エル･ブジは分子ガストロノミーのお店！日本で味わえるお店も紹介

美味しい料理を提供してくれるお店を紹介するミシュランガイドで最高評価の三つ星を獲得し、世界一予約が取れないレストランとして一躍ブームとなったのが「エルブジ」です。

世界的に有名なシェフ、フェラン・アドリアが総料理長を務め、料理を化学的に解析した分子ガストロノミーの料理を提供し一躍有名になりました。エルブジで修行したシェフ達は現在世界各地で活躍しており、エルブジの味は今も世界中の人々に愛されています。

今回は、世界一有名なレストラン・エルブジについて、エルブジの歴史や現在、エルブジの料理を食べることができる日本のレストランをご紹介します。

世界一有名で予約の取れないレストランとして知られているエルブジですが、日本ではエルブジを知らない人もいるでしょう。まずはエルブジがどのようなレストランなのかをご紹介します。

美味しい料理を提供してくれるレストランは世界中にたくさんありますが、エルブジは普通のレストランとは一味違い、分子ガストロノミーを用いて食材の味を分子レベルまで研究し味を追求した料理を提供していました。

1964年のオープンから2011年の閉店まで多くの人に愛されてきたエルブジが世界一人気のレストランとなった理由とはどんなところにあったのでしょうか。

エルブジは、1964年にスペインのカタルーニャ州・コスタ・ブラバのロザスにオープンしたレストランです。バルセロナから車で2時間ほど北にあるロザスは高級リゾート地としても知られている場所で、そこからさらに7kmほど西にエルブジはありました。

1997年にミシュランガイドの三つ星を獲得して以降、イギリスの雑誌「レストラン」で世界一のレストランに5度も選ばれる世界一有名で人気なレストランでした。

エルブジで提供される料理を手掛けるのは天才料理人フェラン・アドリアで、独創的で新しい料理を提供しつづけるためにレストランの営業は4月〜10月まで、残りの期間は新作の開発に当てるほどでした。

エルブジの料理は全てコース料理で、品数が４０皿以上になることもあったほどです。毎シーズン新しいメニューが提供されるため、1度提供された料理が次シーズン以降に再度提供されることは2度とありませんでした。

エルブジで提供される料理の醍醐味といえば、分子ガストロノミーから生まれた料理です。分子ガストロノミーという言葉は聞き慣れないですが、歴とした化学分野で専門的な研究もされています。

料理における食材を分子レベルまで解析し、調理の過程で食材が変化する仕組みを化学的視点と調理技術で料理を研究したものです。分子ガストロノミーを取り入れることで、曖昧に伝わっていた伝統料理の味覚や風味食感を具体的に再現することができます。

化学的な調理技術を用いて作られるエルブジの料理は非常に美味しいと話題になり、年間200万件の予約が殺到し瞬く間に世界一人気で予約が取れないレストランになりました。

ミシュランガイドの三ツ星を獲得し、世界一人気のレストランに5度も選ばれたエルブジですが、2011年7月30日をもって惜しまれながらも閉店してしまいました。世界一有名なレストランの閉店は世界中に衝撃を与えました。

エルブジの料理長を務めたフェラン・アドリアの「多忙すぎて自分自身の料理を見失った」として、エルブジを閉店することに決めました。

その後フェラン・アドリアは、2014年よりエルブジに隣接する料理の研究機関「エルブジ・ファウンデーション」として活動を再開すると話していました。

多忙を極め、自分自身が最高だと思える料理を提供できなくなり閉店してしまった伝説的なレストランとして今も語り継がれています。

2011年に多忙と自分自身の提供したい料理を見失っているとして惜しまれつつ閉店してしまったエルブジですが、エルブジで料理長を務めていたフェラン・アドリアが、弟のアルベルト・アドリアと共に新しいレストランをオープンしました。

スペインのタパスにオープンしたお店は、現在タパスで最も予約が取りにくいレストランとして話題になっています。完全予約制で最低でも3ヶ月前から予約を取らなければならないと言われています。

それでもエルブジの分子ガストロノミーを用いた料理を味わいたいと世界中からファンが訪れる超人気店として話題になっているレストランです。

エルブジで分子ガストロノミーを用いた料理を提供し、世界的にも有名になったフェラン・アドリアと弟のアルベルト・アドリアがオープンしたレストラン「TICKETS」は、見た目にも美しい料理を楽しむことができます。

バルセロナのメインエリアからは少し離れた場所にありますが、世界中からお客が訪れ予約は超困難です。料理は好みに合わせてカスタムオーダーし、客がストップをかけるまで提供され続ける独特なスタイルです。

超人気店にしては料金のハードルも低く挑戦しやすいので、スペイン旅行に行く際はダメ元で予約できるかどうかをチェックしてみましょう。

世界一有名なレストランであるエルブジでは、実はこれまでに13人の日本人シェフが働き料理を作っていました。2011年にエルブジが閉店した後、日本に戻り日本でミシュランに認められた料理の腕を奮っているシェフがいるのをご存知でしょうか。

ここからは日本でエルブジ出身のシェフが手掛けた料理を食べることができるお店を4つご紹介します。

麻布十番にある創作料理店のシェフ・山田チカラさんのお店は、エルブリでの経験を生かした分子ガストロノミーの中に日本らしい和のテイストを加えた創作料理がメインとなっています。

どの料理も絶品で、一口食べるまでどんな味か想像がつかない独創的なビジュアルに食事中ずっとワクワクした気持ちを感じさせてくれるでしょう。

麻布十番の「山田チカラ」のシェフ山田チカラさんが監修するのが「築地バルwith魚力」です。銀座SIXの中にある高級レストラン街で、分子ガストロノミーを用いた美しく美味しい料理を味わうことができます。

東京広尾にあるのが永島健志さんが手掛ける「エイティワン」です。こちらも完全予約制のこだわりのレストランで、店内に入るとそこは別世界のように感じると話題になっています。

その日の予約者全員が一斉に食事をスタートする独特のスタイルで一度経験すると虜になってしまいます。シェフの永島健志さんは2020年春で第一線を退くことを表明しており、ますます予約の取れない人気レストランになっているようです。

代々木上原にあるのが橋本宏一さんの「セララバアド」です。エルブジで経験を積んだ分子ガストロノミーを繊細且つモダンにアレンジした創作料理が話題になっています。

お皿の上は料理というよりも芸術品のような美しさで、食べてしまうのがもったいないほどです。完全予約制なので、芸術のような美しい料理を味わいたい人はぜひ予約して当日を楽しみに過ごしてください。

これまで料理は直感やセンスが一番だと考えられていましたが、エルブジでは分子ガストロノミーに基づいた料理が提供されており、これまでの料理の概念を大きく変えてきました。

そんなエルブジの料理長フェラン・アドリアを追ったドキュメンタリー映画も制作され、大きな話題を呼びました。「エル・ブリの秘密　世界一予約のとれないレストラン」は、2011年に公開されたドイツ映画です。

日本でも2011年12月10日より全国で公開され、エルブリを知る人や人気レストランの真相を知りたい人を中心に注目を集めた映画です。

映画の評価は高評価としている人と低評価としている人で大きく分かれますが、ドキュメンタリー映画らしく、エルブリの特別な調理方法や独創的な料理を見ることができる貴重な記録となったのは間違いないでしょう。

世界一有名で世界一予約が取れないレストランとして有名になったエルブジは、残念ながら2011年に閉店してしまいましたが、エルブジで修行を積んだシェフ達が世界中で活躍し美味しい料理を提供し続けています。

日本でもエルブジで経験を積んだシェフの料理を食べることができます。完全予約制で価格帯もお高めですが、食べてみる価値がある料理です。特別な1日を彩る食事に、エルブジのDNAを受け継ぐレストランでの食事はいかがでしょうか。