金沢弁(石川弁)はかわいい!石川県の方言について紹介
石川県の方言には、能登弁や金沢弁など様々な種類があります。全体的には関西弁の影響を受けていますが、都会的な金沢弁は訛り方がかわいいともっぱらの評判です。石川県で使われている方言の特徴や、主な例文・意味一覧をまとめてみました。
目次
石川の方言「金沢弁(石川弁)」について紹介!
石川県は、本州のほぼ中央付近にあるエリアです。北陸地方の日本海側に位置し、北東方向に大きく突き出た能登半島では水産業が盛んです。
県庁所在地である金沢市は北陸経済の中心地でもあり、北陸新幹線開業に伴い金沢駅周辺の再開発が進みました。石川県といえば兼六園や輪島塗などの伝統的な文化が有名ですが、近年の石川県は近代的な施設が立ち並ぶ商業・観光スポットとなっています。
石川県の気候は年間を通して日照時間が短く、冬になると雪と雷が同時に発生する「ブリ起こし」現象が観測されます。
寒さの厳しい豪雪地帯の中で生活しているため、石川県内の人々は独特のなまりを持った金沢弁・石川弁で会話しています。発音を聞き取りづらく、よそから来た人には相手が方言で何と言っているのか分かりにくいケースが少なくありません。
そこで今回は、石川県で用いられている方言(石川弁・金沢弁)の特徴や主な方言の意味・例文一覧をまとめてみました。石川弁・金沢弁に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
石川弁の種類
石川県内で使われている方言は、北部で主流の「能登弁(能登方言)」と南部で主流の「加賀弁(加賀方言)」に大別されます。金沢弁は加賀弁に含まれるため、必ずしも石川弁=金沢弁という図式が成り立つわけではありません。
石川弁は北陸方言の一種であり、隣接している富山県や福井県の方言と表現が似ています。ただし地域差が大きく、同じ石川県内でも他のエリアとは大きく異なる方言が使われている所もあります。
ここでは、地域ごとの石川弁の主な特徴を見ていきましょう。
能登弁
能登弁は、石川県北部で用いられている方言です。ズーズー弁と呼ばれる東北地方の方言のイントネーションと似ていて、寒い環境で会話するためにあまり大きく口を開けずに発声する特徴があります。
母音のイとエが融合しており、文法では「~さかい」と関西の方言の影響が見られます。標準語で「あ↑め↓」と発音する名詞を「あ↓め↑」と呼ぶなど、アクセントも関東と関西の両方の特徴が混在しています。
加賀弁
加賀弁は、石川県南部で用いられている方言です。京阪式と東京式の中間にあたるアクセントに特徴があり、「目→めー」など文中の最初の名詞を伸ばして発音する傾向が目立ちます。
加賀方言は非常に地域差が大きく、主に「小松弁」・「金沢弁」・「大聖寺弁」・「白峰弁」の4種類に大別されます。
小松弁
小松弁は、石川県小松市を中心としたエリアで使われている中加賀方言です。
全体的に早口で語尾をだらしなく伸ばして発声するため、よその地域の人達から「怖い」と思われがちです。
金沢弁
金沢弁は、石川県金沢市を中心としたエリアで使われている北加賀方言です。
多くの人が集う都市部で発展してきた歴史があるため、他の石川弁と比べると表現やイントネーションが柔らかくて人当たりの良い印象を受けます。
大聖寺弁
大聖寺弁は、石川県加賀市を中心としたエリアで使われている南加賀方言です。
「はよ」、「おいで」など京言葉の影響が目立ちますが、近年では金沢弁の影響も受けてあまり差が無くなりつつあります。
白峰弁
白峰弁は、石川県白山市旧白峰村を中心としたエリアで使われている方言です。俗にジゲ弁とも呼ばれ、自分のことを「ぎゃー(儀等(ぎら)のなまり)」と呼んだり語尾に「~ちょる」を付けたりします。
都市部から離れた山奥の地域の方言であり、同じ石川県内の言葉とは思えないほど独特な表現・イントネーションが目立ちます。
金沢弁(石川弁)でよく使う方言と例文一覧
石川県の方言は、関西地方の言葉の影響を受けつつも独自の表現を確立しています。よその地域に住んでいる方が聞くと、思わず首をかしげてしまう方言が少なくありません。
ここからは、主な石川県の方言(石川弁・金沢弁)の意味・例文一覧を紹介していきます。
「あんやとね」
「あんやとね」は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)で「ありがとうね」という意味です。「あんやとー」と伸ばして使う表現もあります。
家族や友達など親しい相手に対して用いるフレンドリーな方言であり、石川県出身の方から「あんやとね」と言われるとこちらもホッとします。
ちなみに、目上の方に対してお礼を言う場合は、「あんやと存じみす」です。
石川弁・金沢弁での例文 | 昨日は助けてもろて、あんやとね。 |
標準語での意味 | 昨日は助けてくれてありがとうね。 |
「おんぼらーと」
「おんぼらーと」は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)で「のんびり、ゆっくり」という意味です。忙しそうな相手に休息を提案する時などによく使われます。
類義語に「いんぎらーと」があり、どちらも標準語における意味は同じです。しかし、おんぼらーとは精神的な安らぎを意味するのに対し、いんぎらーとは空間的な余裕を意味します。
石川弁・金沢弁での例文 | 明日はおんぼらーとしとったら? |
標準語での意味 | 明日はのんびりしてたら? |
「きんかんなまなま」
「きんかんなまなま」は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)で道路が凍ってつるつるになっている状態を表す言葉です。寒い冬場によく使われます。
ちなみに、きんかんなまなまのきんかんは果物の金柑のことです。新鮮な金柑は皮に光沢が出るほどつるつるしているため、その様子を路面凍結の例えとして使っています。
石川弁・金沢弁での例文 | きんかんなまなまになっとるさけ気ーつけてな。 |
標準語での意味 | 路面が凍結しているから気を付けて。 |
「こっ」
「こっ」は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)で「来い」という意味です。来いの「い」が促音化して「来っ!」と発音します。
「ここに来い!」を石川県の方言に変換すると、「こここっ!」となり、まるで鶏の物真似をしているように聞こえてしまいます。決してふざけているわけではないので、真面目な話をしている時に笑わないように注意してください。
石川弁・金沢弁での例文 | すんつけにこっ! |
標準語での意味 | すぐに来い! |
金沢弁(石川弁)の独特でかわいい語尾と例文一覧
石川県の方言にはユニークな発音の言葉が多く、聞いていて思わず笑ってしまうような安心感があります。
ここからは、なまり方がかわいい石川県の方言(石川弁・金沢弁)の意味・例文一覧を紹介していきます。
「〜がや」
「がや」は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)で「~だ」という意味です。地域によっては、「がん」、「がんや」、「げん」などの表現もあります。
語尾に付けて「~だよ!」と平叙文で使うのが一般的ですが、疑問文として使うことも可能です。
金沢弁を代表する有名な方言であり、よその地域に住んでいる方でもつい真似したくなります。
石川弁・金沢弁での例文 | 何しとるがや? |
標準語での意味 | 何してるんだ? |
「~しまっし」
「しまっし」は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)で「~しなさい」という意味です。尊敬の助動詞「まさる」の命令形「まされ」が訛ったもので、柔らかな口調での命令・提案の気持ちを表します。
語尾に「ね」や「ま」を付けて「~しまっしま」と言うと、より強い口調になります。「セーターはしましまにしまっしま(縞々にしなさいよ)」という金沢弁は、ダジャレに聞こえるほどユニークです。
石川弁・金沢弁での例文 | はよ起きまっし! |
標準語での意味 | 早く起きなさい! |
金沢弁(石川弁)で誤解しやすい方言と例文一覧
石川県の方言の中には、標準語と同じ発音でも意味が全く異なるものがあります。標準語と勘違いして聞いていると、後で思わぬトラブルに発展する恐れがあり注意が必要です。
ここからは、石川県の誤解しやすい方言(石川弁・金沢弁)の意味・例文一覧を紹介していきます。
「なんも」
「なんも」は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)で「いいえ」という意味です。「なん」、「なーん」と発音する場合もあります。
相手の質問への否定の返答であり、肯定する場合は「おいね」と言います。また、「なんもなんも」と2回続けて謙遜の気持ちを表す使い方も可能です。
標準語の「何も」と誤解しやすく、方言の意味を知らないと「なんも」とだけ言われた時に会話が止まってしまう可能性があります。
石川弁・金沢弁での例文 | なんもなんも。 |
標準語での意味 | いえいえ、どういたしまして。 |
「がんこ」
「がんこ」は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)で「すごく、とても」という意味です。後ろに続く言葉を修飾して、度合いが大きいことを表現します。
標準語の「頑固」と同じ発音なので、「意地っ張り」や「融通が利かない」といったネガティブな意味を連想してしまいます。しかし、石川弁・金沢弁の「がんこ」は副詞であり、良い意味にも使えます。
石川弁・金沢弁での例文 | 昨日のテレビ、がんこ面白かった! |
標準語での意味 | 昨日のテレビ、すごく面白かった! |
「きのどくな」
「きのどくな」は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)で「ありがとう」という意味です。「あんやと」よりさらに深い感謝の気持ちを伝えたい時に使います。
プレゼントをした時に「気の毒な!」と言われると、「何か悪いことをしてしまったのだろうか?」と不安になってしまいます。しかし、相手に申し訳ないと感じるほど嬉しい気持ちを表しているだけなので、ご心配には及びません。
石川弁・金沢弁での例文 | ありゃ~、きのどくな! |
標準語での意味 | あら~、ありがとう! |
金沢弁(石川弁)に変換するとかわいい告白のフレーズ2選
普段から石川弁・金沢弁で会話する間柄の場合、愛の告白時に方言を使うと効果的です。標準語より気持ちを込めやすく、自分の感情をストレートに伝えられるメリットがあります。
ここでは、告白シーンで使える石川県の方言の例文を紹介していきます。
1.「私と付き合ってくれませんか?」
意中の相手と恋仲になりたい時は、回りくどい表現を使うよりも素直に交際を申し込むのがベストです。
「私と付き合ってくれませんか?」を石川県の方言に変換すると、「うちと付きおーてくれんけ?」になります。
女性から男性に告白する時に一人称を「うち」にすると、「私」よりも意地らしい感じが出て胸がキュンとします。男性から女性に告白する場合は、一人称を「わし」または「俺」に変換してください。
2.「あなたが好きなんです」
想いを寄せている相手と一緒にいたい時は、「好き」という気持ちをストレートに伝えることが大切です。
「あなたが好きなんです」を石川県の方言に変換すると、「あんたを好いとう」になります。
「すいとう」に「がんこ」を付けて「がんこ好いとう」にすると、「ものすごく好き」という意味になります。標準語の頑固とは意味が違いますが、自分の固い決意を伝える場面にピッタリの方言と言えるでしょう。
石川県出身者と金沢弁(石川弁)で方言トークを楽しもう
今回は、石川県の方言(石川弁・金沢弁)の特徴や主な例文の意味・使い方一覧をご紹介いたしました。
石川弁は関西弁に似ているため、強い口調でまくしたてられると威圧感がありますが、よく聞くと語尾がユニークで愛着が湧いてきます。会話時に「~がや」、「~け」を文末に付ければ、標準語より気さくに話が出来ることでしょう。
身近に石川県出身者がいる方、今後石川県への旅行や移住を予定している方は、ぜひ本記事を参考にして石川弁・金沢弁を研究してみてください。