甲州弁は山梨県(甲府)の方言!方言の一覧や言い回しを紹介
山梨県の方言である甲州弁は、日本テレビの「月曜から夜ふかし」にて「ブサイク方言」に選ばれました。しかし、かわいい訛り方をする表現もあり、友達との会話や告白時にとても便利です。主な甲州弁の意味・使い方一覧をまとめてみました。
目次
甲州弁(山梨県・甲府弁)ってどんな方言?
富士山や赤石山脈などの山々に囲まれた自然豊かな山梨県では、甲州弁(または甲府弁)と呼ばれる方言が使われています。
俗に「ブサイク方言」とも揶揄されるほど語尾の訛り方が特徴的で、山梨県以外の地域に住んでいる方が聞いても方言の意味を理解できないでしょう。
そこで今回は、山梨県の方言・甲州弁の意味や使い方一覧、アクセントの特徴などをまとめてみました。甲州弁に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
甲州弁(山梨県・甲府弁)「基本編」
山梨県の方言(甲州弁・甲府弁)は文法こそ標準語とほぼ同じですが、イントネーションがまるで異なります。独特の訛り方をするため、初見ではまず意味が分からないでしょう。
まずは、山梨県でよく使われている方言(甲州弁・甲府弁)の意味や使い方を解説していきます。
1.「ほーずら」
甲州弁の「ほーずら、ほおずら」は、標準語で「そうでしょう」という意味の方言です。「そう」の発音が「ほう」に転化し、推量の「ずら」が語尾に付いています。
相手から分かりきった質問をされた時、山梨県民は「ほりゃあほうずら(そりゃそうでしょう)」と返答します。
2.「いいじゃんけ」
甲州弁の「いいじゃんけ」は、標準語で「いいじゃないか」という意味の方言です。相手が判断に迷っている時、決意を後押しするために使います。
「いいじゃん」は関東圏でも一般的に使われる若者言葉なので、比較的意味は分かりやすいでしょう。共感を求める「~け」が語尾に付いていて、甲州弁ならではの親しみを感じます。
3.「やれし」
甲州弁の「やれし」は、標準語で「やりなさい」という意味の方言です。動詞の後ろに「~し」が付くと、命令・提案の意図を表します。
乱暴な口調に聞こえますが、山梨県では友達同士で一般的に使うフランクな表現です。インターネット上でもスラングとして普及している表現であり、SNS等で見かけたことがあるのではないでしょうか。
4.「おまんとうは」
甲州弁の「おまんとうは」は、標準語で「お前たちは」という意味の方言です。「お前」が「おまん」に転化し、複数を表す「とう」が語尾に付いています。
いきなり「おまんとう」と言われるとドキッとしてしまいますが、下ネタではありません。ちなみに、「俺達」は甲州弁で「おれんとう」になります。
5.「やっちょし」
甲州弁の「やっちょし」は、標準語で「やるな」という意味の方言です。動詞の後ろに「ちょし」が付くと、否定の命令文になります。
「見ろし」が「見なさい」を意味するのに対し、「見ちょし」は「見ないで」と言いたい時に使います。「し」と「ちょし」をセットで覚えると良いでしょう。
甲州弁(山梨県・甲府弁)「かわいい編」
山梨県の方言の訛り方は非常にユニークなので、甲州弁を話す方言女子はかわいいともっぱらの評判です。山梨県民以外の方も、思わず口調を真似してみたくなることでしょう。
ここでは、山梨県で使われている方言の中から発音がかわいいものを紹介していきます。
1.「ずら」
甲州弁の「ずら」は、標準語で「~だろう、~だよね」という意味の方言です。語尾に付けて、憶測や確認の気持ちを表します。
多くの山梨県民が日常的に使う方言であり、甲州弁を代表するフレーズの一つです。平叙文の場合は語尾を下げ、相手に語りかける時は「~ずら?(~でしょ?)」と語尾を上げます。
2.「くりょう」
甲州弁の「くりょう」は、標準語で「~してください」という意味の方言です。動詞の後ろに付けると、丁寧な命令文になります。
相手に自分の方に来て欲しい時には、「来いし」より「来てくりょう」の方がフォーマルな表現になります。方言といえども目上の人に対してフランク過ぎる表現を使うのは失礼にあたるので、TPOに応じて上手に使い分けましょう。
3.「し」
甲州弁の「し」は、標準語で「~して」という意味の方言です。
標準語で「行け」と言うと偉そうな口調に聞こえるため、友達同士でも相手に不快感を与えてしまう恐れがあります。その点、「行けし」と甲州弁に変換すれば、コミカルな口調になってその場が和みます。
甲州弁(山梨県・甲府弁)「上級編」
特異な表現の山梨県方言は、よその地域にお住まいの方にとっては全く意味不明です。意図を曲解しないよう、方言の意味を正確に把握しておきましょう。
ここでは、山梨県で使われている方言(甲州弁・甲府弁)の中でも特に意味が分かりにくい例文一覧を紹介していきます。
1.「廊下をとばないでください」
甲州弁の「とぶ」は、標準語で「走る」という意味の方言です。山梨県の学校では「廊下をとばないでください(廊下を走らないでください)」と記載された注意書きが貼られていることがあり、転校生が混乱しがちです。
標準語でも急いで行くことを「飛んで行く」と表現するため、勘の良い人は何となく意味が分かるかもしれません。「跳ぶ」という意味ではないので、ジャンプしなければ良いと勘違いしないように注意してください。
2.「だっちもねえこんいっちょし」
甲州弁の「だっちもねえこんいっちょし」は、標準語で「くだらないことを言うな」という意味の方言です。だっちもねえ=しょうもない、こん=事、いっちょし=言うな、と分割できます。
甲州弁シンガーの原田喜照氏がリリースした「だっちもねえこんいっちょし」という方言ラップのタイトルで有名。暗号みたいな発音ですが、れっきとした甲州弁です。
3.「何ちんぶりかいてるだ」
甲州弁の「何ちんぶりかいてるだ」は、標準語で「何をすねてるんだ」という意味の方言です。
「おちんぶり(おちょんぶり)をかく」は「すねる」を意味する言葉で、決して下ネタではありません。甲州弁を知らない女性の前でこの表現を使う時は注意してください。
4.「うてげえしすんな」
甲州弁の「うてげえしすんな」は、標準語で「言い訳するな」という意味の方言です。
「うてげえし」とは「言い訳、口答え、仕返し」のことで、山梨県内でも地域によって意味が若干異なる場合があります。いずれにせよ、「うてげえしすんな」と言われたら相手が怒っているのだと認識しましょう。
5.「今いくじ?」
甲州弁の「今いくじ?」は、標準語で「今何時?」という意味の方言です。
この場合の「いくじ」を漢字で書くと「幾時」であり、意気地や育児ではありません。意味を知らないと、いきなり言われた時に「は?」と聞き返してしまうでしょう。
6.「なんぼでもわにわにしちょ」
甲州弁の「なんぼでもわにわにしちょ」は、標準語で「いつまでもふざけるな」という意味の方言です。なんぼでも=いつまでも、わにわに=ふざける、しちょ=するな、と分割できます。
山梨県民がこの方言を口にしたら、相当怒っている証拠です。「わにわにしちょ」の発音の可愛さにうっかり笑ってしまうと、さらに相手を逆上させてしまいます。注意してください。
甲州弁(山梨県・甲府弁)「面白編」
甲州弁の中には、標準語に置き換えると滑稽な表現に聞こえる方言が少なくありません。会話中に使われると、思わず笑ってしまうことでしょう。
ここでは、山梨県で使われている方言の中から面白い表現のものを紹介していきます。
1.「気を付けろしね」
甲州弁の「気を付けろしね」は、標準語で「気を付けてくださいね」という意味の方言です。
注意を喚起する「気を付けろし」の語尾に終助詞の「ね」が付いているだけですが、発音を間違えると「気を付けろ、死ね」と言っているように聞こえてしまいます。
甲州弁で話す時は、「気を付けろし」までを一気に発声するようにしてください。
2.「犬がくっつくぞ!」
甲州弁の「犬がくっつくぞ」は、標準語で「犬が噛みつくぞ」という意味の方言です。
「くっつく」は甲州弁で「噛む、刺す」の意味であり、蚊に血を吸われることを「蚊にくっつかれる」と表現します。
「犬にくっつかれるぞ!」と言われると、犬がジャレてくるのかと思って喜ぶ方もいるでしょう。しかし、実際には凶暴な犬への注意を呼び掛けているので、速やかに退避してください。
3.「ゴキンドくせぇ」
甲州弁の「ゴキンドくせぇ」は、標準語で「カメムシ臭い」という意味の方言です。
山梨県では、カメムシのことをゴキンドと呼びます。ゴキブリをイメージしがちですが、そうではありません。
とはいえ、多くの人間が苦手としている生き物という点は共通しています。運動した後に「ゴキンド臭い」と言われたら、早めにお風呂に入って体を洗いましょう。
4.「背中かじくって」
甲州弁の「背中かじくって」は、標準語で「背中掻いて」という意味の方言です。
標準語の「掻く」は、甲州弁で「かじる」とか「かじくる」と言います。「背中をかじれ」と言われると、頭がおかしい人なのかと勘違いしがちです。
実際には単に背中が痒いだけなので、すぐに掻いてあげてください。
甲州弁のアクセントを学ぼう
山梨県で使われている方言(甲州弁・甲府弁)は、御坂山地・大菩薩嶺を境に東西で異なる性質を有しています。西側の「国中弁」は東海地方の方言の影響を受けており、東側の「郡内弁」は関東地方の方言に似ています。
甲州弁と言えば、一般的には西側で使われている「国中弁」を指すことが多いです。独特な訛り方をするため、一度聞いたら耳に残ります。
ここでは、甲州弁のアクセントの基本的な特徴を解説していきます。
「ずら」など語尾にインパクトの強い言葉が来る
甲州弁を話す人は、「~ずら」を語尾に付けることが多いです。
「妖怪ウォッチ」に登場する狛犬の妖怪「コマさん」の口癖としても有名で、アニメの影響からか甲州弁を真似する子供たちが全国的に増えているとか。
音の響きがコミカルで可愛いため、自分の個性を手軽にアピールできる魅力があります。
「そ」は「ほ」に変わることがある
甲州弁では、標準語の「そ」の発音が「ほ」に転化されることが多いです。そうだよ → ほうだよ → ほうずら、に変わります。
サ行よりハ行の方が発声時の負担が少ないため、長時間喋っていても疲れにくいのが特徴的です。
「ア+エ」「ア+イ」連続する母音は「エ+エ」に
甲州弁では、連続する母音が「え」の発音に転化する特徴も見られます。「帰って(かえって)」が「けえって」になり、「大事(だいじ)」が「でえじ」になります。
だらしなく聞こえるかもしれませんが、大きく口を開けなくても話せるので慣れると非常に楽です。
甲州弁は独特で面白い!方言をマスターしてみよう!
今回は、山梨県で使われている方言(甲州弁・甲府弁)の意味や例文一覧、アクセントの特徴などを紹介いたしました。
ブサイク方言とも呼ばれる甲州弁ですが、ユニークな表現が多くて、知れば知るほど愛着が湧いてきます。山梨県への旅行・移住を計画している方は、ぜひ本記事を参考にして甲州弁を勉強してみてください。