シベリア鉄道(ロシア)の料金は?日数やチケットの値段についても紹介
シベリア鉄道は広大なロシアを巡る大陸横断鉄道です。最長で6泊7日の旅と料金面が確かに気になりますが、意外にも手頃な料金で乗車できます。確かに移動時間では飛行機にかないませんが、世界中の観光客や地元民に今でも愛されているシベリア鉄道の魅力を紹介します。
目次
ロシアの世界最長「シベリア鉄道」について紹介!
シベリア鉄道はロシアの首都モスクワからロシア極東の中心都市ウラジオストクを結ぶ世界でも屈指の大陸横断鉄道です。
モスクワからウラジオストクへは空路で9時間。鉄道なら7日間と時間的コストからみれば勝負にはなりません。
しかしロシアの地方都市を結ぶ便利さ、旅のロマンをかきたてる意味ではシベリア鉄道は今でも欠かせない人気路線です。
今回はシベリア鉄道、特に料金面やチケットの取り方、車内設備といった旅行者必見の情報について紹介していきます。
シベリア鉄道の料金は?
シベリア鉄道を走る列車は少数の短距離列車を除いて全て寝台車両で構成されています。
シベリア鉄道の料金面におけるカテゴリーは3種類あります。日本でいうA寝台にあたる2人部屋の個室タイプ、B寝台に該当する4人部屋の個室タイプ、そしてかつての日本のブルートレインでよくみられたカーテンで仕切られる簡易寝台タイプです。
一部の列車には2人部屋の個室タイプの更に上をいくVIPデラックスタイプが連結されています。もちろん部屋の料金はかなり高めです。
出発駅別料金表
次にシベリアを代表する都市、ウラジオストク、ハバロフスク、イルクーツク3つの拠点から主要都市への料金表を掲載します。
なお以下の料金表はあくまで概算ベースですので参考程度に留めておいて下さい。なぜならシベリア鉄道の料金形態は複雑だからです。
具体的には・・
①オフシーズンをベースに細かくシーズン料金を設定していること
②ベースとなる寝台料金にプラス例えば寝具の購入、食事手配等といった追加料金がかかること
③列車種別によって料金が異なること
つまり格安航空会社、LCCの料金形態とよく似ていると考えればいいですね。
ウラジオストク発
ウラジオストクはロシア極東の中心都市です。1992年に閉鎖都市から解放されて以来、『日本から一番ヨーロッパに近い都市』として最近日本人観光客が急増しています。
市街地の観光ももちろんですが、シベリア鉄道の出発地としての利点を活かし、ハバロフスクまでの夜行列車が組まれた旅行商品が注目を集めています。
料金もハバロフスクまでならかなりお得で時間に限りのある旅行者にもおすすめできます。
到着駅 | 列車 番号 | 4人部屋料金 (大人1名/円) | 2人部屋料金 (大人1名/円) |
ハバロフスク | 1.5.7 | 9,700~14,800 | 18,800~28,800 |
イルクーツク | 1.7 | 1:41,200~ 63,300 7:24,700~ 42,200 | 1:76,600~117,900 7:54,300~83,600 |
クラスノヤルスク | 1.7 | 1:46,700~71,800 7 31,000~47,000 | 1:86,200~132,600 7:62,100~96,600 |
ノホジビルスク | 1.7 | 1:50,700~78,000 7:34,100~52,500 | 1:94,600~145,500 7:61,100~94,000 |
モスクワ | 1 | 59,900~92,100 | 110,600~170,100 |
ハバロフスク発
日本で最もよく知られたロシア極東の都市で、成田から直行便も就航しています。
長らく極東シベリアの中心都市として発展しました。2年前に極東ロシアの首都機能がウラジオストクへ移転しましたが、観光地としての魅力は健在で、現在も多くの観光客で賑わっています。
到着駅 | 列車 番号 | 4人部屋料金 (大人1名/円) | 2人部屋料金 (大人1名/円) |
ウラジオストック | 1.5.7 | 10,000~15,400 | 18,800~ 28,800 |
イルクーツク | 1.7 | 1:33,400~51,300 7:23,200~35,700 | 1:61,000~93,800 7:44,200~68,000 |
クラスノヤルスク | 1.7 | 1:43,300~66,500 7:29,200~44,900 | 1:80,500~123,900 7:56,700~87,200 |
ノホジビルスク | 1.7 | 1:80,000~123,000 7:45,000~69,200 | 1:82,900~127,500 7:59,600~91,600 |
モスクワ | 1 | 56,100~ 86,200 | 103,900~159,800 |
イルクーツク発
イルクーツクはシベリア地方を代表する観光都市です。世界的に有名な観光地、バイカル湖畔に位置しており、モスクワから列車で3泊4日、ウラジオストクから2泊3日で到達します。
シベリア鉄道の旅行者は全線乗り通す人はまれで大抵はイルクーツクで観光を楽しんでから更に列車で旅するパターンが多いです。よって特に夏は世界中からの観光客で賑わっています。
到着駅 | 列車 番号 | 4人部屋料金 (大人1名/円) | 2人部屋料金 (大人1名/円) |
ハバロフスク | 2.8 | 2:27,500~42,300 8:19,300~29,700 | 2:49,000~75,400 8:36,800~56,600 |
ウラジオストック | 2.8 | 2:32,700~50,300 8:22,300~34,200 | 2:59,600~91,600 8:43,300~66,500 |
ノホジビルスク | 1.7 | 1:16,200~24,900 7:11,200~17,200 | 1:33,700~61,100 7:21,000~32,200 |
モスクワ | 1 | 36,800~56,600 | 71,100~128,900 |
為替レートにより料金の変動があるので注意!
ロシアは政治・軍事・領土という点では大国ですが、経済に限っては資源価格に左右される体質もあって、まだまだ発展途上にあります。
よって世界の景気に左右されやすくドルやユーロに比べれば相場の変動は激しいのが現状です。
当然ながらチケット料金も影響を受けます。上記にあげた料金はあくまで参考程度に留めておいて下さい。
シベリア鉄道の日数や列車の種類
シベリア鉄道の列車は全て寝台付きの長距離夜行列車です。1泊2日の寝台列車もありますが、3泊4日、6泊7日といった日本では考えられないような長距離区間を走る列車が多数あります。
おそらく日本人観光客が利用する列車はロシア号かオケアン号になりますが、ネーミングのない夜行列車もあります。
そしてあまり知られていませんが、ロシア版ななつ星in九州ともいえる『ゴールデン・イーグル号』は内装が桁外れに豪華なクルーズトレインとして世界中の観光客に人気があります。
ロシア号(列車番号:1・2)
ロシア号はシベリア鉄道を代表する看板列車です。ウラジオストクからモスクワまで何と所要時間は6泊7日。よって全区間乗り通す人は少なくてもロシア人は殆どいません。しかしロシア国内の地方都市を結んでおり、重要な交通手段となっています。
ちなみにロシア号はデイリー運行ではありません。月、木、土の運行となっています。
7・8番列車
7番、8番列車はロシア号のような固有の名前こそありませんが、ロシア号が走らない曜日、日、火、水、金曜日にてウラジオストクーモスクワ間を走っています。
エニセイ号(列車番号:55・56)
シベリア第3の都市クラスノヤルスクとモスクワ間を2泊3日で結んでいます。『エニセイ』の由来はクラスノヤルスク市街を流れるエニセイ川。
日本ではあまり知られていませんが運行して歴史が浅いだけに車両も最新鋭のタイプで快適な列車の旅ができます。
クラスノヤルスクはシベリア鉄道のほぼ中間地ですので、クラスノヤルスクで一旦下車してエニセイ号へ乗り換えるといった贅沢な旅もできますね。
オケアン号(列車番号:5・6)
オケアン号はウラジオストクから極東の中心都市ハバロフスクを結んでいます。1泊2日のデイリー運行で夜9時に出発して朝の8時半過ぎに到着と便利であることから、日本の団体ツアーに最も利用されている列車です。
他のシベリア鉄道の列車にない2人部屋のVIPキャビンの部屋があり、快適な旅ができるのが嬉しいですね。
ヴォストーク号(列車番号:19・20)
『ヴォストーク』とはロシア語で東方の意味。日本人にはあまり利用されることはないですが、モスクワから北京を結ぶ国際列車として毎週火曜日、週1本運行されています。
所要時間は1週間。ロシアと中国では線路幅が異なるため、中露国境駅では台車交換と国境検問のため6時間以上の停車を余儀なくされます。
シベリア鉄道のチケット購入方法や乗り方
シベリア鉄道を購入するにあたって日本人観光客にとってぶ厚い壁が存在します。それは言語です。ロシアでは英語はまず通じないとみていいでしょう。
しかし英語圏以外でも文字のアルファベットはどこでも通じやすいのですが、ロシアはアルファベット文字は通用しません。ロシア独自のキリル文字が世界の旅人を悩ませるのです。
従って手書きでもコミュニケーションはままならないので出発前にチケットを手配することを強くおすすめします。
チケットの購入方法
現在シベリア鉄道のチケット入手方法として一番無難な方法はやはり旅行代理店に依頼することです。
ただし料金は手数料込ですので高めになるのは否めません。しかし自分でやるコストを考えればプロに頼むのは決して悪くはないです。
出発前にはバウチャーが送られますので、あとは現場の窓口にてチケット交換手続をすれば完了です。
コストを抑えたければウェブサイトでの購入になります。そこでチケット購入におけるウェブサイトは2つ紹介します。
まずはロシア国鉄です。ロシア国鉄直販であり、寝台料金をベースにオプションを追加していくLCC方式の販売ですので、料金自体は安いです。ただしロシア語と英語のみで日本語対応ではないのが難点です。
もうひとつはRussian Train.comです。ロシア国鉄よりは多少料金が割高ですが日本語対応ですので、ウェブサイトでの購入なら一番おすすめできます。両方とも日本のクレジットカードで購入できます。
シベリア鉄道の乗り方
シベリア鉄道の乗り方はいたって簡単です。日本のような自動改札機はありません。駅で目的の列車が停車しているホームへ向かって乗り込むだけです。
しかし案内板がキリル文字だと戸惑うかもしれません。困った時は遠慮なくスタッフに声をかけてチケットを見せましょう。親切に教えてくれるはずです。
シベリア鉄道内のサービスや注意点について
シベリア鉄道は長時間滞在するため、まさに『動くホテル』といっていいでしょう。そして世界各国から様々な旅行客が乗車します。
かといって特段緊張する必要もありません。冷暖房も完備していますのでぜひリラックスして過ごして下さい。そこでシベリア鉄道の車内設備について紹介します。一応参考にしてみて下さい。
使える通貨について
ロシアで使える通貨は自国通貨のルーブルのみです。日本円はおろかドルやユーロも使えません。
ここで注意したいのがロシアで日本円からルーブルへの両替はまず不可能だということ。日本国内で円からルーブルへの両替が出来るところもそう多くはありません。
一番無難なのは日本国内で一旦ドルやユーロに両替し、ロシアでルーブルに両替する方法です。
しかし列車内で過ごすことを考えると、食堂車はクレジットカードが使えることから、せいぜいシャワーか停車駅で食料を調達することくらいです。よって無理して大金のルーブルを持参することはないでしょう。
シャワー・トイレについて
シベリア鉄道列車のトイレは国際列車らしく清潔に保たれています。
1車両の両橋にトイレが設置されており、しかも1日に2回清掃されるとのことで清潔度においては心配ないでしょう。
トイレにおいては微生物の力で排泄物を分解するバイオトイレ方式を採用しています。普通の水洗便所と比べ少量の水で流せますがトイレットペーパーは流せないのでゴミ箱に捨てる必要はあります。
なお洗面台も清潔に保たれていますが、気になる方は除菌ティッシュを持参しましょう。旅行の際は除菌ティッシュはけっこう重宝します。
シベリア鉄道を全距離乗り通すには1週間擁します。さすがに1週間体も洗えないのはつらいので、シベリア鉄道の列車にはシャワーが完備されています。
ちなみにシャワーは共同利用で有料です。料金は1回につき150ルーブル、日本円で255円。シャワーの温度も十分ですが水圧が十分ではありません。でも車内のタンクから供給されるのでそのあたりは致し方ないですね。
ちなみに2人用の個室寝台にはトイレ、シャワーが部屋内に設置されて自由に使えます。潔癖症の人は検討してみる価値はあるでしょう。
飲食について
シベリア鉄道の旅客列車は食堂車が連結されています。料金も、メニューにもよりますがパン、スープ、メインディッシュで1500円程度と日本と比べても遜色ありません。ちなみにクレジット決済も可能です。
しかし節約派の旅行者には停車駅の売店、売り子から食料を調達することもできます。理由はシベリア鉄道の停車時間は大体30分と長時間停車するからです。しかもロシアの食費は安いので料金的にはとても助かります。
また給湯器が設置され、お湯も十分に出るので日本からカップラーメンといったインスタント食品を持ち込むのもいいですね。
シベリア鉄道の値段はお手ごろ
シベリア鉄道はいつの時代も旅のノスタルジーをかきたててくれる貴重な交通機関です。特に車窓の眺めは日本ではまず味わえないですし、世界中の観光客、地元民とのちょっとした交流も鉄道の旅ならではの魅力です。料金も手頃ですので時間を贅沢に使ってみたい方はぜひシベリア鉄道を検討してみて下さい。