ドレスコードの服装とは?フォーマルからカジュアルまで男女別に紹介
パーティや行事のときによく耳にする「ドレスコード」。フォーマル、セミフォーマル、ビジネス、カジュアルなど、会の趣旨だけでなく、時間によってもさまざまな決まりがあります。大人のたしなみとして知らないでは済まされない「ドレスコード」。男女別に詳しく解説します。
目次
ドレスコードとは?
新天皇が即位し、元号が改まった2019年には、国内外の貴賓が列席する式典や饗宴が何度も開かれ、そのたびに招かれた人たちのファションが話題を集めました。一部では、白いミニ丈のドレスが「ドレスコード違反では?」と話題になったりもしました。
このように、パーティやレセプションなど、華やかでゴージャスなシーンを連想してしまいがちな「ドレスコード」という言葉ですが、必ずしも浮世離れした別世界の話ではありません。
最近では街中のカジュアルなレストランでも、ドレスコードを設けていることが珍しくありませんし、ビジネスシーンにおいてもドレスコードは存在します。
ドレスコードとは、服装規定とも呼ばれ、その場に相応しい装いのことです。それは、マナーであり、同席するほかの人々を不快にさせない心配りです。
なので、格式高きパーティに、カジュアルな服装で出席するのもドレスコード違反なら、ラフな集いに、ハイブランドで飾り立ててあらわれるのもドレスコード違反です。言うなれば、ドレスコードとは選択肢のある制服のようなもの。規則を知らなければ正しい選択はできません。
基本の7種類
ドレスコードは、会の格式や目的、ホストの地位、会場、時間帯などによって細かい規定があります。正式なドレスコードを無視した、独自のドレスコードを設けている店や会場もありますが、正式なドレスコードは7種類です。
ドレスごーどの種類がわからないと、とんだ大恥をかくことにもなりかねません。基本的な知識として、ドレスコードの分類を把握しておきましょう。
ドレスコードには、まず、もっとも格調高いフォーマルがあります。宮中晩餐会やデビュタントパーティー、結婚式などがこれにあたります。
次にセミフォーマル。フォーマルより一段フォーマルランクが下がった装いです。結婚披露宴や華やかなパーティーは、セミフォーマルがドレスコードになっていることがほとんどです。
次のインフォーマルは、結婚披露宴などのいわゆる「平服」にあたるファッションです。ガーデンウェディングやレストランウェディングにぴったりのエレガントで上品な、よそいきの服がインフォーマル。「平服」といっても普段着のことではありませんから、そこは間違えないようにしましょう。
スマートエレガンスは、インフォーマルより少し軽めのファッションです。カジュアルウェディングや、仲の良い友人の結婚式の二次会に向く装いです。
カジュアルエレガンスは、スマートエレガンスよりさらにカジュアルな装い。とは言ってもあくまで上品に、くだけすぎないように気をつけましょう。
ビジネスアタイアは、ガラッと変わってシックなビジネススタイル。華やかさではなく、機能性を重視した、ビジネスシーンで浮かないファッションが求められます。
スマートカジュアルは、オフィスでも通用するくらいの上品なカジュアルファッションです。Tシャツにジーンズのような「遊び着」以外なら、比較的自由にファッションを楽しめます。
ドレスコードに相応しい服装①【フォーマル編】
ドレスコードはシチュエーションや時間によって、決まりがあります。それぞれのドレスコードに相応しい服装をするのは、大人のマナーです。それぞれのドレスコードに違反しない、ファッションとは、どのようなものなのか、順にご紹介して行きます。
まずは、フォーマルのドレスコードに相応しい装いをご紹介します。フォーマルが要求されるのは、格式高い正式な式典などですので、しっかりとマナーを守らないと、自分も周りの人も居心地の悪い思いをします。正式なマナーに適った装いを覚えておきましょう。
【女性①】昼 アフタヌーンドレス
女性の昼のフォーマルは、アフタヌーンドレスと呼ばれる、ロングドレスです。現在ではスーツ型のドレスや、ひざ丈のワンピースドレスもアフタヌーンドレスと認められていますが、正式にはくるぶしまでの総丈かそれ以上の、肌の露出の少ないワンピースドレスを指します。
袖丈は7分丈以上で、襟ぐりも浅いのが特徴で、ローブ・モンタンと呼ばれるスタンドカラーのドレスもあります。イブニングドレスにボレロやジャケットを合わせて代用にする場合もありますが、正式ではありません。お手本は、新年一般参賀の際の女性皇族の衣装です。
【女性②】夜 イブニングドレス
女性のドレスコードでもっとも格式高く華やかなのが、夜のフォーマル、夜18時以降の催しで着用されるイブニングドレスです。夜会服とも呼ばれます。
ベアトップやノースリーブ、オフショルダーなど、腕を出すデザインで、昼のフォーマルであるアフタヌーンドレスに比べて肌の露出が多く、胸元や背中も大きくくれて、装飾性の高いものが基本です。
しかし、女性の年齢によっては肌の露出を控えたデザインのイブニングドレスを着用することもあります。
スカート丈はくるぶし以上で、靴のつま先が完全に隠れる長さです。厳粛な式典などでは、裾を長く引くドレスを着用することも多いです。アフタヌーンドレスは、膝丈でも許される場合もありますが、イブニングドレスは、必ず総丈以上が求められます。
生地には、サテン、オーガンジー、タフタ、ジョーゼット、シフォンなど、装飾性の高い素材がよく使用されます。胸元にはネックレスなどの装飾を施し、ほかのアクセサリーもゴージャスなものを使用することが多いです。
【男性①】昼 モーニングコート
男性のフォーマルには、モーニング、タキシード、燕尾服の3種類があります。同じフォーマルといっても、着用にはルールがありますからしっかりと覚えておきましょう。まず、モーニングは、午前中から夕方にかけての格式高い集いに着用される衣装です。
例えば、結婚式では新郎、新郎新婦の父親、主賓はモーニングを着用します。皇室の園遊会に招かれた場合もモーニングを着用します。
モーニングの基本は、黒のジャケット、ベスト、縞の入ったスラックスの組み合わせで、ジャケットとベストは共布です。しかし、グレーのジャケットベストのモーニングや、ベストがアイボリーや白のものもあります。スラックスの裾はシングルで、後ろが長いモーニングカットになっています。
タイは、白黒かシルバーグレー、もしくはアスコットタイが一般的。ポケットチーフは、白で、素材は麻です。シャツの袖はシングルでもダブルでもかまいませんが、ダブルのほうが寄り格調高くなります。カフスは、ゴールドかシルバーの台に真珠などの白い石がついたものを使います。
靴下は黒か黒白の縞模様、靴は黒のストレートチップかフォーマルシューズです。帽子を被る場合は、グレーのシルクハットです。
【男性②】夜 タキシード
男性の夜のフォーマルは、女性のイブニングドレスと対をなす、もっとも格式高い正礼装で、燕尾服です。燕尾服とは、テールコートとも呼ばれ、ジャケットの着丈が短く、背中の裾がツバメの尾のように大きく二つに割れて、長く、白のベストを着用するのが特徴です。
ボタンは一つで、ボタンはかけずに着用します。18時以降の格式の高い結婚式やパーティ、観劇やコンサート、舞踏会には燕尾服を着用します。オーケストラやオペラの指揮者も燕尾服を着用します。「ホワイトタイ」がドレスコードにある場合は、燕尾服の着用が義務づけられます。
タキシードは、元々は略礼装でしたが、現在は燕尾服と並ぶフォーマルとして認められています。ちょっと乱暴な言い方をすれば、燕尾服のジャケットの背中の長い裾をカットしたものがタキシードです。「ブラックタイ」がドレスコードにある場合は、タキシードを着用します。
ドレスコードに相応しい服装②【セミフォーマル編】
フォーマルに次いで格式のあるセミフォーマル。フォーマルほどかしこまらず、気楽なパーティーなどで着用されます。とは言っても、気の置けない友だち同士のカジュアルなパーティーとは一線を画す、正式な集まりに求められる装い。
フォーマル同様、ドレスコード違反を犯すと恥をかきますので、気をつけましょう。昼と夜とでは装いのルールが変わるのも、フォーマルと同じです。
【女性①】昼 セミアフタヌーン
昼から夕方にかけてのきちんとした集まりに用いられるドレスコードがセミアフタヌーン。スカートの丈は膝から膝下で、袖のあるデザインが一般的です。生地は光沢がなく、肌の露出は少ないです。ワンピースドレスが基本ですが、ジャケットやボレロを着用し、肌の露出を抑えることも多いです。
フォーマルでも、セミフォーマルでも、昼間は煌びやかなアクセサリーはつけないことがマナーです。
【女性②】夜 カクテルドレス
18時以降の集まりには、カクテルドレスを着用します。カクテルドレスは、セミアフタヌーンに比べて肌の露出が多く、生地に光沢があるのが特徴で、パーティードレスとも呼ばれます。
ノースリーブで、スカート丈は膝から膝下のデザインが一般的です。華やかさを重視しつつ品格を失わないドレスが好感を持たれます。
【男性①】昼 ブラックスーツ・ディレクターズスーツ
セミフォーマルでは、男性も昼と夜とでは装いが変わります。昼間は、ブラックスーツかディレクターズスーツが求められます。ブラックスーツは、冠婚葬祭で着用される真っ黒なスーツの上下です。ビジネススーツのブラックで代用できそうですが、ビジネススーツのブラックは真っ黒ではありません。
必内では違いが判らないかもしれませんが、日の光の下で比べると、ビジネススーツのブラックとブラックスーツの違いは歴然です。ディレクターズスーツは、黒のジャケットに、黒とグレーのストライプのコールパンツで、どちらもセミフォーマルですが、ディレクターズスーツのほうが格が上です。
ディレクターズスーツは昼間の準礼装で、結婚式では新郎新婦の親族や主賓、上司などが身につけます。一般の招待客はブラックスーツが一般的です。
【男性②】夜 タキシード
セミフォーマルのドレスコードでは、夜はブラックスーツを着用します。タキシードでもかまいませんが、少し格式ばった印象を与えるので、ジャケットとスラックスが真っ黒なブラックスーツにタイを絞める準礼装がおすすめです。
タキシードとブラックスーツの違いは、ジャケットの襟、スラックスのベルト、シャツな種類などです。タキシードの襟はサテンやシルクなどの光沢のある素材が使われ、スラックスにはベルト通しがありません。シャツも、タキシードにはフリルのある装飾的なものが合わせられる場合もあります。
慶事ならタキシードでもかまいませんが、葬儀や法事などには相応しくありません。その場合はブラックスーツを着用しましょう。
ドレスコードに相応しい服装③【インフォーマル】
セミフォーマルよりさらに一段格式が下がったインフォーマル。昼夜でドレスコードに変わりはなく、いわゆる「平服」での集まりに着用されます。場にそぐわない貧相な装いもドレスコード違反ですが、逆に悪目立ちするようなゴージャスな衣装がドレスコード違反緯なる場合もあります。
インフォーマルは日常でもよく要求されるファッションですので、しっかりと基本のルールを覚えておきましょう。
【女性】ワンピーススーツ・スカートスーツ
ドレスコードで一番頭を悩ませるのが、インフォーマルかもしれません。よく、「平服」のことだと言われますが、そもそも「平服」というのがわかりにくいです。「平服」とは、普段着のことではありません。かと言って正装でもない、きちんとした格好のことです。
女性なら膝丈から膝下の、露出が多くないワンピースかツーピースが一般的です。レースやフリル、リボン、ドループなどを使った、上品でドレッシー、かつ華やかなデザインが求められます。
「平服で」と言われているのに肌の露出の多い、気合の入ったカクテルドレスやイブニングドレスで参加したら、周りから浮いてしまうことは間違いありません。
【男性】ブラックスーツ・ダークスーツ
インフォーマルは、「略式のフォーマル」という意味で、気軽なパーティなどで求められるドレスコードです。男性は、インフォーマルの場合、ブラックスーツか黒や濃紺、ダークグレーなどのダークスーツを着用します。ブラックスーツは、セミフォーマルにもインフォーマルにも着用できるので便利です。
結婚式などの場合は、シルバーのタイとベストを合わせると格が上がります。インフォーマルの場合、シャツやチーフの色柄に決まりがないので、比較的自由におしゃれを楽しむことができます。
ドレスコードに相応しい服装④【スマートエレガンス】
スマートエレガンスも、次にご紹介するカジュアルエレガンスも、実はインフォーマルの一部です。インフォーマル、スマートエレガンス、カジュアルエレガンスの順に格式が下がり、よりカジュアルに、自由度が高くなっていきます。
【女性】ドレッシーなワンピース
スマートエレガンスは、女らしいドレッシーな装いが求められ、上品なワンピースや、スーツが一般的です。アクセサリーは控えめで、スカート丈も膝丈から膝下のデザインが基本です。
求められるのは品のあるエレガンスなので、くれぐれも華美になりすぎないように、肌の露出は控えましょう。けばけばしいメイクやヘアスタイルもご法度です。
【男性】ダークスーツ
男性はダークスーツにタイ、ポケットチーフが基本です。ジャケットにパンツ、ネクタイに着用でもかまいません。ただし、パンツがデニムだとインフォーマル(スマートエレガンス、カジュアルエレガンスを含む)にはならないので気をつけてください。靴は、ブランだとカジュアルになりすぎるので黒がおすすめです。
ドレスコードに相応しい服装⑤【カジュアルエレガンス】
カジュアルエレガンスは、スマートエレガンスを少しだけカジュアルにした服装です。カジュアルとついていても、決してラフな装いのことではありませんから、勘違いしないようにしましょう。
【女性】カジュアル過ぎないワンピース
カジュアルエレガンスにふさわしい女性のファッションは、くだけすぎない上品なワンピースやスーツなど。カジュアルエレガンスなら、スマートエレガンスまででは難しいパンツスタイルも、女性らしい優美なデザインであれば認められます。
【男性】ダークスーツ
男性はダークスーツであればまったく問題ありません。ジャケットとパンツが別売りの物を組み合わせたおしゃれな装いも好まれます。ネクタイとポケットチーフの着用も必須ではありませんが、用いたほうがよりおしゃれ感を演出できます。
ドレスコードに相応しい服装⑥【ビジネスアタイア】
ビジネススタイアとは、そのものズバリ、正式なビジネスシーンで着用する服装のことです。最近はクールビズなどで、ジャケットやネクタイを着用しない場合も多いですが、重要な契約やプレゼンテーション、レセプションなどの席では、きちんとした服装が求められます。
ドレスコードに背いた服装が、ビジネスの妨げになることも少なくありません。社会人なら、恥ずかしくないファッションマナーを身につけておきましょう。
【女性】スーツスタイル
ビジネススタイアで求められるのは、エレガンスより機能性です。有能で、信頼できるビジネスパートナーとして印象づけられるファッションが必要です。
もっともふさわしいのは、シンプルなスーツスタイルです。胸元が強調されていたり、スカート丈が極端に短かったりと、女性美を強調したファッションは敬遠されますし、ドレスコード違反です。
色は男性のダークスーツに合わせて黒や、紺、ダークグレーが無難です。ピアスやネックレスなどのアクセサリーは、控えめで品の良い物を選ぶようにしましょう。靴は、シンプルなパンプスかハイヒールが基本です。オープントゥやブーツは避けましょう。
【男性】スーツスタイル
男性はいわゆるビジネススーツで問題ありません。シャツの色は白がもっとも正式です。ネクタイはノーマルなプレーンノットがもっとも相応しいです。
ドレスコードに相応しい服装⑦【スマートカジュアル】
スマートカジュアルとは、スマートなカジュアルスタイル、つまり、おしゃれでセンスの良いカジュアルな装いという意味です。格式ばった決まりもなく、もっともおしゃれのセンスを発揮できるファッションかもしれません。
【女性】ワンピース・ブラウスとスカート
カジュアルとは言っても、ジーンズやホットパンツなどのラフすぎるファッションはNGです。基本はきれいめのカジュアルで、あくまでもきちんとした装いが求められます。
女性なら、華美過ぎないシンプルで品の良いワンピースや、ブラウスにスカートがおすすめです。上品で女らしいデザインなら、パンツスタイルも素敵です。デニム素材や、奇抜なデザイン、体のラインを強調するような服装は避けましょう。
小物やアクセサリーを使って華やかさをアップしたり、髪型もポニーテールやハーフアップなど、カジュアルで可愛らしいアレンジが好まれます。
【男性】チノパン・ジャケット
男性はノーネクタイのジャケットパンツスタイルが基本です。女性同様、ジーパンや短パンはNGです。デニム素材も避けましょう。シャツはビジネスシャツではなくドレスシャツを選ぶと華やかです。色は白やサックスが基本です。
シューズはスニーカーでもかまいませんが、革靴を選ぶ方がきちんとした印象を与えられるのでおすすめです。
ドレスコードのある店に行く時に避けたい服装・アイテムとは?
いかがでしたか?シーンに合わせてさまざまなドレスコードがあることに驚いた人も多いかもしれません。ここでは、レストランなど、ドレスコードがあるお店に行く時に、気をつけるべき注意点をあげておきます。
知らないでうっかり身につけてしまうと、重大なマナー違反になてしまうので、よく覚えておきましょう。
①サンダルやスニーカー
さすがにスーツやドレスでサンダルやスニーカーを履いていく人はいないでしょうが、ドレスコードがあるお店では、男性も女性も革やエナメルの靴が基本です。いくらドレスやスーツに気を配っても、足元がおろそかになっては台無しです。
格式の高いホテルやレストランではミュールも避けましょう。
②デニム
デニムはもともと労働用として開発された素材で、格式のある場にはそぐいません。デニム素材を使ったおしゃれなドレスやスーツも売られていますが、デザインはさておき、素材がデニムという時点で、ドレスコードには違反します。
どんなお店であってもドレスコードがある以上、デニム素材の衣装はNGです。
③生足
真夏などは、生足にサンダルという人も多いでしょうが、正式な場では絶対にNGです。ドレスコードがある場で生足は、下着をつけていないのと同じ意味です。女性はストッキングの着用が義務ですし、男性もドレスコードに相応しいソックスを身につけましょう。
女性は、生足とともに、網タイツやカラータイツも避けましょう。
ドレスコードに合った服装をしよう!
ドレスコードは小難しくて面倒くさいと思うかもしれませんが、ルールを知ってさえいれば、怖いことは何もありません。その場に相応しい決まりの中でなら、自由におしゃれを楽しむことができます。
ドレスコードは周りの人との調和を保つためのルールです。居心地が悪い思いをしないように、ドレスコードを守ったおしゃれをして、パーティを楽しみましょう。