する際には安全に注意する必要があります。
ここでは、イタリアの中で特に治安が悪い地域を見ていきましょう。
ローマ
イタリアの首都・ローマは、トレビの泉・スペイン広場・コロッセオなどの観光スポットで知られる大都市です。安全な地域と思われがちですが、金を持った観光旅行客が世界中から集まってくるため、彼らを狙ったスリ・ひったくりの犯罪が多く発生しています。
テルミニ駅周辺には浮浪者が多く、空港周辺では白タクが待ち構えています。繁華街のぼったくりBARや、花・ミサンガなどを突然押し売りしてくる人まで居て、イタリアの治安の悪い都市の一つに挙げられています。ご注意ください。
ナポリ
カプリ島や国立考古学博物館などの名所で知られるナポリは、ローマと双璧をなす人気観光スポットです。しかし、イタリアで最も治安の悪い都市とも呼ばれており、貧困層による軽犯罪が常駐化しています。
バイクによる引ったくりに遭った際に、そのまま倒されて怪我をした方もいます。窓をぶち割って貴重品を盗む手口もあり、自動車を利用している時も安心できません。
パレルモ
パレルモは、シチリア島の最大の都市です。歴史的建造物の多い観光名所の一つですが、映画「ゴッドファーザー」の舞台となったことでも知られるように実際にマフィアの巣窟となっています。
人通りの多い明るい道を歩いている分には安全ですが、路地裏に入ると気づかないうちにマフィアの縄張りに足を踏み入れてしまう恐れがあります。観光旅行客を狙った軽犯罪も多発しており、不穏な空気を感じるエリアには近づかないように注意してください。
南イタリアは全体的に治安が悪い?
働き口の少ない街には貧困層が多く、生きるために犯罪行為に手を染める人々で溢れ返ってしまいます。
南北格差が広がる南イタリアは、まさにその典型パターンです。街のあちこちにゴミが散乱していて、壁には落書きだらけ。昔から「南イタリア=治安が悪い」というイメージが定着しています。
しかし、そのステレオタイプは必ずしも正解ではありません。南イタリアでも、アマルフィやアルベロベッロなどの小さな街の治安は比較的良い方です。
むしろ、北イタリアのミラノやフィレンツェなどの観光都市は、観光旅行客を狙った犯罪が頻発していて非常に治安が悪いです。
北イタリア=安全、南イタリア=危険と安易に判断せず、地域ごとの治安状況を正確に把握しましょう。
イタリアでの観光客をターゲットにした犯罪
平和な日本で暮らしてきた世間知らずの日本人観光旅行客は、海外の巧妙な犯罪のカモにされる恐れがあります。イタリアに行く際には、自分の身の安全を守るために犯罪者の手口を知っておくべきです。
ここでは、イタリアで蔓延している観光旅行客狙いの犯罪の手法を紹介していきます。
スリ・置き引き
イタリアの観光旅行客狙いの犯罪で最も多い手口は、スリ・置き引きです。日本のスリは基本的に単独犯ですが、イタリアでは複数のグループが手を組んで一人のターゲットを狙うケースが少なくありません。
小さい子供が新聞紙や段ボールを持ってターゲットに接近し、ぶつかって気を引いている間に仲間がバッグから金品を盗み取ります。
イタリアでは、どこで誰に狙われているか分かりません。貴重品をテーブルの上に置きっぱなしにするのは論外。知らない相手が近づいてきたら距離を取る、助けを呼ぶなどの対策を講じましょう。
ひったくり
イタリアでは、スリと同じくらい引ったくりも多いです。ちなみにスリも引ったくりも貴重品を盗むという行為は同じですが、引ったくりは金品を乱暴に強奪する手口のことであり、非常にタチが悪いです。
財布をズボンの後ろポケットに入れたり手提げバッグを片手にぶら下げたりして無警戒に道を歩いていたら、イタリアでは「どうぞ盗んでください」のサインになってしまいます。不意打ちで接近してきた盗人にたちまち奪い取られることでしょう。
バッグ類はコートの中にしまって周りに見せない、後ろからバイクのエンジン音が近づいてきたら必ず振り返る、などの警戒心を持ちましょう。
強盗
観光旅行客狙いの犯罪者の中には、手段を選ばない凶悪な強盗犯もいます。
人の少ない裏通りを歩いている時、複数人のグループに凶器を突き付けられて金品を奪い取られるケースが報告されています。
また、いい人を装ってターゲットに接近し、プレゼントした睡眠薬入りの飲食物で眠らせている間に荷物を奪う知能犯も増えているそうです。
車上荒らし
観光旅行客の多い都市部では、駐車中の車のドア・窓を破壊して中に置いてある貴重品を盗む車上荒らしが非常に多いです。
レンタカーの返却手続きを行う際、業者の振りをしてターゲットに接近し、注意を引きつけている間に仲間が車中の荷物を盗む手口もあります。
車の中は決して安全ではありません。貴重品を放置しないようにしましょう。
偽警察官
イタリアでは、職員の振りをして観光旅行客から金を巻き上げる詐欺の手口が常習化しています。
レストランで高額請求されるのは序の口。中には、イタリア警察の制服を着てターゲットに接近し、取り調べと称して財布から紙幣やクレジットカード等を抜きとろうとする偽警察官もいます。
日本人は、権威のある相手の言うことに素直に従ってしまう気質があります。警官といえども、安易に信用しないように注意してください。
イタリア旅行を安全にするための注意点
イタリアは軽犯罪こそ多いですが、中東諸国に比べれば遥かに平和な国です。最低限の自衛意識を持っていれば、日本人でも問題なくイタリアを観光できます。
ここでは、イタリアを安全に観光旅行するために知っておくべき注意点を紹介していきます。
荷物から目を離さない
一つ目の注意点は、荷物を手放さないことです。
貴重品を持ち歩く場合はボタンやファスナーで防御できるポケットの中に携行し、バッグは自分の体の前で抱えて持ってください。
席に座る時も、荷物の放置はNG。必ず自分のすぐ傍に置いて、片時も目を離さないようにしてください。
目立つ服装はしない
二つ目の注意点は、華美な服装を避けることです。
北イタリア・南イタリアの観光スポットでブランド物のバッグ・アクセサリーを身に着けている日本人がいると、ほぼ確実にスリ・ひったくりのターゲットにされます。
オシャレをするなとは言いませんが、高額の装飾品を持ち歩く危険性をよく考えた方が良いでしょう。
人気の少ない場所には行かない
三つ目の注意点は、人の少ない場所に近づかないことです。
街の中心部から外れた裏路地はギャングの溜まり場になっていることが多く、うっかり迷い込むとトラブルに巻き込まれる可能性があります。
外出時は常に周囲に警戒し、なるべく複数で行動しましょう。
声をかけられても相手にしない
四つ目の注意点は、見知らぬ人間を信用しないことです。
北イタリア・南イタリアの観光スポットでは、お人よしの日本人観光旅行客に馴れ馴れしく話しかけてくる不審者が珍しくありません。見た目に騙されて安易に相手を信用すると、予期せぬトラブルに発展する恐れがあります。
自分に近付いてくる人物は極力相手にせず、まして相手から貰った飲食物を絶対に口にしないでください。
流しのタクシーは利用しない
五つ目の注意点は、流しのタクシーを利用しないことです。
イタリアでは、日本人観光旅行客を相手に運賃をぼったくる悪質なタクシードライバーが少なくありません。
電話あるいはUberやFREE NOW (mytaxi)などの配車アプリを使って呼び出せるタクシーだけを利用するようにしてください。
イタリアの観光旅行時には治安の悪い地域に気を付けよう
今回は、イタリアの現在の治安状況や観光旅行時の注意点などを紹介いたしました。
映画や漫画の影響で、イタリアはギャングが多くて治安の悪い国だと思っている方がいます。しかし、最低限の自衛意識を忘れなければ、必要以上に恐れなくても大丈夫です。
イタリアに興味のある方は、ぜひ本記事を参考にしてイタリア旅行を楽しんできてください。