大阪の新今宮の治安は危険?新今宮駅のホテルなど宿泊する際の注意点も解説
大阪市の新今宮駅周辺といえば、治安が悪く危険なイメージを持たれることの多い地域です。しかし、2017年に星野リゾートがホテルの建設を発表して以来、このエリアの再開発が注目を集めています。変わりつつある新今宮の治安や、宿泊する際の注意点についてまとめました。
目次
大阪の新今宮は危険?現在の治安はどうなの?
新今宮周辺にはかつて、「大阪で最も危険なところ」「一人で歩いてはいけない治安の悪いところ」というイメージが付きまとっていました。海外からのバックパッカーに人気を博している今でも、危険なイメージが根強く残っています。
しかし、新今宮は今、大きく変わろうとしています。 というのも、新今宮駅の北側一帯を大阪市が再開発している真っ最中だからです。
あの星野リゾートがこの開発事業に名乗りを上げたニュースは、記憶に新しい方も多いでしょう。「大阪一ディープな新今宮に高級リゾートホテル!?治安は大丈夫なの?」と府民を驚かせました。
「星野リゾートOMO7(おもせぶん)大阪新今宮」は2022年オープン予定で、着々と工事が進められています。
そんな新今宮ですから、治安は徐々に改善されつつあります。
事実、大阪市が11月末に発表した「令和元年の犯罪発生状況」によると、西成区では-9.8%、浪速区では-6.9%と、新今宮周辺の犯罪件数は減少し、治安が良くなってきていることが分かります。治安の改善に伴い、一人旅の女性の姿も珍しくはなくなりました。
けれども、新今宮の危険がなくなったわけではないので、油断は禁物です。
2018年2月には、マッチングアプリで知り合った20代女性を米国人の男が殺害、遺体を切断するというショッキングな事件がありました。犯人は東成区でこの事件を起こした後、新今宮付近の民泊に潜入し逮捕されています。
また今年2019年2月にも、男性が新世界のパチンコ店で刺され、犯人が包丁を持って2Fのドン・キホーテをウロウロするという事件がありました。
つまり、新今宮の治安は良くなってきているものの、危険なエリアや時間帯には十分に注意する必要があるということです。なにしろ旅先では自分の身は自分で守らなければいけません。
夜でも人の往来が多い通り以外は明るいうちに散策し、日夜問わず危険な場所には近付かないようにしましょう。特に女性は、治安の悪い場所で夜道の一人歩きは控えるのが身のためです。
大阪の新今宮とはどんなところ?
新今宮は最もディープな大阪を味わえるところです。歴史・街並み・文化・暮らす人々…どれをとってもユニークで、他のどの街にも似ていません。
またどんな人をも拒まず受け入れるという意味で、大阪の人はよくこの街を「懐の深い街」と表現します。少し長く滞在し豊かな人情味を感ると、二度・三度と訪れたくなってしまうでしょう。
治安への対策をしっかりしておけば、魅力的なエリアなのです。
地理的に言うと、新今宮駅は浪速区と西成区のちょうど境目に位置します。JRと南海の二線が乗り入れるうえ、難波のすぐ南・天王寺のすぐ西という好立地で、多くの人々が集まります。
堺筋に沿って阪堺電気軌道・阪堺線も走っているため、新今宮駅前停留所からはチンチン電車も利用できます。
アクセスが良いだけではなく、新今宮周辺には新世界や今宮戎神社、天王寺動物園など人気の観光スポットが集まっています。安くて美味しいお店も数えきれないほどあります。
よって治安が改善されつつある今は、観光客の宿泊先としても大人気。1000~3000円程度で宿泊できる宿もたくさんあり、海外からのバックパッカーが非常に多いのが特徴です。
新今宮の治安が悪いと言われる理由
ところで、「新今宮は治安が悪い」と言われるようになったのは、最近のことではありません。危険な地域というイメージが定着するに至るには、長い歴史がありました。
新今宮駅南側のあいりん地区の存在
「あいりん地区」とは新今宮駅南側一帯の愛称で、 地図上では萩之茶屋や太子に該当します。かつては「釜ケ崎」と呼ばれるドヤ街で、今でも日雇い労働者の町として有名です。治安に不安があるのはこのエリアです。
江戸時代にはすでに木賃宿の集まるアリアで失業者が多く、長く貧しい人々の拠り所でした。やがて太平洋戦争の大阪大空襲で焼け野原となると、戦争被災者や浮浪者が集まり一帯はスラム化。たくさんのバラック小屋がひしめくように立ち並びました。
戦後の復興が進んでも、路上生活者や日雇い労働者の街という性質が変わることはありませんでした。
しかし、釜ケ崎は治安が悪いというイメージが全国的に定着したのは、1961年~1973年にたびたび暴動が起こり、新聞やテレビで報道されたからでしょう。
これらの暴動はなんと20回以上に及んだため、治安が悪いイメージを払拭すべく、府や市、警察が「あいりん (愛隣) 地区」と呼ぶようになりました。
いわば危険な地域のイメージアップのため付けられた名前ですが、路上生活者や貧困層の人々が多く暮らしていることには変わりません。
ただ、1990年代以降の暴動は3回だけで、その理由も 「西成警察署の署員が暴力団から賄賂を受け取っていた」など“官”への憤りによるものです。
一般市民に向けられたものではなく、いくら治安が悪くても、ふつうに西成を歩いているだけで暴力に出くわすことはまずありません 。
再開発前の新世界のイメージ
再開発前の新世界周辺といえば、ディープでカオスな街というイメージを強くもたれていました。路上生活者も多く独特な雰囲気を醸しており、治安も悪く、女性や子どもは気安く近付けないエリアでした。
季節労働者や地元のサラリーマンなどで以前から賑わっており、エネルギーには満ちていましたが、今のように親子連れや一人旅の若い女性が歩く姿は、かなり珍しいものでした。
現在は変わった?
「あべのハルカス」や「あべのキューズモール」ができ天王寺の再開発が進むと、すぐ隣の天王寺公園が憩いの場としてきれいに整備されました。
この際にホームレス対策がとられたこと、日雇い労働者の数が減少していること、そして街がきれいになったことなどから、新世界を訪れたり宿泊したりする客層はぐんと広がりました。
こうして治安への不安は次第に薄れてきたのです。
新世界のディープさはそのままに、危険度が下がり、より明るいイメージに変わってきたと言えるでしょう。事実、ここ10年以上暴動は起きていませんし、海外からの旅行者が増えて、オープンでインターナショナルな雰囲気になっています。
宿泊施設や訪れる人々の変化とともに、治安もさらに良くなるという期待が高まっています。
新今宮で注意したい場所は?
ただ、再開発が進められ観光客も増えているからと言って、すべての場所が安全なわけではありません。治安に油断は厳禁です。
旅行などで訪れる際は、次の場所や事柄に注意してください。
夜の繁華街
同じ繁華街にも、明るく賑う通りと暗い人気のない通りがあります。薄汚れた裏通りなどは、新今宮でなくても治安が悪く犯罪が起きやすいもの。そのような危険な場所には入っていかないようにしましょう。
新今宮と言うとホームレスに警戒しがちですが、柄の悪い若者もいますし、よそから来て引ったくりなどの犯罪を犯す人もいます。治安の良くない繁華街でお酒を飲んだら、気のゆるみに注意してください。
夜の天王寺動物園周辺
明るいうちは家族連れやカップルで賑わう天王寺動物園の周辺も、夜になると危険度が上がります。特に西側の暗い道や南側の飛田新地など治安に不安のある場所では、無防備に歩き回らないよう注意してください。
最近はSNSで注目を集めるため興味本位でウロウロする人もいますが、人気がない汚れた路地は犯罪率が上がります。絡まれても助けてもらえない治安の悪い場所では、冒険心をこらえましょう。
動物園周辺は明るいうちに楽しんでおくのがおすすめです。
女性の一人歩きは避ける
いくら旅行者が増えても、この辺りで女性が夜道を一人で歩いていると目を引いてしまい、危険度も一気に跳ね上がります。
どんなに旅慣れていても、夜の一人歩きはしないようにしてください。治安の悪さを自ら引き寄せることになります。特に、夜遅い時間のあいりん地区や飛田新地は禁物です。
またこの付近は昼でも十分に注意するようにしましょう。
新今宮で安いホテルに宿泊する際の注意点
新今宮周辺は、大阪で最も安く宿泊できるエリアです。なんと一泊1000円(中にはそれ以下のところも!)で個室に泊まれるホテルも存在します。
と言うと古くて汚ない建物をイメージされるかもしれませんが、増加するバックパッカーのニーズに答えるため、労働者向け簡易宿泊所をゲストハウスやホテルとしてリニューアルするなど、こぎれいな宿も増えています。
女性専用フロアを備えるホテルなど、女性一人でもステイできる宿泊施設がたくさんあり、一人旅好きの方に好評です。
しかし、新今宮周辺の安ホテルに泊まる際には、治安に関して注意すべき点がいくつかあります。次のことを念頭においておきましょう。
外国人が多い
大阪には世界各国から旅行者が集まりますが、特に新今宮はバックパッカーの多い地です。当然、安いゲストハウスやホテルは大人気。自分以外の宿泊客はみんな外国人、というシチュエーションも大いにありえます。
安いホテルは壁も薄いため、騒がしいグループ客に備え耳栓を持っていくのがおすすめです。
海外の方とふれあうのは楽しいものですが、貴重品の管理には十分気をつけましょう。ホテル内だからと言って、治安に油断してはいけません。女性の方は、ナンパをきっかけとしたトラブルにもご注意ください。
施錠がしっかりできないホテルも
古くて安い宿泊施設の中には、なんと鍵がきちんとかからない部屋もあります。「そもそも鍵が壊れている」「一応かかるけど押したら開いた」という話しも聞きますから、セキュリティーが心配な方はおんぼろホテルは避けましょう。
また、中には「フロントで鍵をもらえない」なんていう宿も!治安の良くないエリアでこれは怖いです。口コミをあらかじめチェックしてホテルを選びましょう。
新今宮駅周辺の観光スポット
新今宮駅の周りには、実に魅力的な観光スポットがたくさんあります! 中でもエネルギーにあふれ、大阪らしさを満喫できるところをご紹介します。
治安の良いスポットですので、ぜひ参考にしてください。
1.新世界商店街
新世界界隈の道は、通天閣に向かって放射状に延びています。これはパリのエッフェル塔周辺を模して作られたものですが、パリのような洗練はありません。むしろコテコテの大阪が感じられる商店街になっています!
その中心が「通天閣本通商店会」で、新世界のメインストリート。恵美須町駅から通天閣までの約200mで、ここから通天閣を見上げるのがおすすめです。
動物園前駅から通天閣までを南北に走るアーケード街、「ジャンジャン横丁」も人気です。南陽通商店街の通称で、 幅2.5mという狭さ!店の呼び込みで三味線がジャンジャン響いていたのが由来と言われています。
その名にぴったりの活気があり、ところ狭しと軒を連ねた居酒屋・喫茶店・うどん屋などがいつも賑っています。安くて美味しい店が多く、まさに庶民の味方です。
そして、最近注目を浴びているのが「新世界市場」です。
100年以上の歴史がある商店街なのですが、実は長いことシャッター街でした。そこで商店街を活性化するべく、週末には「Wマーケット」を開催して盛り上げています。
このように新世界の商店街はどの通りもユニークで面白いので、ぜひ散策してみてください。
また新世界と言えば串カツやホルモンなど、ご当地グルメのお店もたくさん。食べ歩きも思い切り満喫しましょう。
住所 | 大阪府大阪市浪速区恵美須東2丁目1 |
アクセス | 大阪メトロ・動物園前駅より徒歩5分 |
2.通天閣
新世界の象徴・通天閣には「これでもか!」というほど“大阪らしさ”が詰め込まれています。外から見るだけではもったいないので、中に入って上まで昇ってみましょう。
B1には関西ゆかりの食品メーカーのアンテナショップが3店入っており、カラフルでポップ!2Fの「 ヂャンヂャン町 」と合わせてショッピングが楽しめます。3Fには「カフェ・ド・ルナパーク」があり、“通天閣パフェ”なるスイーツも!
3Fの屋上に続く階段を上がると一変、和風モダンな「通天閣庭苑」がありのんびりと憩えます。
光り物が大好きな大阪らしく、4Fには「光の展望台」があり、夜にはド派手な照明とミラーボールで楽しませてくれます。さらに5Fには「黄金の展望台」が続き、金ピカのビリケンさんが鎮座します。
最も高い位置、地上94.5mには 特別屋外展望台「天望パラダイス」があり、この高さで外に出ることも可能です。スリルと景色を同時に味わいたい方はぜひトライしてください。
住所 | 大阪市浪速区恵美須東1丁目18-6 |
アクセス | 大阪メトロ・恵美須町駅から徒歩4分 JR環状線・新今宮駅から徒歩7分 |
3.スパワールド
「スパワールド」は、JR新今宮駅からすぐの一大温泉施設です。
広い館内には天然温泉のほか、ヨーロッパやアジアのお風呂・岩盤浴・プールにジムまでそろっています。レストランや宴会場もあり、大人から子どもまで季節問わず一日中楽しめる、まさに「世界の大温泉」です。
大人1300円、小学生以下1000円で温泉もプールも満喫できるコストパフォーマンスはお見事。なんとタオルやアメニティ代まで含まれます。
さらに温泉や岩盤浴は翌朝まで営業していますから、オールナイトで遊ぶことができるんです。リラクゼーション施設も充実していますから、遊び疲れても大丈夫。イベントも豊富なので、ぜひチェックしてみてください。
スパワールドは、夜遅くでも治安を気にせず遊べる貴重なスポットです。
住所 | 大阪市浪速区恵美須東3丁目4-24 |
アクセス | JR環状線・新今宮駅東よりすぐ |
新今宮は油断さえしなければディープ大阪を堪能できる街
このように、新今宮はディープ大阪をとことん堪能できる街です。雑多でカオスなところこそが、この街の魅力です。
そして、このような場所だからこそ、良い旅行にするために油断だけは禁物です。治安が改善されたからといって、自ら危険に飛び込んでいくようなことをしては意味がありません。
治安には十分すぎるほど安全に注意したうえで、新今宮の底知れぬ魅力とパワー、そしてグルメを味わいつくしましょう。