紹興酒の度数はどれくらい高い?種類ごとの度数・美味しい飲み方を紹介
中華人民共和国の一部の地域でのみ作られる特別なお酒、紹興酒。度数が高いイメージがありますが、紹興酒は作り方や原料の割合によっていろいろな種類があり、それぞれ度数も違います。紹興酒の種類別の度数や、おすすめの飲み方をご紹介します。
目次
紹興酒のアルコール度数が知りたい!
中華料理につきものの紹興酒。飲んだことはなくても、ショットグラスに注がれた琥珀色のお酒を目にしたことがある人は多いでしょう。独特の華やかな香りと熟成によって生まれた芳醇なコクが持ち味の紹興酒。見るからにアルコール度数が高そうで、敬遠している人もいるかもしれません。
そもそも紹興酒とは、何なのでしょうか。中国のお酒=紹興酒と思っている人もいるかもしれませんが、中国のお酒が全て紹興酒というわけではありません。
身近にありながら意外と知らない紹興酒。紹興酒のアルコール度数はどのくらい?紹興酒にはどんな種類がある?種類による味の違いは?おすすめの飲み方は?などなど。これを読めば、紹興酒を敬遠していた人も、きっと紹興酒を飲んでみたくなるはずです。
紹興酒は中国の伝統的なお酒
中国のお酒といえば紹興酒を思い浮かべる人が多いでしょうか、実は紹興酒は、中国の中でもごく一部の地域でのみ作られるお酒です。スパークリングワインのうち、フランスのシャンパーニュ地方でのみ作られるお酒がシャンパンと呼ばれるのと同じです。
中国の一般的なお酒といえば黄酒(ホアンチュウ)です。黄酒は、日本酒と同じように、米などの原料を酵母によりアルコール発酵させて作られる醸造酒です。黄酒を長期熟成させたものを老酒(ラオチュウ)といいますが、その老酒の中でも、浙江省紹興市付近で作られるお酒が、紹興酒です
紹興酒は、飲用としてだけではなく調味料としても使われ、日本で手に入る中華料理のレシピにも頻繁に登場します。日本のスーパーでも、調理用の紹興酒の小瓶を見かけることがあります。日本酒で代用する人も多いですが、日本酒と紹興酒を飲み比べてみれば、その差は歴然です。
種類によって度数が異なる!
日本酒にも、純米酒、純米吟醸酒、吟醸酒、特別吟醸酒などと、製法や原料によっていろいろ種類があるように、紹興酒にもいくつかの種類があります。
細かく分けると途方もない数になりますが、紹興酒は、基本的には、原材料の割合や製造工程に違いにより、元紅酒・加飯酒・善醸酒・香雪酒の4つの種類に分類され、当然それぞれの種類によてアルコール度数には違いがあります。
紹興酒のアルコール度数は、濃厚な見かけによらず一般的には14度~18度くらいであまり高くありません。しかし、製法の違いによってアルコール度数が20%くらいの、高めのものもあり、この点も日本酒に似ています。
紹興酒の効果は?
紹興酒は、いろいろな種類のたんぱく質やビタミン、炭水化物を含み、リン、マグネシウム、マンガンなどのミネラルのほか、必須アミノ酸も豊富に含んでいます。紹興酒は、ビールやワイン、日本酒に比べ2倍~36倍も多くの必須アミノ酸を含んでいます。
アルコール類の効果として、食欲増進はよく知られていますが、紹興酒はさらに、疲労回復や消化を助ける効果もあります。 紹興酒は、身体を温める効果も期待できるお酒なので、血行促進、冷え性の改善にも役立ちます。とくに燗をつけた紹興酒は、手足の冷えに悩む人にはおすすめです。
このように、多くの健康効果が期待できる紹興酒は、カロリーは100gで127kcalと、ほかのアルコール類に比べると低めです。ダイエットが気になる人にもおすすめのお酒です。しかし、プリン体は多めなので、やはり飲みすぎには注意しましょう。
【紹興酒の度数・美味しい飲み方①】加飯酒
ご紹介が前後しますが、加飯酒は、次にご紹介する元紅酒に、もち米と麹の割合を10%以上増やして製造されたもので、加えるもち米と麹の割合によって単加飯、双加飯、特加飯に分かれます。
加飯酒は黄色~深い黄金色で、日本で飲まれている紹興酒のほとんどが、この加飯酒です。加飯酒は、3年以上の貯蔵熟成を経て出荷されます。
加飯酒の度数
加飯酒のアルコール度数は、16%~17%。元紅酒よりは若干高めです。ほのかに甘く、糖分も1%と、糖分0.2%~0.5%の元紅酒よりやや高めです。とは言っても、後にご紹介する香雪酒や善醸酒ほど甘味が立っているわけではありません。紹興酒は甘ったるくてちょっと、と思っている人は、意外ときりっとした加飯酒の味に驚くかもしれません。
加飯酒の美味しい飲み方
紹興酒は、そのまま飲むのはもちろん、温めたり冷やしたり、水やソーダで割ったりと、さまざまな飲み方が楽しめるお酒です。日本でもっともよく飲まれている加飯酒は、元紅酒に次いで甘味が優しく、日本酒に近い味わい方、飲み方ができるお酒です。
おすすめの飲み方は常温かぬる燗です。和食との相性も良く、良く冷やした冷菜や、火を通さない刺身や冷奴などの料理と合わせるのがおすすめです。
紹興酒になれていない人、アルコールに強くない人、紹興酒の独特の香りが苦手な人は、ソーダ割りもおすすめの飲み方です。紹興酒の甘い華やかな香りは、炭酸の刺激によく合います。
【紹興酒の度数・美味しい飲み方②】元紅酒
元紅酒は、基本的な製法で作られる紹興酒で、酒母(淋飯酒)に水と、蒸したもち米、麦麹を加えて発酵させます。紹興酒の中では比較的安価で手に入りやすく、中国ではもっともよく飲まれている紹興酒です。糖類がいちばん少なく、きりっとしてキレのいい辛口です。
かつては、朱紅色のカメで貯蔵熟成させていたことから、元紅酒と名付けられました。1~2年間熟成させて出荷されます。
元紅酒の度数
製造直後の元紅酒のアルコール度数は、16%~17%ですが、ろ過してアルコール度数15%~16%の製品にして、1~3年間熟成させたのち出荷されます。
元紅酒の美味しい飲み方
中国ではごくごくポピュラーな元紅酒は、家庭で日常的に飲まれています。常温でストレートが基本ですが、ロックでも水割りでも燗でも、どんな飲み方でも美味しくいただけます。とくにおすすめは微温の燗です。
ほんの少し温めるだけで、香りに奥行きが生まれ、口に含んだときのまろやかさは別の飲み物のようです。
食中酒として中国人に愛飲されているお酒なので、家庭的な中華料理全般に合いますが、とくに鶏肉や鴨肉との相性が良く、高級料理として知られる北京ダックとの相性もバッチリです。日本でなら、焼き鳥や唐揚げに合わせるのがおすすめです。
【紹興酒の度数・美味しい飲み方③】香雪酒
香雪酒は、元紅酒を仕込むときに麹を追加して糖類を増し、さらに水の一部を紹興酒の粕から取った焼酎に替えて作られた紹興酒です。強めの甘みが特徴で、リキュールのような個性的な紹興酒です。
香雪酒の度数
香雪酒は、強い甘みが特徴。時間とともに刺激的で独特な風味を醸す特別なお酒です。アルコール度数は高めで、およそ20%。糖分も20%~24%と高めです。
香雪酒の美味しい飲み方
濃厚な甘さと刺激的な酸味や苦みが折り重なった複雑な味。リキュールのように芳醇な香雪酒は、食事中にがぶがぶ飲むような飲み方はおすすめできません。
甘みが強いため、ロック、またはストレートで、食前酒にすると食欲が刺激されるのでおすすめです。食後にゆっくりとくつろぎながらショットグラスでいただくのも、おすすめの飲み方です。
個性が強いお酒のため、紹興酒の芳醇な香りや味が苦手な人にはちょっとハードルが高いかもしれません。そんなときにはリキュールとして使い、カクテルにするのもおすすめの飲み方です。ホットのジャスミンティーに少し加えるのもおすすめです。
【紹興酒の度数・美味しい飲み方④】善醸酒
善醸酒は、水の代わりに元紅酒を使って作られる贅沢な紹興酒です。要は、紹興酒で紹興酒を仕込むため、アルコール度数が上がり、甘みが増し、濃厚で芳醇な風味が楽しめます。
善醸酒の度数
仕込み水の替わりに1年~3年ものの元紅酒を使った善醸酒は、もっとも高級な紹興酒です。お酒でお酒を仕込む善醸酒の製法は、古くからあるアルコール度数を増す手法の一つで、芳醇で濃厚なお酒を生みます。
直糖分とエキス分が多い善醸酒は、それほどアルコール度数は高くありません。紹興酒の中ではやや低めで、アルコール度数は13度~14度、糖分は8%前後あります。
善醸酒の美味しい飲み方
贅沢な製法で作られた善醸酒は、そのまま飲むのが一番のおすすめです。熟成された米の旨味とじっくりと醸された重厚な香りが存分に楽しめます。どっしりと腰の据わった濃厚なお酒は、ストレートで味わってこそ、本領を発揮します。
砂糖をきかせた甘めの味付けの料理と一緒に楽しむと、より一層お酒の味が引き立ちます。黒酢あんかけや広東料理などがおすすめです。
寒い季節にはぬる燗もおすすめです。幾重にも重なった華やかな香りが豊かに立ち上り、心も体もホッコリと温めてくれます。
紹興酒と日本酒など他のお酒との度数の比較!
紹興酒のアルコール度数は、低いもので12度くらいのものから、高いもので20度くらいです。このアルコール度数は、ほかのアルコール類と比べて高いのでしょうか、低いのでしょうか。
まず、紹興酒と同じ醸造酒で比べてみましょう。始めに、日本人には馴染みの深い日本酒から。日本酒と紹興酒とで比べてみると、日本酒のアルコール度数の平均は15度と、紹興酒のアルコール度数とほぼ同等です。
日本酒の中にもアルコール度数が高いのもありますが、日本酒として販売できるのは、アルコール度数が22度のものまでですから、アルコール度数が高い香雪酒と比べても同じくらいです。
ただ、最近はアルコール度数が10度以下の日本酒やスパークリングタイプの日本酒も増えているので、ものによっては、日本酒のほうが紹興酒に比べて、アルコール度数がぐっと低くなります。
次にもっとも一般的なお酒、ビールと比べると、ビールのアルコール度数は5%前後、最近ではアルコール度数が高めのビールも人気ですが、おおむね4度~9度で、紹興酒に比べるとアルコール度数はずいぶん低いです。
同じ醸造酒でも、ブドウを原料としたワインは、産地や製品によってアルコール度数にばらつきがあります。一般的には、ワインのアルコール度数は、11度~14度です。
しかし、飲みやすさを重視した、アルコール度数が6度~7度の低アルコールワインもあれば、デザートワインと呼ばれる「ポートワイン」などの甘口のワインのように、アルコール度数が20度を超えるものもあります。スパークリングワインのアルコール度数はだいたい12度くらいです。
続いて、醗酵した原酒を蒸留して作る蒸留酒と比較してみましょう。焼酎はアルコール度数20度~25度のものが一般的で、泡盛は35度、古酒になると40度を超えるものもざらにあります。
ウィスキーはおおむね40度~43度ですが、60度を超えるものもあり、銘柄によってばらつきが大きいです。ブランデー、ウォッカなども、アルコール度数40度以上が当たり前です。世界一アルコール度数が高いと言われるウォッカの「スピリタス」は、なんとアルコール度数96度です。
法律でアルコール度数が35度~55度と決められているジンは、蒸留酒の中では比較的低めですが、それでも38度~40度のものがほとんどです。
蒸留酒ではありませんが、カクテルに使用されるリキュール類も、アルコール度数は高く、「アブサン」は70度を超えます。当然リキュールを使ったカクテルも、見た目の華麗さ、かわいらしさに惑わされがちですが、アルコール度数は高いです。
こうしてみると、醸造酒の中ではアルコール度数が高めな紹興酒が、かわいく思えてきませんか?もともと醸造酒自体が、アルコールが低い部類のお酒なので、お酒に弱いからと、紹興酒を敬遠することはありません。
紹興酒の度数を知って美味しく飲もう!
紹興酒の特徴は、馥郁とした香りと、まろやかな風味です。ワインや日本酒でもそうですが、紹興酒も、種類やメーカによって味が全然違うので、好みの味を探すのも楽しみの一つです。
ちなみに、日本では紹興酒に氷砂糖やザラメを入れて飲むことがありますが、上質な紹興酒には必要ありません。本物の紹興酒は、そのまま飲んでこそ、本来の美味しさが味わえます。
飲まず嫌いの人も多い紹興酒ですが、美食の国中国で愛されているお酒を試してみない手はありません。アルコール度数もそれほど高くないので、お酒に強くない人でも安心です。いろいろ試しみてください。