栃木弁はかわいい!栃木県の方言やなまり一覧(告白や会話について紹介)
栃木弁を聞いたことがありますか。栃木弁は栃木で話されている方言で、標準語とは異なるイントネーションなどの特徴があります。今回はそんな栃木なまりについて、栃木県では定番の方言などを一覧にまとめてみました。栃木県へお出かけの際は一覧を持参し参考にしてください。
目次
栃木県の方言「栃木弁」について紹介!
栃木県の方言である栃木弁の特徴について、一覧にまとめると次のようになります。
栃木弁の特徴一覧 | |
語尾 | 「~べ」「さぁ」などをつける |
アクセント | 平板化 |
発音1 | 「え」と「い」の混同 |
発音2 | 濁点化 |
発音3 | 「っ」を入れる |
イントネーション | 疑問文のように尻上がり |
栃木弁のなまりの特徴
栃木なまりの特徴に1つに、語尾に「~べ」や「~べぇ」、「~だべ」が付くことが挙げられます。いかにもなまっている感じがする、なまりらしいなまりといえるでしょう。温かみがあって親しみやすい愛情のこもった表現といえます。
栃木弁の2つめの特徴は、語の抑揚がなくアクセントが平板化するということです。たとえば牡蠣と柿、雨と飴のようにアクセントの違いで意味を識別する同音語において、栃木弁では同じアクセントで発音されます。
そのため、栃木県外の人からすると区別がつきにくいのですが、栃木県民は支障なく会話が続きます。文脈から判断して適した語を選んでいるのでしょうが、栃木県民外からすると、ややこしいうえに間違いやすいため、疲れてしまうかもしれません。
3つ目の特徴は、語中の「い」と「え」が混同されることです。 たとえば「色鉛筆」を「いろえんぴつ」ではなく「いろいんぴつ」と発音したり、「海老」を「えび」でなはく「いび」と発音したりします。
特に年配者にこの傾向が高く、いかにもなまりらしい印象を与えます。栃木弁の4つ目の特徴は、濁点が多いということです。たとえば「行く」を「く」に濁点をつけて「行ぐ」と発音したり、語尾に「~べ」をつけて「行ぐべ」と言ったりします。
全てに濁点をつけるわけではなく、どの音が濁るのか文法的な規則性は見出されませんが、「かきくけこ」は濁点化されて「がぎぐけご」になることが多いようです。
濁点化と同じように規則性がないものに、小さい「っ」を入れるという特徴があります。たとえば「さっきから」を「さっきっがら」と半拍多く入れたり、「飲むようにするから」を「飲むようにすっから」と小さい「っ」で置き換えたりします。
栃木弁のイントネーション
栃木弁は文末が尻上がりになる独特のイントネーションが特徴です。疑問文でなくても語尾が緩やかに上がるため、まるで質問されているかのような印象があります。
これは隣県の福島弁にもいえることで、福島弁とはイントネーション以外にも似ているところが多々あるようです。
栃木弁のかわいい方言一覧と例文
栃木県のなまりの中でも、栃木県民外の人からするとかわいらしく感じられるものを一覧にしてみました。各語の詳しい意味と例文は後述いたします。
かわいい栃木弁一覧 | 意味 |
ごじゃっぺ | いい加減な事 |
~さ | ~に、~だ |
~したっけ | ~したら |
でれすけ | あほ |
らいさま | かみなり |
「ごじゃっぺ」
栃木弁の「ごじゃっぺ」とは「冗談」「うそ」「いい加減な事」といった意味で、栃木県民でないと通じないなまりと言っていいでしょう。親しみのこもった明るい言い方で、標準語にはない言葉といえます。
「ごじゃっぺ言うでね」(=いい加減な事言うな)
「~さ」
場所を表す言葉につけて「~へ」「~に」の代わりになります。また、文末につけて「~だ」の代わりになります。いずれも「さ」を挟むことで柔らかく、親しみやすく感じられるなまりです。
「家さ帰ろ」(=家に帰ろう)、「旅行言ってたんさ」(=旅行に行ってたんだ)
「~したっけ」
栃木の方言の定番中の定番が「~したっけ」です。標準語では「○○したっけ?」と文末につけて確認する疑問形として使われますが、栃木では異なります。「~したら」「~したから」という意味で、標準語の接続詞「そうしたら」と同じです。
栃木県内の日常会話ではよく出てくる方言で、「~したっけ」の後に文が続くため疑問形でないことは栃木県民でなくとも気づくはずです。会話で「~したっけ」が出てきても、おおよその意味は栃木県民でなくとも推測できる方言といえます。
「ミスしたっけ怒鳴られた」(ミスしたから怒鳴られた)
「でれすけ」
「でれすけ」とは「あほ」「ばか」「どうしようもない者」「怠け者」といった意味で、親しみを込めて言います。温かい、愛情のあるなまりの典型で、親が子供を叱ったり愛の表現としても用いられたりすることもあります。
また愛の告白の時にこの言葉を使うと効果的になることもあるようです。
「このでれすけが!」(=この馬鹿者が!)
「らいさま」
栃木弁の「らいさま」とは「雷」のことです。つまり「雷様(かみなりさま)」の音読みをそのまま栃木のなまりとして使っているのです。栃木県は群馬県、茨城県ともに雷の発生が多い県といわれ、昔から雷に対し畏敬の念を抱いていたのでしょう。
「かみなりさま」と呼ばずあえて「らいさま」と呼ぶのはなぜだかわかっていませんが、温かみのある、なまりらしいなまりといえます。
「らいさまが来そうな天気だな」(=雷が鳴りそうな天気だね)
栃木弁で誤解しやすい方言一覧と例文
栃木県のなまりで他県から誤解されやすいものを一覧にまとめてみました。各語の詳しい意味と例文を後述いたします。
誤解されやすい栃木弁一覧 | 意味 |
あしたあさって | あさって |
こわい | 疲れた |
だいじ | 大丈夫 |
ぶんなげる | 放置する |
まさか | さすが |
「あしたあさって」
栃木弁で「あしたあさって」というと「あさって」の意味になります。同じように「きのうおととい」というと「おととい」の意味になります。栃木県外の人からするととても不思議に感じられる、独特な栃木なまりです。
「あしたあさって行く」(=あさって行く)
「こわい」
栃木弁の「こわい」も標準語とはだいぶ意味が異なり、「疲れた」を意味します。栃木でも若い人より年配の方がよく使う方言で、主に農業従事者が口にするようです。
標準語で「おお、こわい」といったら「恐怖を感じる、恐ろしい」という意味ですが、栃木では「ああ、疲れた」の意味になります。
マラソンを走った人が「あーこわい」といっても、「疲れた」の意味を知らない栃木県外の人が聞いたら「なんでだろう。幽霊でもいたのか」と思ってしまいます。
ちなみに栃木で標準語の「怖い」を意味する方言は「おっかない」といいます。
「あー、こわがったー」(=あー、疲れたー)
「だいじ」
栃木弁の「だいじ」は、日常会話でとてもよく使われる定番の方言といいでしょう。栃木弁の「だいじ」は標準語でいう「大切」という意味での「だいじ(=大事)」とは意味が異なるため、誤解されやすい方言です。
栃木では「だいじ」を「大丈夫」という意味で使います。そのため、栃木県民同士の会話を栃木県民でない人が聞くと理解できないかもしれません。
しかも、栃木では「だいじ」が「大丈夫」という意味であるのは方言ではなく、標準語と思っているかたが多く、栃木県外に出て意味が通じない経験をして初めて方言であったと気づくようです。
栃木では「だいじ」を「だいじない?(=大丈夫ですか?)」などと相手を心配して疑問形で訊くことも多く、相手が「だいじない(=大丈夫です)」などと答えて会話するのが日常です。
しかし、これを栃木県民と栃木県民でない人とがやると意味が通じず、会話がかみ合いません。例えば風邪を引いた栃木県民でない人に栃木県民が心配して「だいじない?」と訊いても相手に真意は伝わりません。誤解されやすい方言の代表です。
「(転んだ人に対し)だいじけ?病院さ行ったほうがいいんじゃねぇんけ?」(=大丈夫?病院行ったほうがいいんじゃない?)「だいじ、だいじ!」(=大丈夫、大丈夫!)
「ぶんなげる」
「ぶんなげる」というと、ずいぶん乱暴に遠くへモノを投げるという意味ですが、栃木弁では乱暴でも投げるでもなく、「放置する」という意味になります。
「ぶんなげる」または「ぶんながる」といい、「そこいらへんに置いておく」「適当に置いておく」「そのまま放置しておく」といった感じです。
「その辺にぶん投げといて!」(=その辺に置いておいて)
「まさか」
標準語で「まさか」は、予想もしてなかったありえないような事態が今起こりつつあるという時に、例えば「まさか、あのお笑い芸人が結婚できるとは思わなかった」というように使います。
しかし、栃木弁の「まさか」は「さすが」とか「やっぱり」という意味で、標準語の「まさか」とは反対に近いです。上述の例でいえば、栃木で「まさかあのお笑い芸人が結婚とは」といったら、「やっぱりあのお笑い芸人結婚するんだね」の意味です。
標準語の意味では、結婚できなさそうな芸人が結婚するのでびっくりするのに対し、栃木弁の意味ではいかにも結婚しそうな芸人が結婚するので「ああ、やっぱりね」という意味になるのです。
「まさかスカイツリーはおっきいねえ」(=さすがスカイツリーは大きいねえ)
栃木弁での日常会話を例文で紹介!
それでは、栃木県内で話されているような、栃木弁での日常会話の例文をご紹介しましょう。
「ぶっこまった」
A:大雪で車、ぶっこまってんだよ。
B:JAFが来たんけ?
A:いーや、まだ。
大雪の日によく聞く言葉が「ぶっこまった」です。雪にタイヤがはまって車の身動きが取れなくなったときの栃木弁です。「ぶっこまった」は、かに挟まれて動けなくなった状態を表します。上記の会話は動けなくなった車の運転手が携帯電話で話している様子です。
A:大雪で車の身動きが取れなくなってしまってるんだよ。
B:JAFは来たの?
A:いいえ、まだ。
「めっけでこ」
A:何してるけぇ?
B:コンタクト落としたんさぁ。
A:しゃああんめぇ、めっけでこ。
「めっけ」は「見つける」「見つける」ことを意味します。上記の例では床を這いつくばて何かを探しているような様子のBに対し、不審に思ったAが声をかけ、落としたコンタクトレンズを一緒に探すのを手伝う様子となっています。
A:何しているの?
B:コンタクト落としちゃったんだ。
A:仕方ない、見つけていこう。
栃木弁で異性に告白するとどうなる?
音の響きがかわいいと評判の栃木弁で愛の告白をすると、どんな感じになるのでしょうか。一例をご紹介いたしましょう。
「ずっと気になってたんだ」
「とうと気になってたんさぁ」
「とうと」というのは栃木弁の定番で「ずっと」という意味です。標準語の「ついに」「ようやく」を意味する「とうとう」と間違えないようにしてください。標準語の文末{~んだ」を栃木なまりにすると「~んさぁ」になります。
語尾をやや伸ばす感じにし、イントネーションを上げ気味に発音するのがポイントです。標準語で告白するのに比べ全体的に柔らかく、親しみのこもった言い方になります。
「好きです」
「好きなんさぁ」「好きだべぇ」
標準語で告白するとき、「好きです」と文末が硬くなる場合でも、栃木なまりに変換するとグッと柔らかく、かわいくなります。
「好きなんさぁ」は「好きだ」「好きなんだ」を栃木弁にしたもの、「好きだべぇ」は「好きだよ」の栃木弁で、ニュアンスの違いはありますが意味は同じです。
「付き合ってくれませんか?」
「付き合ってくれんけ?」「付き合ってくれねぇべか?」
標準語で告白するのに比べ、栃木なまりにすると語尾が変化して緩やかな尻上がりのイントネーションとなるため、とても柔らかく親しみやすい表現になります。「付き合ってくれんけ?」「付き合ってくれねぇべか?」のどちらでも意味は同じです。
「付き合ってくれんけ?」のほうが気軽でフレンドリーな印象があり、「付き合ってくれねぇべか?」のほうがお願いする感じが強いといっていいでしょう。
栃木県の方言である栃木なまりを知って栃木弁で会話してみよう
知名度は東北弁や関西弁に比べて高くないものの、栃木県には栃木弁があります。今回は定番の栃木弁などを一覧表にしたり、各栃木弁の意味や使い方を例文と共に紹介しました。栃木を訪れた際は栃木弁になじみ、会話を楽しめるといいでしょう。