千畳カールへ行こう!ロープウェイまでのアクセスや登山情報を紹介
中央アルプスの中に、天空のお花畑があるのを知っていますか。長野県の駒ヶ岳ロープウェイを登ったところに広がる千畳カールは、雄大なアルプスの山々と眼前に広がる大空間の絶景に息をのむでしょう。この素敵な千畳カールへのアクセス方法や登山情報を紹介しましょう。
目次
中央アルプスの絶景!千畳カールで自然を感じる
日本アルプスのうちの一つの中央アルプスにある、千畳カール(千畳敷カールともいいます)は絶景を簡単に楽しめるお得なスポットです。日本を代表する高山に広がるアルペン風景を是非とも体験してみましょう。
千畳カールとは?
中央アルプスの花形の山といえば、木曽駒ヶ岳で標高は2956mと3000m近い日本を代表する山です。この木曽駒ヶ岳へと続く山並みの入口近くにあるのが中央アルプス千畳カールなのです。
木曽駒ヶ岳へと続く道は本格的な山岳コースですが、その入口に広大なカールがあるのは登山者たちばかりではなく観光客たちも喜ばせてくれます。中央アルプスの千畳カールについて詳しく紹介しましょう。
中央アルプスの氷河地形
千畳カールは長野県駒ヶ根市と宮田村にかけて広がっている中央アルプス(木曽山脈)の中の宝剣岳のすぐ下に広がる氷河地形のことを指します。氷河地形とはそこにもともとあった氷河が侵食・堆積作用を行なった結果形成されました。
千畳カールは氷河地形の中でも圏谷という分類になります。圏谷は山地の屋根近くの谷頭に形成された安楽椅子状に凹んだ谷地形のことで圏谷氷河の浸食で作られました。谷底は氷河によって滑らかに削られて盆地状となっています。
千畳カールが千畳圏谷ではなく、千畳カールと呼ばれているのは、圏谷のことをドイツ語でカール(Kar)と呼ぶからです。日本では圏谷よりもカールというのが一般的になっています。
美しい景色を楽しめる人気観光地
駒ヶ岳ロープウェイで終点の千畳敷駅へ着くと、そこはホテル千畳敷と連結しています。そしてそこから見える風景は本格的なアルペンの風景で美しさと迫力に驚くはずです。また広々とした千畳カールにはお花畑があります。
遊歩道を歩きながら剣ヶ池とその周りに広がるお花畑を楽しめるのです。千畳カールのある地点の標高は2612mもあり、ここの植生は高山植物となります。低山では見られないような珍しくかわいい植物を見ることができるのです。
遊歩道は千畳カール下部のお花畑の周りを約40分で一周できるようになっています。なお、八丁坂分岐点から先は登山道になっているので、登山の準備をして登ることにします。
トレッキングで楽しむ千畳カール
千畳カールを出発点として、木曽駒ヶ岳まで本格的なアルペンルートをトレッキングできます。このコースは日本アルプスの中では比較的簡単なルートで、初心者でも日帰りトレッキングが楽しめます。
千畳カールのお花畑を遊歩道から見て楽しむのもよいですが、足に自信があれば是非中央アルプスの最高峰の木曽駒ヶ岳を目指してみましょう。
初心者でも安心!山頂2956mまで約4時間で往復
ホテル千畳敷を出て中央アルプスの最高峰の木曽駒ヶ岳(標高2956m)まで、往復4時間の行程で行って帰って来られます。八丁坂分岐点から登山路に入ってしばらくの間は八丁坂の急勾配を登ります。50分ほど我慢して登ると乗越浄土へ着くのです。
八丁坂を登っている最中に振り返るとホテル千畳敷が箱船のように見えます。乗越浄土は標高2850mでここから木曽駒ヶ岳までの約1kmは、高低差が100mほどしかないのでそれほどきつくありません。
約20分で標高2925mの中岳へ着き、次いで約40分で木曽駒ヶ岳の頂上へ到達します。帰りは下りルートなので木曽駒ヶ岳山頂から中岳は約35分、中岳から乗越浄土は約15分、乗越浄土からホテル千畳敷まで約30分で戻って来られます。
四季折々の花々を楽しめる
千畳カールのお花畑は高山植物の宝庫で、四季折々の美しい花々が咲き乱れています。とはいえ高山帯なのでやはりキレイな花は初夏ら秋口が見どころになります。最も多くの花が咲き乱れるのは7月から8月にかけてです。
ホテル千畳敷から千畳カールを一周する遊歩道を巡って帰って来るルートで、順番にAエリアからEエリアまで分けると、各々次のような高山植物を楽しめます。
Aエリア | ウメバチソウ、クロトウヒレン サクライウズ、トウヤクリンドウ ミヤマリンドウ、ヤマハハコ |
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Bエリア | イワツメクサ、ウメバチソウ クロトウヒレン、サクライウズ ミヤマリンドウ、オヤマリンドウ ミヤマアキノキリンソウ |
Cエリア | ウメバチソウ、クロトウヒレン サクライウズ、ミヤマゼンコ ムカゴトラノオ、タカネコウゾリナ オヤマリンドウ |
Dエリア | イワツメクサ、ウメバチソウ ヤマハハコ、キソアザミ ネバリノギラン、オヤマリンドウ |
Eエリア | ウメバチソウ、ヤマハハコ シラタマノキ |
東京•大阪•名古屋からも日帰りできる
千畳カールは東京・大阪・名古屋からでも日帰りが可能です。ちなみに高速バスを利用すれば乗換えなしで中央道の駒ヶ根ICに到着できるのでとても便利です。東京からならばバスタ新宿から乗車すれば約3時間30分で駒ヶ根ICに到着します。
また名古屋からならば名鉄バスセンターから乗車して約2時間30分で駒ヶ根ICに到着です。
カフェやトイレ設備も完備
駒ヶ岳ロープウェイの終点にあるホテル千畳敷にはレストランがあります。レストランの窓からは雄大な千畳カールの景色を見ながら食事が楽しめるのです。ここは標高2612mにある絶景レストランなのです。
駒ヶ根名物のソースカツ丼や、季節の食材を使ったおしゃれなメニューが揃っています。またリニューアルオープンした2612カフェでは、中央アルプスの雪解け水を使って淹れるこだわりの「2612プレミアムコーヒー」が味わえます。
豆と淹れ方にこだわったプレミアムコーヒーに、地元信州産の食材をたっぷり使用したメニューを合わせて味わいましょう。
ちなみにおすすめのメニューは、「信州産スモークウインナーのホットドッグ」、「信州サーモンのクロワッサン」、「駒ヶ根高原産ハムとたまごのクロワッサン」、「信州産果汁100%の各種ジュース」です。
ところで、ホテル千畳敷のトイレは清潔な水洗式ですので安心して使用できます。なお、トレッキングルートにある4箇所の山小屋にも有料トイレが常設してあります。ただしこちらは山のトイレなので水洗ではありません。
千畳カールまではロープウェイが便利!
千畳カールの大きな魅力となっているのが、駒ヶ岳ロープウェイの存在です。このロープウェイがあるおかげで、千畳カールまで一気に到着できるのです。もしも登山道を登るとしたらそれだけで丸一日かかってしまうでしょう。
駒ヶ岳ロープウェイを利用しよう
駒ヶ岳ロープウェイは長野県伊那郡宮田村と駒ヶ根市にまたがる索道です。またこのロープウェイは中央アルプス観光株式会社が経営しています。木曽山脈(中央アルプス)宝剣岳近くの千畳カールへ向かっており、木曽駒ヶ岳のアクセスを担います。
この駒ヶ岳ロープウェイを使用することによって、ロープウェイができる前までは半ば秘境に近かった木曽駒ヶ岳へのアクセスが格段に良くなったのです。
駒ヶ岳ロープウェイを運営する中央アルプス観光は名鉄グループの一員であり、駒ヶ根市、飯田市、伊那市、宮田村なども共同出資している第三セクターとなっています。
日本一の高低差!7分30秒で2612m
菅の台バスセンターの標高は850mで、ここから駒ヶ岳ロープウェイの出発点のある標高1662mのしらび平駅へ行きます。ロープウェイの終点の標高は2612mなのでこの高低差は950mで、これは日本一となっています。
この大きな高低差をロープウェイはなんと7分30秒で駆け上ってしまいます。ロープウェイの全長は2334mで、定員は61人で、終点の千畳敷駅の高度は標高2611.5mであり、索道を含めた鉄道の駅では日本最高地点です。
なお、標高2612mまで一気に上がると、まれに高山病に似た症状を呈する人が出て来ますので、もしも具合が悪くなったら千畳敷ホテルでゆっくり休むようにしましょう。
千畳カールの登山ポイント
初心者でも比較的簡単に名峰木曽駒ヶ岳までトレッキングできてしまうのは、まさに駒ヶ岳ロープウェイのおかげです。しかしながら標高3000mに迫る中央アルプス登山ということから、守るべきポイントがいくつかあります。
動きやすい服装で行く
千畳カールのお花畑に別れを告げて、八丁坂分岐点から八丁坂方面へ向かって良いのは登山の準備をしている人だけです。標高2612mという高さは日常では経験できない高度であり、これはまた天空の冒険への入口なのです。
登山道でありしかも日本有数の高山である中央アルプスの主峰を狙うのですから、服装は登山ができるようなかっこうでなければなりません。一番気を付けなければならないのは、靴です。くるぶしまでしっかりカバーする専用靴が必要です。
夏山ならば簡易登山靴で十分ですが、頑丈で靴底が滑りにくいもので、自分の足にフィットしているものを用意してください。
夏でも基本は長袖長ズボン
夏場の太陽が照っている時は暑さを感じるかも知れませんが、3000mに迫る高山へ向かうのですから、長袖と長ズボンの服装が必要です。さらに登山の服装は重ね着が基本です。暑くなってきたらすぐに脱いで温度調節ができるようにしましょう。
またコットン素材のものは避けます、なぜかというとコットン素材は汗を吸ったらなかなか乾きにくいからです。いつまでも濡れたままだと体温が奪われて体力を消耗したり低体温になり危険です。
濡れてもすぐ乾いて温かい、ポリエステルのような化学繊維やウール素材がおすすめとなります。
雨具もあると便利
山の天気は変わりやすいので雨具は必需品です。上下セパレートになっており、ゴアテックスなどの透湿かつ防水効果のある素材でできている雨具が便利です。ポンチョタイプ野雨具もありますが、風が吹いてくると雨が吹き込むので注意が必要となります。
なお、ゴアテックス素材の雨具を持参すれば、防寒具としても使えるので急に気温が下がった場合にも重宝します。
食糧や水分も持参
千畳カールから木曽駒ヶ岳までのトレッキングは往復4時間の行程ですが、忘れてはならないのが水筒です。八丁坂の急な登りを50分も歩けばかなり汗をかきます。失われた水分はこまめに補給しましょう。
なお、夏場はペットボトルに水を入れて持っていくので十分です。さらに、チョコレートや軽食を持参するようにしましょう。お腹が空いたら動けなくなってしまうことがあります。また食料を食べれば体温が低下するのも防げるのです。
ゴミは持ち帰り!ゴミ袋は必須
トレッキングルートには4箇所の山小屋がありますが、ゴミは引き取ってくれません。山では個人が自分の出したゴミを持ち帰るのがマナーです。小分けにしてゴミを持ち帰れるゴミ袋を必ず持参しましょう。
もしも水分が出るようなゴミがあるのならば、新聞紙にくるんでからビニル袋に入れるようにすれば漏れ出してきません。
千畳カールへのアクセス方法
それでは千畳カールへのアクセス方法についてまとめて紹介しましょう。
駒ヶ根駅からバスとロープウェイを利用して約50分
千畳カールへ電車とバスで行く場合には、まずJR飯田線の「駒ヶ根駅」で下車します。ここからバスに乗ると約7分で中央道の駒ヶ根ICに行き、さらにそこから約3分で菅の台バスセンターに到着するのです。
ここから先はマイカー規制になっていて、車で来ている人もバスに乗換えます。そして約30分で駒ヶ岳ロープウェイの麓の駅である「しらび平」に着くのです。ここで駒ヶ岳ロープウェイに乗車すれば7分30秒後には千畳カールに到着できます。
駒ヶ根駅からは約50分で千畳カールのお花畑が見られます。なお、車で行く場合は中央道の駒ヶ根ICから約3分の菅の台バスセンターに行き、バスに乗換えるのです。
住所 | 長野県駒ヶ根市赤穂1 |
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電話番号 | 0265-83-3107 駒ヶ岳ロープウェイ |
営業時間・定休日 | 夏場: 6:00~17:00 秋冬: 9:00~16:00 30分間隔で運行 |
駐車場の有無 | 菅の台バスセンター に有 300台収容 24時間営業機械式 有料 |
アクセス | 中央道駒ヶ根IC から3分 |
公式URL | 中央アルプス駒ヶ根ロープウェイ |
千畳カールで大自然を満喫しよう!
標高2612mにある千畳カールのお花畑が、駒ヶ岳ロープウェイを使えば簡単に見ることができます。標高差950mという日本一の行程をわずか7分30秒で駆け上がって行き、ホテル千畳敷に繋がる山頂の駅で降りればそこは別世界です。
千畳カールは自然が造った雄大なモニュメントとなります。もしも体力に自信があるのならば、登山ルートから木曽駒ヶ岳へトレッキングするのもおすすめです。今まで見たことのないような絶景を楽しめるでしょう。
千畳カールまではロープウェイで誰でも行けますので、高山のお花畑を見ながらカフェでゆっくりして天空の絶景を満喫しましょう。