泰山は中国の世界遺産!観光スポットや登山ルート・ご来光について紹介
古来より、中国の歴代皇帝が巡礼に訪れた泰山。20以上の建築物と2200以上の石碑がある、歴史的にも価値がある貴重な山で、世界自然遺産にも登録されています。中国でも屈指の観光スポット、泰山の見どころや登山ルートなど、泰山観光に欠かせない観光情報をご紹介します。
目次
中国の世界遺産「泰山」について紹介!
中国山東省泰安市にある泰山は、1987年に世界遺産に登録された、中国が世界に誇る名山です。道教の5つの聖地「五岳」の一つで、歴代の皇帝が国家統一を天に報告する「封禅の儀」が行われた歴史ある場所でもあります。
泰山には、いたるところに歴史的に偉大な建造物があり、唐、宋、清それぞれの時代に刻まれた「摩崖刻石」は圧巻です。標高1545mの山頂は「玉皇頂」と呼ばれ、中国きっての絶景ポイントとして人気を集めています。
世界遺産に登録されるには、10項目の登録基準のうち1つ以上に該当し、なおかつ厳正な審査を受けなければなりません。登録基準の1~6項目に該当するものは世界文化遺産、7~10項目に該当するものは世界自然遺産に登録されます。
中国の泰山は、6つある世界文化遺産の登録基準すべてを満たし、さらに世界自然遺産の登録基準にも該当するため、世界複合遺産として登録されています。
ちなみに、世界文化遺産登録基準の6項目すべてをクリアしているのは、イタリアの「ヴェネチアとその潟」、中国の「莫高窟」そしてこの「泰山」の3か所だけです。まさに世界遺産の中の世界遺産です。
泰山ってどんなところ?おすすめのシーズンは?
中国五大名山の一つ、泰山。「秦」の始皇帝に始まり、「漢」の武帝、「唐」の太宗、「宋」の太祖から明清時代までおよそ2000年に渡って、信仰の中心として歴代の皇帝により崇められてきた聖なる山です。
泰山は、皇帝にとって最も大切な儀式である、「封禅の儀」を行なう場所でもあるため、多数の祠や廟、宮殿建築が点在し、山全体が厳かな雰囲気に包まれています。
また、泰山には、石刻などの文化旧跡も豊富に残されているため、「青空歴史博物館」とも称えられています。山中には、名所、旧跡のほか、奇岩や老木も多いです。
泰山には、6293段の石段で作られた、全長9kmにおよぶ登山観光道路が整備されており、四季を通して登山が可能です。冬期でも閉山はしません。中天門から南天門まではロープウェイも運行されているので、途中で力尽きそうになっても大丈夫です。
四季折々、美しい姿を誇る泰山ですが、おすすめの観光シーズンは4月から11月です。中でも夏の泰山は緑に包まれ、夕闇迫る山頂からの眺めは息をのむほどの美しさです。標高が高く涼しいので、人気の避暑地にもなっています。
5月、6月、9月、10月は、日の出を見るには最適の時期で、早朝から多くの観光客が押し寄せます。春には色とりどりの高山植物の花が咲き、ハイキング気分で登山が楽しめます。
秋の紅葉はもちろん素晴らしく、冬の樹氷も泰山の見どころの一つです。冬は観光客が、少ないので、ゆっくりと泰山の魅力を楽しむことができます。ただし、冬は非常に寒さが厳しいため、しっかりとした防寒対策が不可欠です。
泰山のおすすめ観光スポット
山全体が世界複合遺産として登録されている泰山には、2000年以上の歴史と伝統を誇る建造物や神々しいまでに美しい自然など、見どころがいっぱいです。どこもかしこも見どころだらけ、目移りしてしまうほど魅力たっぷりの泰山。
全部ご紹介したいのはやまやまですが、たくさんある泰山の観光スポットの中から、これだけは外せない、とくにおすすめの観光スポットをご紹介します。
泰山の南の麓にある「岱庙」
「岱庙(たいびょう)」は、泰山の南の麓、泰安市内にある廟で、泰山観光のスタート地点です。歴代皇帝が、泰山参詣の折に立ち寄って祈りを捧げ、祭りを催した歴史ある場所です。
岱庙の規模は広大で、中国四大建築群の一つに数えられています。岱庙の内部には、北宋時代の国宝級の巨大壁画があり、その他にも数多くの貴重な文化財を鑑賞することができます。
南天門から碧霞祠まで続く「天街」
泰山天街は、「天宮の扉」と称される南天門から、碧霞祠(碧霞寺)まで続く約600mの道で、「天街」または「岱頂天街」と言われます。碧霞祠は、泰山の頂上「玉皇頂」の南に位置する、泰山最大の高山古建築群で、中国の女神、碧霞元君 (へきかげんくん) の像が安置されています。
道の両脇には土産物屋やホテル、レストランが建ち並び、多くの観光客、買い物客でにぎわっています。泰山山頂からの日の出目的の観光客は、天街で1泊するのが一般的です。山頂に近いため、霞がかかったように見えることも多い天街は、朱色を多用した中国らしい店構えと相まって、まるで物語の世界のようです。
泰山の主峰の頂上「玉皇頂」
標高1545m、中国一の絶景ポイントとの誉れも高い、泰山の最高峰が「玉皇頂」です。碧霞祠の北側に位置しています。かつては、「太平頂」と呼ばれ、「天柱峰」との別名もあります。「玉皇頂」は、72人の皇帝が「封禅の儀」を行った場所としても有名です。
「天下第一山」とも称される泰山の山頂からの眺めは絶景で、玉皇廟の東亭からは「旭東昇」と呼ばれる朝日を見ることができ、西亭からは「黄河金帯」と呼ばれる金色に輝く黄河を望むことができます。
ご来光が拝めるおすすめスポット「日観峰」
「玉皇頂」の南側に位置する「日観峰」は、泰山一といってもいい人気スポットです。泰山観光の目玉ともいえる、「日観峰」からのご来光は、震えるほど感動的。雲海をかきわけて登りくる太陽は圧倒的な神々しさです。
「日観峰」からの日の出を拝もうと、早朝から多くの人が押し寄せるので、日の出の時刻には立錐の余地がないほどですので、ベストポジションで日の出を拝みたいなら、かなり早めの時刻から場所取りが必須です。
奇石がある絶景スポット「探海石」
6.5mの巨岩が、斜めに北の空に突き出す「探海石(たんかせき)」。「日観峰」と並ぶ、ご来光を拝む人気スポットです。巨岩に登ると、眼下に広がる雲海が、生き物のように蠢く様子を目の当たりにすることができ、まるで空中に浮いているかのような錯覚に陥ります。
「探海石」周辺には25億年以上も前に形成された岩石もあり、こちらも必見です。
泰山のおすすめ登山ルート・コース
名所旧跡を愛でながら、泰山の素晴らしい自然を満喫するには、紅門から入り、約9km、6293段の石段を登る東コースが一番です。人気の観光スポットはほとんど全部がこのコース周辺に集中しています。
しかし、整備してあるとはいえ、泰山の石段は高さがあるところや急になっているところもあるので、けっこうハード。体力に自信がある人で4時間、日頃運動をしていない人なら6時間はかかります。
もし、全コース歩き通す自信がなければ、ロープウェイを利用するのがおすすめです。ロープウェイは、「中天門」「桃花源」「後石塢」から出ており、「桃花源」「後石塢」へは、市内からバスや観光バスを利用すれば、体力に自信がない人でも泰山観光が楽しめます。
泰山へのアクセス方法・行き方
泰山は、山東省泰安市の中部に位置しているので、アクセスは良くありません。広い中国を移動するには飛行機が便利ですが、泰安市には空港がありません。一番近い空港でも、約110km離れています。その済南市の遥墙国際空港から泰安までは、毎日8便のバスが運行していますが、1.5~2時間ぐらいかかります。
泰山駅には、「特快」、「直快」、「普快」の列車が停車するので、飛行機より鉄道を利用する方が便利です。その他に、北京と上海をつなぐ高速鉄道も、一部の列車が泰安駅に停車します。
中国の世界遺産泰山でご来光を拝もう
中国が世界に誇る霊山、泰山。日本人にとっての富士山のような存在といえばわかりやすいでしょうか。きつい石段が延々と続く泰山は、自分の足で登るには少々苦労を伴いますが、苦労が無駄になることはありません。
むしろ、苦労するからこそ、その後に出会う数々の歴史遺産や素晴らしい光景に心が震えます。世界一との誉れも高い泰山からの絶景、一度は目にしてみたいと思いませんか。
全行程は無理でも一部だけ歩くコースや、観光バスやロープウェイを利用するコースもありますので、機会があったらぜひ、泰山に登って、ご来光を拝んでみてください。